NECは他人の指紋と誤認する確率「他人許容率」を1/1000万回以下と,従来の指紋センサに比べて2ケタ小さくしたライン型指紋センサを開発した(図1)。この指紋センサを搭載した製品を2005年第1四半期に月産5万台程度で出荷する。現在,パソコンやプリンタ,携帯型情報機器(PDA),金庫,シャッターなど幅広い分野への応用を検討しており「2005年初頭には外販を含めた概要を明らかにできるだろう」(同社)としている。指紋センサの外形寸法は27mm×10mm×2mmで読み取り幅は15.15mmである。
現行の指紋センサに比べて他人許容率を大幅に削減できた理由は,NECが独自開発した照合アルゴリズムを採用したため。従来の小型指紋センサでは,センサ内のICで指紋を照合できるように読み込むデータ量を削減する必要があることから,指紋が分岐する点や指紋の端点など特徴のある部分(特徴点)だけを読み込む方式を利用している。この方式では他人許容率が上昇するため,NECは特徴点の読み取りだけでなく,特徴点同士を結んだ場合に指紋の線を何本横切るかといったデータを加えた「特徴点とリレーション方式」を採用することで,他人許容率を大幅に削減したという。
このほか,今回開発した指紋センサでは子供や女性などの細い指でも認識精度を高めるため,イメージ・センサの画素密度を856dpiと高精細化した。この技術はキヤノンと共同開発しており,イメージ・センサはキヤノン製を使用する。 なお,今回の指紋センサは,2004年12月1日〜3日に東京ビッグサイトで開催されている「C&Cユーザーフォーラム&iEXPO2004」に出展している。