第7回分

Re=1、Im=0というのは入力信号の実効値を1にすることではないかと思うけど。Aは要らないのではないかと思う。

発振回路には入力がなく、出力を、ループでAH倍にして戻しています。 そのループでAH倍する、ということが、Re=1かつIm=0、つまり 振幅はかわらずに位相もズレない、というのが条件になります。

発振回路の最初のVoutは何処から与えられるのかが疑問に思った。

入力がなくても出力が出るというが起電力が要るはず、それはどのように調整するのか?

帰還回路が回路図とおりであったらオペアンプに動作電圧を与えただけで発振するのですか?

なかなか鋭い質問です。 実は理想的にRe=1, Im=0だけでは発振が「始まりません」。 つまり発振が始まるきかっけが、必要なわけです。 それはノイズだったり、増幅器Aの非理想性(非線形性)などだったりするわけです。 それが増幅され、発振が始まるんですね。 始まってしまえば、Re=1, Im=0を満たせば、発振が「持続する」わけです。

発振回路を実際に構成するとき必ず信号にノイズが入ると思いますが、AやHで増幅されるときノイズも増幅されるので、増幅を繰り返すごとに波形は崩れると思いますが…

下記のとおり、ノイズの信号は(特に)周波数条件を満たしませんから、 発振が「持続」することはなく、次第に消えてしまいます。

電力条件Re(AH)と周波数条件Imは一定ですか?

はい、これはどんな発振回路でも同一です。

電力条件、周波数条件は理解できたが、ループをすることでなぜ周期的な信号が出力されるか分からない。

周波数条件を求める際にタイミングがずれるとVoutの大きさが変わってしまうというところがよく分からなかった。

電力条件と周波数条件を満たすのは、ある周波数ωの信号だけ、という ことが導かれる(一般には周波数条件から導かれる)わけで、 その周波数ωの信号に対しては、たしかに発振が「持続する」条件を 満たしているので発振が続くわけですが、 それ以外の周波数の信号は、この条件を満たさず、一般にはRe(AH)<1となるため、 次第に減衰してなくなってしまう、わけです。 その結果、条件を満たす周波数ωの周期的な信号だけ、が出てくるわけです。

発振回路の出力電圧は正弦波電圧と違ったものであるのか?

「周波数ωの信号」とは、正弦波のことですね。 (式の上で理解するには、例えばCのインピーダンスが1/jωCというのは、 正弦波信号に対するものであったこと、と同じことです)

最初の講義の方で負帰還の理論をやったとき、Hは減衰器として働くと説明があったが今回の発振回路のHも減衰器として作用しているのか?

そのとおりです。 増幅して減衰して、結果としてRe(AH)=1となっているわけですね。

発振回路は電源は不要なのですか?

もちろん必要です。 (一般には増幅器に供給されている)

負帰還と正帰還がよく分かりません。

例えば、自分が何かをやって失敗をしたら、次は失敗をしないように注意をする、 あるいはやり方を変える、というように、結果を、次の行動に反映させますよね。 これが「帰還」というものです。

このとき、結果が、予定よりもズレていたら、 そのズレを小さくするように努力するのが負帰還、 逆にそのズレを大きくするようにするのが正帰還、です。

発振回路が正帰還であることがよく分かりませんでした。

上記のとおり、本来、回路は出力を一定の値で安定させたいわけですが、 発振をさせるためには、その目標の値(一定値)からズレるように、 帰還をかける必要があるわけです。

負帰還と正帰還の話で、負帰還の入力電圧が少し下がった時はどうなりますか?

同様に、出力を正しい値に近づける向き(上げる)にはたらくはずです。

負帰還、正帰還の話で、反転増幅器のオペアンプの+と−が反対のときにVoutが増えるといってもマイナスだから電位は低いのにR2の方へ電流が流れるというのが分からなかった。

いや、この場合のオペアンプの+入力側は0Vとなりますから、 電流はR2の左から右へ流れる、という理解でいいのではないでしょうか。

位相がずれると発振しない理由がよく分からなかった。|AH|>1ならばVoutは無限大に発散するが実際には電圧は無限大とならないのではないですか?

たとえばブランコをこぐとき、「こぐ」タイミングをうまくあわせないと ゆれ続けませんよね。 これは、「ゆれ」と「こぐ」の位相があっているから、と 理解することができます。 またVoutが発散しないためにも、電力条件はRe(AH)=1、つまり少なくとも |AH|=1、である必要があるわけです。

前半の発振条件においてAとHそれぞれ単独では複素数であってもよいのでしょうか?

もちろんです。 出力は、AH倍されて増幅器に戻ってきますから、 このAHが、2つの発振条件を満たしていれば、発振が持続します。

AH=-1のときは、絶対値が1で実数だけど位相がπずれるから条件に入らないということでしょうか?

そのとおりです。

(ウイーンブリッジ発振回路の)R1とR2、C1とC2は同じでなければならないのでしょうか?

いえ、あれは便宜上の話です。 (同じでないとしても式は導けますが、かなり複雑な式になるかと・・・)

(ウイーンブリッジ発振回路の)周波数条件より1-(ωCR)2=0→ωCR=1→ω=1/CR,となっていましたが、ω=-(1/CR)になることはないのですか?

周波数ωは正ですから、ω=-1/CRという正弦波、は考える必要はありませんね。

AHが発散しないようにRe(AH)=1、Im(AH)=0を誤差なく正確に満たすことは可能ですか?

なかなか鋭い質問です。 特に電力条件は微妙で、Re(AH)<1であればVoutが0に収束してしまうし、 Re(AH)>1であれば、Voutは発散(実際には増幅器の出力は、 電源電圧よりも大きくはならないので、その電源電圧で飽和してしまう) してしまうわけで、厳密にRe(AH)=1としないと、発振が持続しません。 もちろん使うR, C, 増幅器の誤差などで、厳密にこれを満たすのは 現実的ではありません。 そこで、Re(AH)=1をみたすように、増幅器の利得Aを「調整する」 回路を持たせる必要があります。 (Auto Gain Control; AGC) 具体的には、増幅率を決める抵抗(ウイーンブリッジ発振回路のR3, R4など)を MOSトランジスタを使った可変抵抗とし、その抵抗を、 出力Voutから調整をする回路(つまり一種の負帰還)を使います。

発振回路では方形波など周期的な信号は出力できるのか?

ウイーンブリッジ発振回路では無理ですが、 Voutを十分大きくさせれば、結果として方形波になりますね。

発振回路の利点や実生活でどんなところに利用されているのかが知りたい。

すごくたくさんありますよ。増幅回路の比ではありません。 例えば時計は、1秒ごとに時間が進みますが、これは発振回路の 出力を基準にしています。 パソコンも、中の回路はクロック信号という基準信号にあわせて 動作をしますが、このクロック信号は、発振回路の出力そのものです。

加法定理を使うところあたりが少し分からなかったです。

ええと、加法定理なんて使いましたっけ??
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