第1回

少し遅刻したため、スケーリングそのものが何なのかが良く分からなかった

講義資料を参考にしてみてください。

Gordon Moore's Lawがもう適していないということなのか?

そろそろ限界、ということですね。

微細化に限界がきていると言われているが、スケーリングはどこまで進むのか?

あと15年程度、最小加工寸法が10nmあたりが限界であろう、というのが 一般的な見解のようです。

微細化の限界が来たときに、後はシステム的なデザインによる機能向上を図ることしか出来なくなるのか?それはそれで限界があるのではないか?または性能向上に変わる付加価値としてどのようなことが挙げられるのか?

それを、これからの技術者自身が考えていかなければいけない、と思います。

スケーリング限界が来た後のPCなどの価値基準はどこに来るのか?

これも、技術者が考えるべきことだと思います。

要はこれまでは単純に小さくしていけば性能が上がったが、これからはもっと別のデュアルコアのような技術を開発して行かなくてならないということなのか?

そうですね、いままでは、あまり頭を使わなくても、単純に小さくすれば よかったのですが、これからはそうはいかず、違う手法を組み合わせなければ いけない、ということです。

最近では、機能飢餓がなくなってきていると言う話だったが、最先端のスパコンなどでもそうなのか?

いえ、スパコンの分野では、まだ機能飢餓が続いているようです。 (気象のシミュレーションなど )

〜Tr/Chipと言われたが、一般実用でもこのくらいのチップが使われているのか?

もちろん単純な機能の装置では、もっと少ないトランジスタ数のものも あります。

これからの集積回路にはどのような技術が必要なのか?

プロセスから回路、システム、応用面まで 一通りを見渡せる大域的な視点だと思います。 そして、情報産業をみわたす視点、ではないと思います。

授業で見せてもらったチップには何個のトランジスタが乗っているのか?

講義中に回覧してもらったものは、かなり少なく、 1万〜10万トランジスタぐらいです。

USBメモリは現在のサイズを維持して、どのくらいの容量が限界なのか?

フラッシュメモリのスケーリングの技術予測から外挿してみてください。

スケーリングによって性能が向上していく上で、どれだけ小さくなっても動作速度や電力の低下の割合は同じなのか?

理想的にはそうなのですが、現実的には、いろいろな要因で 「スケーリングで予想される効果」よりも小さくなる傾向があります。

スケーリングによって寿命や耐久性に影響はないのか?

程度問題ですね。 電子が電界で加速されすぎて絶縁膜に欠陥が発生したり、 電流密度が高すぎてアルミニウムの配線が切れてしまう エレクトロマイグレーションという現象があります。 実際には、これらの現象が起こらない/無視できるような 設計をすることになります。

スケーリングには3つの良さがあったが、どれが最も重要なのか?また、悪い点はないのか?

利点は、用途ごとになるでしょう。 つまり、電力消費は多くてもいいからとにかく高性能がほしい場合も あるでしょうし、性能はそこそこでいいので、低消費電力がほしい場合も あるでしょう。 また悪い点は、いくつかあって、例えば相対的に配線での信号の遅延が大きくなり、 そこが性能向上の足かせになる、ということがあります。

スケーリングによって発熱量はどうなるのか?CPUなどから熱がでて危険なのでは?

同じ機能(回路規模)であれば、消費電力が減るので、 発熱量も減るのですが、性能が向上する分、発熱量が増えることも多いですね。 熱の問題は、性能向上をさまたげる最も大きな要因です。

スケーリングがなぜ一定の割合で進んできたのか?また、なぜ今後15年の間このままつづくのか?なぜ15年でスケーリング限界が来ると分かるのか?

そのうち、技術がスケーリングに追いつかなくなるのでは?

スケーリングのKはどのように求めるのか

まずこれまで一定割合で進んできた理由ですが、 「スケーリングによる微細化はこう進むべし」という指標があって、 皆がそれを目標に技術開発を進めてきた、ということがあります。 また今後は、その延長で、どんどん微細化は進めていきたいんだけど、 15年分ぐらいは、技術的なめどが立っている、ということです。 その先は、ゲート電極のリーク電流、不純物濃度のばらつきなどの様々な要因で、 技術的なめどがたっていなくて、解決するのはかなり困難だろう、という 見方が一般的のようです。

スケーリングが限界を迎えたら、次は量子コンピュータなのか?

