第5回分
トランスファーゲートの動作がわかりません.○がついているものがpMOSでスイッチのような動作をするのですか?
前期の集積回路工学第1で触れているはずですので復習をしておきましょう。
MCCで桁上がりの伝搬のみを高速にすると実際どのような利点があるか?
例えばCLAで、各桁のキャリーを求める部分の論理回路の代わりに
(理屈の上では)使えそうですね。
あと、講義では紹介しませんでしたが、4桁や8桁ずつ区切って
キャリーの伝播があるかないかだけを先に求めて次の桁に
伝えてしまう、桁上げバイパス加算器(Carry Bypass Adder)という
構成法があって、それでは使えますね。
MCCの悪い点は?
キャリーしか求められない、というところでしょうか。
(そういうものだからしょうがないけど)
MCCはプリチャージ期間がある分遅延が大きくなるのでは?
プリチャージ動作はめんどうではないのか?なぜプリチャージするのか?
たしかに桁数が少ないときはそうなのですが、
放電が起こる場合に、放電経路で電流が通るトランジスタ数が少ないので、
結果として速くなります。
MCCは「加算器の全ビットにわたってとにかくキャリーだけを先に計算している」と考えて良いですか?
その通りです。
マンチェスターキャリー連鎖はRCA,BCLAと比べてどのくらい高速か?
トランジスタの特性などによって変わりますから、
残念ながら一概には言えませんね。
ダイナミック(インバータ)回路,マンチェスタキャリー連鎖はどうして3つトランジスタを用いるのか?
ダイナミック回路は素子数が多いのに,なぜ大規模な回路で有効?
プリチャージに1個(pMOS)、プリチャージ後の論理値の評価をはじめるのに
1個(下のnMOS)、論理値そのものに1個(真ん中のnMOS)、で
インバータでも3個いります。
ただしお気づきのように、プリチャージの1個と一番下の1個は、
入力数が何個でも変わりませんから、特に入力数が多い論理ゲートを
つくるときには、トランジスタ数が少なくなります。
マンチェスタキャリー連鎖が桁上がりの伝搬になっているのは何故?
そういうものだから、です。
Cnの表現を先週と変えたのは意味がありますか?(先週のQnがPnになっていた)
ごめんなさい。特に意味はないです。
(ナイショの裏事情: ネタ本がここだけ変わった)
回路の入出力情報のみである目的に最適化された回路を生成するCADはありますか?
これはかなり難しい問題です。
「最適」をどう定義するか、によるわけで
実際のところは、「かなりいいCADが現れてきた」というところでしょうか。
全加算器には多くの回路構成があるが,それぞれどのような割合で使われているか?
目的によって使用する全加算器は異なるのか?
こればっかりは、ほんとうに用途次第、ですね。
ただしよほどのことがないと(ただ動けばいい回路、などを除いて)
RCAが実際の製品などに使われることはないのではないでしょうか。
トランスファーゲートはなぜ,pMOSとnMOSともに必要なのか?片方だけでもスイッチング可能では?
その通りです。
ですが、nMOSだけだと、論理値1(高い電圧)を伝えるときに、
nMOSのしきい値電圧分だけ電圧が下がってしまうので、
それをpMOSで補っているわけです。
(逆にpMOSだけだと、論理値0(低い電圧)を伝えるときに
pMOSのしきい値電圧分だけ電圧が上がってしまう)
プリチャージとはなんですか?
読んで字のごとし、pre(事前に)charge(充電する)こと、です。
なぜセレクタとEXORを一緒に使うのか?どちらか一方で良いのでは?
いえ、あのような考え方で全加算器を作る限り、
両方必要なはずです。
(逆にセレクタを使わずに、EXORと他の論理ゲートだけで全加算器を
つくるとは、もちろんできます)
セレクタを用いると高速化が可能か?
ダイナミック回路で出てきたnMOSはトランスファゲートのことですか?
トランスファゲートにも使われているnMOS、というところでしょうか。。
ダイナミック回路でプリチャージを行わずにφ=1とするA=0 -> X=1にならないのでは?
そのとおりです。
ですから、ダイナミック回路では、必ずプリチャージを行わなければなりません。
Vddのddとは何?
MOSFETのドレイン(D)につながっているところ、という意味が語源のようですね。
全加算器の作り方(2)において桁上がりを先に求める方法で,Sn=An・Bn・Cn-1+/Cn・(An+Bn+Cn-1)という式変形ができるのは何故?
まず(Cnを先に求めて、Snは後でもかまわないという方針から)
「Snに、Cnが入った式にしよう」という意図があって、
結果として同じ論理値になるから、この式を使おう、というところです。
スイッチ記号とトランジスタの違いはなんですか?
スイッチ記号は、あくまでも理解の助け、と考えてください。
多くの回路が出てきたが,すべて覚える必要があるのか?特に大事なものは?
このことはいずれお話しようと思っていましたが、
「回路図を覚える」必要はまったくありません。
回路図を見たときに、「何をしている回路か」がわかるように「理解」を
しておいてもらえれば十分です。
回路図をできれば全てプリントで配布して欲しい.
残念ながらその予定はありません。
みなさん自身が、自分の手で「描く」という過程が、
理解をする上で必要不可欠であると考えるからです。
ダイナミック回路をもう一度説明して欲しい.
時間があれば・・・
回路図を配布していただくのは大変便利.
どうもありがとうございます。
トランスファゲートを使ったEXORゲートの構成が分からなかった.
ちょっと時間がなかったのでゆっくりやれませんでしたが、
A, Bに高い電圧(Vdd)や0Vを加えたときの各トランジスタの状態を
1つ1つ追いかけていってみてください。
(もちろんどうしても困ったときは、質問でどうぞ)
加算器だけでも多くの種類や計算方法があることに驚いた.
そうですね。加算器だけで1冊の本になる、というゆえんです。
戻る