第5回分

●現実のオペアンプ全般

現在の技術ではどこまで理想的なオペアンプに近づけることができるのか

次回のレポートで、みなさんに調べていただくことになります。

理想オペアンプとは全く違う特性を持っているのか

いえ、まったく、ということはなく、 だいたいの項目が、ある程度の範囲(周波数など)であれば、 ほぼ理想的、とみなせることが多いですね。

現実のオペアンプを用いる前にオペアンプを理想特性で計算することがどれほど役に立つものですか

上記のとおり、ある程度の条件では、ほぼ理想オペアンプとみなせるから、です。

現実のオペアンプを用いる際にはかなりのノイズや理想値からのズレが生じるが、それにはどう対処するのか

実はいろいろとノウハウがあります。 興味のある人は、CQ出版あたりの、 そのテの本をあたってみてください。

現実のオペアンプをオフセット+理想オペアンプとするだけで同じとみなしていいものなのか

理想ではない項目と、それ以外の理想とみなせる部分、で 分けて考えているわけです。

実際にどのような用途で使われるときに、どの程度の影響があるのか

用途しだいですね。 特に扱う信号の周波数、振幅、あたりです

実際に波形を測定するとどうなるのか知りたい

実験第1などで、ぜひ。

オペアンプの特性に標準と最大,最小と標準の2通りの表記があるが、なぜ使い分けているのか

メーカの都合、です。 製品として保証できる範囲、という意味で最大と最小を示し、 まあこれぐらいです、という目安を、標準で示しています。

●増幅率

なぜ利得をdBで表記するのか

利得が大きすぎて、dBでかかないとゼロが多すぎるからです。

利得の周波数特性を示す指標がよくわからない

周波数によって電圧利得の値が変化することがよくわからない

利得が、高い周波数で小さくなってしまう、と読めばよいでしょう。

40dB = x100 この意味がわからない

それはdBの定義。

NJM741では最小と標準の電圧利得が示されているが、どうして最小がわかるのか

上記のとおり、メーカの保証値、という意味です。

最大の電圧利得が示されていないがどの程度になるものなのか

さあ、どうなんでしょう・・・ 測ったことはないですね。 メーカでも測っていないんじゃないでしょうか。 まあ基本的に利得は大きすぎて困ることはないので、 最大値を示していないんでしょうね。

ユニティゲイン周波数,GB積が何かよくわからない

もう一度ノートを読み返してみましょう。

ユニティゲイン周波数とGB積が今回"偶然"同じになったと説明があったが、この2つが異なるのはどのようなときなのか

なかなか鋭い質問です。 実は電圧利得の周波数特性は、高い周波数で利得が下がっていくところで、 最初は-20dB/decadeですが、さらに周波数があがると、 その倍の-40dB/decadeで落ちていくようになるポイント(2次のポール)が あります。 (求めていませんが、電圧利得の式で、ω2が支配的になる 周波数領域です) GB積は、この2次のポールよりも低い周波数のところでの 利得と周波数の積ですから、 この2次のポールが、ユニティゲイン周波数よりも低いところにあると、 ユニティゲイン周波数とGB積は異なる値になります。

●入力バイアス

入力オフセット電流がよくわからない

入力オフセット電流と入力バイアス電流の違いがよくわからない

ノートを読み返してみましょう。

なぜオフセット電圧・電流,バイアス電流が生じるのか

オフセット電圧・電流は、オペアンプの製造時のバラツキが主な要因で、 バイアス電流は、オペアンプの中身の回路で使われる トランジスタの特性、が主な要因です。

オフセットは全てのオペアンプに生じるものなのか

基本的には、ゼロにすることは不可能です。

入力バイアスで、IB > IIOなら Ib- ≒ Ib+ となることがわからない

式のとおり。

入力オフセット電流が大きいときにオペアンプがどのように働くのかわからなかった

入力オフセット電流は回路特性のうち何に効くのか

例えば反転増幅器では、R2に流れる電流が増えるわけですから、 Voが理想からズレてきます。

●入力抵抗

現実のオペアンプで入力抵抗を考慮する理由がよくわからない

入力に電流が流れない、という理想オペアンプの仮定がくずれるからです。

●スルーレートSR

SRの意味がよくわからない。何を表しているのか

ノートを読み返してみましょう。

理想オペアンプにもSRはあるのか

理想オペアンプでは、SRは∞、と仮定します。

なぜ出力の変化の速さに制限があるのか

オペアンプの出力には、必ず、ある程度の大きさの容量成分(キャパシタ)が つながりますが、出力が変化すると、これを充放電するわけで、 その充放電するのにオペアンプが流すことができる電流の上限、が SRを決める要因になります。

SRが効いている電圧変化の途中で、変化しきる前にまた変化しなければならない場合は出力波形はどうなるのか

SRが効いて出力波形でズレてきた場合には、どこの理想電圧の傾きに合わせてSRの効きを考えるのかわからない

入力周波数より遅れていくのでどんどん間違った出力が出ることになるのか

理想特性のVoになる、と考えればよいでしょう。

2ωAo ≦ SR ならvoが理想オペアンプと同じになるのはなぜか

入力が正弦波のときのSRがよくわからない

ノートを読み返してみましょう。

入力が正弦波でSRが効く場合、入力電圧の減少する傾きの大きな部分でも時間変化しないのか

もちろんそこもSRの制限にひっかかります。 Voの変化の絶対値、で考えるとよいでしょう。

最後のグラフでSRが効いているのに後半の理想特性と現実の特性が合っているのはなぜか

あれ、板書のグラフを描き間違えましたかね。すいません。

●その他

NJM741以外のオペアンプも気になる

NJM741のSRは0.5V/μsだが、他のオペアンプはどの程度なのか

それは次回のレポートで。

オペアンプの特性は全部暗記するべきですか

とんでもない。そんなものは不必要です。

講義はもっと演習形式でおこなってほしい

そうですね・・・配慮してみます。 ただ、いかんせん分量が多いので・・・
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