量子コンピュータかどうかはわかりませんが、 性能重視の分野では、新しいパラダイムに移るでしょうね。

ただし注意してほしいのは、スケーリングが限界を迎えるときは、 それが集積回路の終わりを意味することではない、ということです。 つまりスケーリングによる単純な性能向上は終わる、わけですが、 膨大な数のトランジスタをうまく活用する回路技術や応用分野、 あるいはそれの設計技法などが課題として残りますし、 そもそもその時点での性能で十分な応用分野も数多くあります。 つまり集積回路が使われなくなる、ということでは、 決してないと思います。

スケーリング則において遅延が小さくなるのと消費電力が1/k^2になるところがよく分からない

集積回路工学第1の内容ですので、復習してください。

なぜ、半導体やDRAMを小さくしてもコストが変わらないのか?(小さくするために高性能な設備を導入する必要があって、その分コストが増えるのではないか)

その通りです。 ただし設備への投資は、そこから作られるものの売り上げで 次第に償却できますから、相対的に小さくなっていきます。

設計者の資質についてS/W、H/Wの知識とは別にどういう人が向いているのか?

全体を見渡せる幅広い視点と、根気強さを持つ人じゃないですかね。

原子数百個で半導体が作れるのか?

2008年には70nmで、原子が約500個と言う話で限界があるということだったが、大きさの限界には原子何個となってくるのか?

ぎりぎりなんとかなるようです。 これより小さく作れても、トランジスタをOFFにできないため、 正しい動作はできないようです。

半導体に大きさと値段以外の性能はないのか?

性能以外に、「価値」はあるんじゃないですかね。 つまり性能は低いんだけど、「ほしい」「便利だ」と思える機能をもつこと。

金沢大学ではLSIの開発、設計が可能であるというが、設計した物をチップ化する際には莫大な費用がかかるのでチップ化は困難なのではないか?

VDECという、 大学での教育研究用に限定、で、格安の試作サービスがあります。 お値段は、例えば1.2um・2.4mm角10チップで6万円より、となっています。

今後パソコンは安くなっていくのか?性能はどのように変わるのか?

ネットはテレビに取って代わるメディアになるのか?

それは今後の時代のニーズが決めることでしょう。

大規模集積化のところの説明で、プログラムの部品というところが良く分からなかった

プロセッサが実行するプログラムもシステムを構成する部品の一部、 ということですね。

後半のSoCのあたりの話が良く分からなかった

SoCの具体的な仕組みがどうなっているのか気になった

プロセッサだけ、メモリだけ、の集積回路ではなく、 それらを統合したシステム(例えばコンピュータ)がすべて載っている 集積回路、という意味です。

1チップシステムを作るためには、ゲートの長さがいくつだと実現できるのか?また、それは何年後だと予想されるのか?

作ろうとするシステムの規模によりますね。

集積回路工学の復習になってよかった。買い手の心理に上手く漬け込んだ感じに思えた

まったくその通りだと思います。 でも、それが社会のニーズ、というものなんでしょうね。

作り手の理論と買い手の理論と言う話で、将来作り手となる側の私たちが、どの程度買い手の意見を取り入れていけるか。技術的にというか、企業的に関心をもった

大切なことなんだと思います。

燃費が10km/lで100万円の車と20km/lで100万円の車があったら、みんな後者が欲しいと思うのですが…

まったくその通りです。 つまりクルマの性能としての「燃費」は、まだ機能飢餓の状態にある、 ということですね。

授業とは直接関係ないが、昔からHDDとメモリの単価がかなり違うのが疑問だった

動作原理がまったく違います。

“単価”だったら価格は常に分子に持ってこないといけないのではないか?

黒板と資料で機能単価の定義(性能/価格、価格/性能)が違いましたが、どちらでも良いのか?

「単価」という言葉の定義からするとそうですね。 あくまでも指標、と考えてください。

どのような企業に就職するのならLSIの知識が役に立つのか?

電気を使う機器を使う企業であれば、ほとんどすべて、じゃないですかね。

集積回路工学第1の内容を理解してないと支障があるか?

いえ、あまり支障はありません。 ただし適宜復習はしたほうがよいと思います。

演習の内容はどのような物なのか?

理論式を導いたり、簡単な回路を設計したり、というものと 考えています。

毎回、必ず質問をしないといけないのか?

はい、そうです。 疑問点を探しながら、主体的に話を聞いてほしいからです。

出欠は成績に反映されるのか

その予定でいますが、ぎりぎりのときの救済、程度と考えてください。

中間テストはあるのか

いえ、その予定はありません。

この質問表では、その日の講義以外(たとえば先週のこと)でも質問してよいのか

もちろんどうぞ。

字をもう少し濃く書いて欲しい

すいません、気をつけます。

半年間よろしくお願いします

はい、よろしくお願いします。
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