第4回分
●フィルタ全般
1次HPFなどの"1次"とは何か
伝達関数の分母のωが何乗か、と考えていただければよいです。
ωが「効いてくる」(LPFならばカットオフ周波数より高いところ)ところで、
ωの何乗になるのか、ということです。
1次,2次のオペアンプで何が違うのかわからない
H(ω)の分母の次数、つまりカットオフ周波数より高い(LPF)or低い(HPF)
ところで、どれぐらい減衰するか、という度合いですね。
HPFは具体的にどのようなところで使われているのか
低い周波数の信号を消したいとき、特に信号に含まれる
直流成分(ω=0)を消したいとき、などに使います。
高域通過フィルタとは何か
読んで字の如し、高い周波数の信号を通す(=低い周波数の信号は通さない)
フィルタ回路、です。
HPFがどういう伝達関数のときになるのかよくわからない
ω→∞のときに一定となり、ω→0のときに0になるのがHPFです。
HPFのゲイン特性でω→∞のときに一定にならず無限大に増幅していくことはあるのか
いえ、H(ω)の分子にもωがありますので、ω→無限大としても、
H(ω)は無限大とはなりません。
実際にはωがどのくらい大きいと一定といえるのか
目安として、カットオフ周波数の10倍(ω/ωc=10)以上、と
見るのが一般的のように思います。
LPF, HPF以外のフィルタがあるのか
中域通過フィルタはあるのか
帯域通過フィルタ、という、ある周波数の範囲の信号のみ
通す、あるいはその逆(ある範囲の周波数の信号のみ通さない)などが
あります。
素子の組み方でフィルタ回路はいくつでも作れるものなのか
そういうことですね。
講義で扱っている素子は抵抗やコンデンサだが、コイルを使ってもいいのか
もちろんつくることはできます。
実際に使用する状況によって同じLPFでもどの構成が有効かというのはあるのか
前回少し触れた素子感度などは、判断基準のひとつでしょうね。
フィルタの特性を式から求めるときには近似を多く用いているが、どこまで近似していいのかよくわからない
基本的に、ωと定数の大小関係で近似をするのがよいです。
●伝達関数H(ω),ボード線図一般
ωのみで場合分けする場合とωCRのようにその他の変数をつけて場合分けする場合があるが、それはどう見分けるのか
近似をするときに、定数と、ωが含まれる項、の大小関係で
場合わけをしますので、そのωが含まれる項、と考えればよいかと思います。
伝達関数の絶対値 |H(ω)|を求める計算がよくわからない
複素数の計算ですので、自分でやってみてください。
H(ω)=jωCR/(1+j) のときに|H(ω)|=ωCR/√2 となるが、分母がなぜ√2になるかわからない
それは複素数の絶対値・・・
伝達関数H(ω)を計算する手法で合成インピーダンスを使う以外の方法はあるのか
いやあ、ないんじゃないですかね。
ボード線図の書き方がよくわからない
情報回路第1を復習しましょう。
フィルタのボード線図によるゲイン特性の考察はしていたが、位相特性の考察はしなくてもいいのか
ご指摘のとおりです。
今回は、時間の関係と、ゲイン特性のほうが特徴がみやすいので、
ゲイン特性のみをみました。
フィルタの判定でω→∞, 0のときの伝達関数H(ω)の振る舞いからフィルタの特性が大まかにわかると思うが、この方法では駄目か
もちろんかまいません。
●合成インピーダンス
並列回路の合成インピーダンスの式がよくわからない
並列回路の合成抵抗の式から類推しましょう。
別解のZを使う方法がよくわからない
式の計算方法の例ですから、自分でわかりやすい方式で
理解してもらえればよいです。
問題を解くときに反転増幅器の式は既知のものとして公式のように使っていいのか
特に断りがなければ、反転増幅器の式ぐらいは、
公式として使ってよいと思います。
●オペアンプを使った1次フィルタ演習1
なぜHPFなのかよくわからない
ω→∞、0とすればわかるかと思います。
HPFの場合分けの考え方がよくわからない
ωを含む項と含まない項の大小を考えればよいと思います。
