第8回

発振回路はどう使い分けられるのか?

発振周波数(オペアンプを使えるのは1MHz程度まで)と回路規模、 周波数安定度などから、最適なものを選ぶことになります。

いろいろな発振回路があるけど、発振されるものは同じなのですか?

基本的には、すべて「正弦波」です。 発振器の種類によっては「方形波」が出力となるものもあります。 細かいことを言えば、「正弦波」が出力のものでも、 その「正弦波のきれいさ」(フーリエ変換したときの高調波成分)は 得て不得手があります。

ハートレーの導出が分かりづらい。

特にCやLが入る回路では、式の導出がたいへんですね。

ハートレー発振回路での実部、虚部の周波数条件、電力条件がいまいち理解できなかった。

地道にループ利得AHを求めてみましょう。

ハートレーでの周波数条件 Im(AH) = 0 なのに実部の R{1-ω2c(L1+L2)} = 0 となる理由がわからなかった。

ハートレー発振回路のHの式で、分母に虚部があるときのIm(AH)とRe(AH)の見極めがよく理解できませんでした。

ハートレー発振回路のループ利得AHは、分子が虚数になりますので、 AHが実数となるためには、分母が虚数となる必要があります。

H = Vin / Vout となるのはどうしてですか?

「(出てくる電圧)/(入れる電圧)」というのが、伝達関数の定義だからです。 減衰器Hのところでは、入ってくる電圧は、増幅器Aの出力Voutで、 出ていく電圧は、増幅器Aの入力Vinとなります。

移相型発振回路がよく分かりませんでした。位相のズレとか…

あの話は、定性的な話ですので、よくわからなければ、忘れてください。

コルピッツ発振回路、ハートレー発振回路でそれぞれRを入れる理由は何ですか?

Rをいれずにループ利得AHを計算をしてみるとわかると思います。

コルピッツ発振回路のHを求めるときの計算がよくわからなかったです。

インピーダンスの分圧の式を、何回かにわけて使うのです。

コルピッツ発振回路とハートレー発振回路のとき、回路の中に反転増幅器が含まれていましたがこれがなかったら、または増幅器以外だったらどうなるのですか?

ループ利得AHが、発振条件(特に電力条件)を満たすことができませんから、 回路として発振しないことになりますね。

3組で0°〜270°の位相のズレが起こるのはわかるけど、なぜHPFで0°〜90°の位相ズレが起こるのか理解できない。

それは情報回路第1の範囲ですね・・・ RとCのインピーダンスによって、入力と出力の位相(タイミング)がズレるのです。

3つの発振回路を学習しましたが、偉い人たちはどのようにしてこれらの回路を作るのでしょうか。RやCやLの条件をはじめに決めておいて回路を作っていくのですか?

あのような回路をどうやって思いつくか、という意味でしょうか。 そうであれば、慣れてくるとスジが見えてくるようです。 そうではなくて、発振回路を設計するときにR, C, Lの値をどのように求めるのか、 という意味であれば、偉い人、というか、みなさんも、このような回路を 設計する場面に遭遇する日が、きっとありますので、あまり他人事でも ないですよ。 特に発振させたい周波数から、R, C, Lの値を、 例えばR=1kΩと決めてから、順番に決めていくことになります。

移相型発振回路などLPFを用いたこのような回路は存在するのか?

できるはずですね。

最後の答えはひどく簡素であるが、発振回路特有の理由というか、条件はあるのか?ただ計算したらそうなるだけ?

移送型発振回路のことですね。 ただ計算したら結果がそうなるだけ、だと思います。

jA/(B+jC) となったときの実部がA/Cとなるのはなぜ?

いえ、これの実部、ではなく、これが実数となるならば、 という条件がつくと、B=0が条件になりますから、 このときには、これがA/Cとなる、ということです。

ここで示されなかった発振回路は計算がとても難しいですか?

いえ、そうでもないですよ。 オペアンプではなくトランジスタ単体を使う発振回路が多いですが、 まだ講義では触れていなかったので、オペアンプを使うものを取り上げました。

計算が難しかった。特にZを求めるとき、どこまで計算しておけばいいのかわからないです。

AHの計算が複雑だ…。

ほとんどの場合は、まず周波数条件を先に適用することになりますので、 分子・分母の実部と虚部をわける、という方針で式変形をするとよいと思います。

前回のウィーンブリッジ回路も分子が純虚数だから分母の実数の部分が0であることが周波数条件としてもいいということですか?

いえ、ウィーンブリッジ発振回路では、まともにAHを求めると 分子と分母の両方が複素数(実部も虚部が0でない)になりますので、 まずは分母を実数にする、という式変形が入りました。

前回の続きの質問ですが、入力がなくてもノイズなどがきっかけで出力が出るとの回答だったと思うんですが、ということはきっかけがなければ回路は動作しないのですか?

まったくその通りです。 実際には、増幅素子の非線形性がきっかけとなり、 ある程度の振幅になるまではRe(AH)>1とし、 その後はRe(AH)=1前後となるように、細かく制御をすることになります。

もう少し濃く書いていただけるとうれしいです。

すいません、気をつけます。 (今週は、前の講義の分か、黒板がきれいに消えていませんでしたね)
ソボクな疑問集に戻る / 講義資料のページに戻る