第10回

ソースとドレインの違いがわからない。

MOSトランジスタの構造で、ドレインもソースも構造的には同じに思えるが、電圧のかける向きが違うだけで、やはり構造的には等しいのですか?

たしかに、断面構造でも、回路図記号でも、ソースとドレインは同じように 見えます。 実際、ほとんど同じで、(N型の)MOSトランジスタでは、 −極につながる方(=電子の供給側)をソース、とします。 (ただし最先端の集積回路で用いられる、非常にサイズの小さい MOSトランジスタでは、素子が正しく動作するために、 ドレイン側とソース側で、少し素子の構造を変えるのが一般的です。)

ソース接地、ドレイン接地の接地の意味は何ですか?

小信号等価回路で、グランド側(下側)につながっているのが、 ソース接地増幅回路ではソース、ドレイン接地増幅回路ではドレイン、という 意味です。

増幅回路のソース接地とドレイン接地で用途に違いとかはあるのですか?

ドレイン接地増幅器の役割は何ですか?

ソース接地増幅回路は、増幅率Avを大きくとれます。 その代わり、出力インピーダンスがやや大きくなります。 また、講義では触れませんでしたが、入力と出力の位相が逆になります。 一方、ドレイン接地増幅回路は、増幅率Avが小さい代わりに、 出力インピーダンスが小さくなり、また入力と出力の位相が同じになります。 このため、ソース接地増幅回路は大きい増幅率が必要なとき、 ドレイン接地増幅回路は出力インピーダンスが小さいものが必要なとき (=回路と回路をつなぐときに、互いに影響を小さくする)に用いられます。

MOSトランジスタは(学生)実験で使ったバイポーラトランジスタとは違うんですか?

動作原理も回路図記号も、見ての通り異なります。 ただし、両者とも、3端子の素子で、増幅などに用いられる、という共通点も 多くあります。

MOSトランジスタの小信号等価回路であった2つの等価回路は同じでいいのですか?

その通りです。両者は同じもの、とみなすことができます。

増幅率に含まれるμというパラメータはどのようにして決まるのでしょうか?

素子の構造やサイズなどから決まるパラメータです。

ソース接地増幅回路のところで、C1は中心どうしの差VDD・R2/(R1+R2)に充電されるという意味がよく分かりませんでした。

コンデンサC1は、両端の電圧(正しくは、変化の中心の電圧)が異なります。 これらは、vi側は信号源の性質で、R1・R2側はR1・R2の分圧から 決まる値です。 そしてC1は、これらの両端で決まっている電圧の差となるように充電され、 両端に、これらの関係を満たすように電圧が発生する、ということです。

小信号等価回路の電圧制御電圧源の使い方がよくわからなかった。

vgsのμ倍の電圧が発生する電圧源、と考えればよいかと思います。

ソース接地増幅回路を小信号等価回路にかえる所がよくわかりませんでした。小信号等価回路を作るとどんなメリットがありますか?また小信号等価回路を使わない解放はあるのですか?

小信号等価回路の「小」は何か意味があるのですか?

時間の関係で今回あまり詳しく触れられませんでしたが、 あまりviなどの振幅が大きくなると、MOSトランジスタの小信号等価回路に あるような、μ・vgsという、vgsに比例する電圧制御電圧源では 近似ができなくなります。 そのため、十分小さいviなどに対してのみ成り立つ等価回路、という意味です。

ソース接地増幅回路が増幅するのはViの変化分viのみということでいいんですか?

その通りです。 ViとVoの変化の中心(動作点、といいます)は異なることになります。

ドレイン接地はAv=1なのに何で増幅なんですか?

たしかに信号は「大きく」はなっていませんが、 このような回路も、一応「増幅回路」と呼ぶ習慣のようです。

ドレイン接地増幅回路の最後の方の説明が早くてよく理解できなかった。

すいません、時間がちょっと足りませんでした。 もう一度、資料などをふまえて、復習してみてください。

VDDが変化しないから消えるというのがわからなかったです。

小信号等価回路は、viやvgsなどの、「変化する分」に対する等価回路です。 電源電圧であるVDDは変化しませんから、小信号等価回路には現れません。

Ziが大きくてZoが小さいとなぜ負荷が小さいのですか?

Ziが大きい、とは、その回路を駆動する信号源が、流す必要がある電流が 小さくてすむ、という意味ですから、信号源の負荷が小さくてすむ、という ことになります。 同様に、Zoが小さいとは、その回路の出力が駆動するべき回路や素子に対して、 大きな電流を流すことができる(大きな電流を流してもあまり 電圧が下がらない)、ということができます。

最後のZoはio = (vo-μvgs)/rd ではないでしょうか?

確かに符号が逆でした。ioの絶対値で考えてもらえればよいかと思います。

どのようにテストを行うのですか?ノート持ち込み可ですか?

まだ決めていませんが、手書きノートのみ持ち込み可、とする予定でいます。
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