第10回

●MOSトランジスタ・増幅回路一般

接地回路でなぜコンデンサをはさむのかよくわからない。コンデンサは結局計算では無視するのになぜ必要なのか。交流でのコンデンサのインピーダンスはほぼ0なのに、どうして接続するのかωとC1, C2が小さいときはどうするのか

コンデンサのインピーダンスは、交流に対してはゼロとみなせますが、 直流に対しては∞、となります。 つまりコンデンサの両端は、直流に対してはつながっていないことになり、 したがって両端の電位を好きに決めることができます。 C1の右側の電圧はR1とR2の分圧によって決まりますが、 MOSトランジスタのゲートの電圧は、ここを中心に振れる、 すなわち動作点となります。 このように動作点を設定するためにコンデンサをはさむ必要があります。

MOSトランジスタ増幅回路の交流等価回路への変換がよくわからなかった。VDDをGNDとみなしていいというのがよくわからなかった。交流分に対してR1, R2が並列としてみなせる理由がわからない

交流等価回路への変換そのものは、ただ書き直すだけなのですが、 VDDとGNDを同じにみなす、というのは、ちょっと慣れるまでは 不思議に思えるかもしれませんが、 どうしても納得できそうにない人は、とりあえずは、こういうものだと 思っておいてください。

出力インピーダンスを求めるときになぜvi=0とするのか。Zoはvi=0のときしか考えていないがそれで大丈夫なのか

それは出力インピーダンスを求めるときの、約束(定義)、です。

voとviの関係を求めるやり方がよくわからない

ぜひもう一度復習してみましょう。 等価回路を描いた後は、ただのオームの法則です。

●ソース接地増幅回路と負荷線

ソース接地増幅回路の利用法はどういうものがあるか

ソース接地増幅回路は電圧利得が大きいので、 振幅が小さい信号を大きく増幅したいときによく用います。

負荷線の説明が速くてよくわからなかった。負荷線を利用した場合にはどういうものがあるのか。実際どのような場面で使うのか

負荷線は、講義ではちょっと時間が足りなくて 速くなってしまいました。すいません。 内容はもう一度復習をしていただくことにして、 負荷線の考え方は、動作点を中心としたvi・voなどの変化分を、 MOSトランジスタの静特性(VDS-ID特性)から、定性的に導くための 方法、と考えればよいと思います。

●ドレイン接地増幅回路

ドレイン接地増幅回路がよくわからない

ぜひ復習を。

ソースフォロアは電流を増幅する回路と考えて問題ないのか

入力からは電流が流れなくて、出力には大きな電流を流せる、という 意味で、そういう解釈でもよいと思います。

フォロアとはどういう意味か

follower、で、これはfollow+erですが、 follwoとは、後追い(追従)のことです。 この回路では、voがviと同じ、つまりvoがviに追従する、と いえることから、この名前があります。

バッファ(緩衝回路)とは何を和らげるのか

入力側にあるのが、あまり電流が流せない回路で、 出力側には、小さな抵抗、のように、多くの電流が流れる回路が あるとしましょう。 この両者を直接つないでしまうと、入力側の回路が電流を必要なだけ 流せなくて、信号が小さくなってしまう、などの現象が起きます。 バッファ回路をこの両者の間にはさむと、その影響を小さくすることが できます。

Av≒1なのにどうして"増幅回路"なのか。なぜAv≒1となる増幅回路が必要なのか

Av≒1の回路が必要な理由は前述のとおりですが、 これを「増幅」回路と呼ぶのは、まあ習慣のような気はしますね。

ドレイン接地増幅回路の等価回路への変換の後からがよくわからなかった。等価回路を変形していく過程が難しかった

ぜひ復習を。

Ziが大きいと"信号を与える側があまり電流を流さなくていい"というのがどうしてかわからない。入力電流は小さくてもいいのかもしれないが、出力が1倍なのだから、次の回路が入力電流が大きくないといけないときには意味がないのではないか

前述のように、入力側の、電流を流すという「負担」を 軽減することができます。

vi = vgs+vo となるのが分かりづらかった

Zi = R1//R2となるのがよくわからなかった

等価回路をよく見てみましょう。

id = (μvgs-vo)/rd となるのが納得いかない。id = (μvgs-vo)/rd = -(1+μ)vo/rd となるときの分子の変形がよくわからなかった

もう一度式を追ってみてください。

Zo = vo/io = vo/(-id)となっているが、なぜマイナスが付くのか。都合よく-idにするというのはどういう意味かよくわからない

とりあえずは、Zoが、voとioの絶対値の比、と考えると よいかと思います。

(1+μ) >> rd がなぜ一般的には成り立つのか

まあそういうものなんです。

Zo=rd/(1+μ) はμ >>1 ならば、rd/μとなるのではないか

たしかにそうですね。

ソースフォロアを、入力と出力の間にナレータ、出力とGNDの間にノレータをつなぐ等価回路で考えてもよいか?もしそうだとすると、ソースフォロアの出力どうしをつなぐと、入力どうしの間はナレータになりそうだが、このような使い方はできるか?

まず前者の等価回路は、それにZi・Zoをつければ、そう考えてもよいように思います。 が、後者は、そうはならないように思います。 その理由は、ソースフォロアをナレータで考えるとしても、 「向き」があるためです。 すなわち、MOSトランジスタの構造から、入力側に加える電圧に応じて 出力が変わる、ということは起こりますが、その逆は起こりません。 すなわち出力を変えても入力電圧を変えることはできません。

●その他

もっと演習をして欲しい

そうですね、時間との兼ね合いから、「演習」の回でも 演習ではない内容が多くなってしまっていますので、 善処したいと思います。

覚えるためにはたくさんの問題を解くしかないのか

そうですね、ある意味パターンを見切る、というのが、 一番早いような気がします。