第5回

データシートの特性例の見方がよくわからない。

個別にみていっていただくしかないですね。

電気的特性の表で最小と最大が書いていないのがあるのは分からないからですか?

例えばオフセット電圧は、小さいほうがいいわけですが、 その最小値は、製品として「保証」はできません。 (たまたま小さい製品ができるかもしれないが、それは確率的なものなので) 逆に、「悪くてもこれ以上にはなりません」という最大値は、 いわばワーストケースとして、製品で保証されている値、ということです。 このような理由で、最小値または最大値が空欄となる項目があります。

限りなく理想のオペアンプを製作するにはどうすればいいですか?

どんな周波数でも使える反転増幅器はないんですか?

なかなか難しい問題です。 さまざまな指標がありますが、トレードオフ(あちらを立てればこちらが立たず、 という関係)にあり、すべてを理想的にすることは困難です。 そのため、「最も大切な指標」を選んで、それが最もよくなるように 設計をするのが現実的です。

オペアンプを使った回路において、どの回路でも式に増幅率Aが現れないのがなぜなのか分からない。

負帰還がかかっていますから、Aが無限大であれば、伝達関数にはAが 現れなくなります。

理想のオペアンプと現実のオペアンプの違いによって起こる障害は授業で紹介されたもの以外に何があるのですか?またその解決策は何ですか?

もちろんたくさんあります。 解決策は、ある程度は回路の工夫で回避できます (次回の入力オフセット電流のキャンセル方法など)が、 根本的には、用途によって最も大切な指標を選び、それが最も理想的に近い オペアンプを使う、というのが現実的かと思います。

逆に現実的な特性を利用して、回路を使うことはないのか?常に理想的にできる条件下でないと使わないのか?

あまり積極的に使う場面は見たことがありませんね。 用途によって最も大切な指標を選び、それが最も理想的に近い オペアンプを使う、というのが現実的かと思います。

Avの単位はdBと倍とで何が違うのですか?

同じものを、別の表記方法であらわしている、ということです。

なぜ、高域周波数では電圧利得は低下するのですか?

基本的には、増幅器の相互コンダクタンスと、負荷につく負荷容量とで ローパスフィルタが形成されるため、です。

スルーレート(SR)の意味がよくわからなかった。

次回、もう少し詳しくみていくことにしましょう。

GB積の計算がよくわかりませんでした。

Aがfとともに徐々に下がっていくところ(ロールオフ領域といいます)で あれば、どこでもGB積は同じですから、どこかを選んで、 Aとfをグラフから読み、その両者の積を求めればOKです。

入力に電流が流れるとどうなるのか気になった。

例として求めたように、出力電圧が、理論値からズレてきます。

入力オフセット電流と入力バイアス電流の違いがよくわからなかった。

2つの入力に流れる電流(の平均値)がオフセット電流、 両者の差(ばらつき)がバイアス電流、です。

実際に使われているオペアンプの入力オフセット電圧はどれくらいなんですか?

講義で紹介したNJM741というのは、かなり大きいほうです。 小さいものだと0.01mV程度のものもあるようです。

入力オフセット電流・電圧などを全部考慮したらどうなるんですか?

ぜひ等価回路をかいて求めてみてください。

スルーレートの例で50kHz以上では使えないとあったけど、その場合どうなるのでしょうか?

出力波形が、本来の形とは違うものになる(ひずむ)ことになります。

場合によって値の変化する特性が多いが、それで安定した回路が作れるのだろうかと思った。

ほとんどの特性は、負帰還によって、変動が小さくなります。

ズレを大きくしないためには、VIOが小さいものを選ぶ以外には何かありますか?

ある程度は回路の工夫でも回避できます。 (IIOに関しては次回紹介します)

コスト面で、汎用のオペアンプとVIOの小さいものを使ったときで、どれくらい差が出るんでしょうか。

モノしだい、ですね。 オペアンプの価格もピンキリで、10円程度〜10000円程度と幅があります。

フィルタ回路の各特性に関しても次回以降解説してほしい。

時間があるかな・・・

「ざっくり計算すると…」のざっくりって何ですか?

おおまかに、というような意味です。

スルーレートの所で大まかに50kHz以上は使えないとのことですが、デジタル回路で閾値の設定次第ではもう少し周波数で使えるのではないかと思うのですが、「大まかに」とはこの様な意味でしょうか?

そのとおりです。正弦波を対象としたのは、アナログの信号を想定していて、それだと50kHz程度、ということになります。 あくまでも目安、と考えてください。 (しかし、このような「目安」を立てることは、見通しをつける意味で大切なことです)
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