計算では ωC2R1 <<1 か又は ωC2R1 >>1 の条件を仮定しているのに、ボード線図ではω=1/(C2R1)付近を扱ってもいいのか
その付近は、前後の場合の中間ですから、「それらしく」グラフをつなぐ、
のが、まずはよいかと思います。
厳密には、微分をしてグラフを描くか、Excelかgnuplotあたり
グラフを描くといいでしょう。
HPFの伝達関数H(ω)=-jωC1R1/(1+jωC2R2)でjωC1R1も増加するのに注目しなくてもよいのか
ω→∞となれば、分子も分母も∞になりますが、両者が相殺して
定数に収束します。
●オペアンプを使った1次フィルタ演習2
このフィルタは実際にはどのように働くのか
そのまんま、LPFです。
この回路は実際にはどのように使われているのか
前回述べたとおり。
伝達関数H(ω)=-(R2/R1)*(1+jωC1R1)/(1+jωC2R2) のボード線図はどのようになるのか
伝達関数が(1+jω○)/(1+jω△) の形になったときは、分母のωCRでボード線図を考えるのか
ちょっと直感的にはわかりにくいです。
Excelかgnuplotあたりで描いてみるかとよいかと思います。
●VCVS(Voltage Controlled Voltage Source)型LPFの設計
VCVS型が何かわからない
VCVS型LPFについて、何を求めているのかよくわからない
伝達関数がなぜあのような式になるのかよくわからない
前回参照。
ωc=1kHzとしていたが、なぜ周波数なのかよくわからない
?
角周波数ωの単位はHzでいいのか
ωとfの間の係数の2πは定数ですから、ωの単位もHzです。
Q=1/√2と設定していたが、C1,C2の値がわからないのにQ値を先に決めてよいのか
いえ、Qはフィルタを設計するときのパラメータで、
Qがその値になるようにC1などを決める、ということです。
R1,R2,C1,C2の4つとも値がわからないときはあるのか
R1,R2が1kΩのままで計算できないのか
式の数が変数より少ないので、どれかの値を決めないと、
すべては決まりませんね。
●試験など
中間試験はありますか
ありません。
LPFのボード線図を描けというような問題はでるのか
さあどうでしょう。
過去問では出ていないようですね。
具体的な素子の値を用いて計算する問題が試験で出題されるようなときには関数電卓は必要になるのか
電卓が必要になるような問題は出しません。
各フィルタのカットオフ周波数ωcとクオリティファクタQの式は暗記する必要はあるのか
いえ、その必要はありません。
(例年は、試験では手書きノートのみ持込可、としています)
●その他
オペアンプの+, - のつけ方がわからない。+と-の違いは何なのですか
実はなかなか鋭い質問です。
出力からRなどを通して入力のほうに戻すときは、-のほうに戻さないと
負帰還回路にならないので、安定した回路とすることはできません。
コンデンサは電流が流れるのですか
交流であれば、等価的に流れることになります。
実験で1次LPFの素子を決めるときに「オペアンプの入力インピーダンスとの関係から、抵抗は1k-100kΩ、コンデンサは10p-1μF程度にする」ということがあったが、この範囲外の素子を使った場合にはどのようなことがおこるのか
次回以降に触れますが、オペアンプの入力抵抗や入力バイアス電流の
関係から、その程度の値にすると、設計上の特性を出しやすい、
ということです。
実験でトランジスタの設計をしたが、オペアンプも同じようにすぐ設計できるのか
オペアンプを使った回路、という意味であれば、講義や演習でやったとおりです。
オペアンプ自体のの中身の回路、という意味であれば、なかなかおくが深いです。
この講義の最後に、少しだけ触れる予定です。
任意の伝達関数が与えられたときに、それを実現する回路を作るアルゴリズムはあるのか
機械的に回路に落とし込むアルゴリズムは存在します。
フィルタ理論あたりの本を探してみてください。
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