第8回分
●発振回路全般
何の目的で発振回路を用いるのか。現実にどのようなものにつかわれているのか
前回述べたとおりです。
発振回路かどうかというのは見ればわかるものなのか
そうですね・・・慣れてくるとわかる、という感じでしょうか。
いまだに発振器の動作する原理がよくわからない。発振周波数以外の周波数だったらどうなるのか。電力条件が成り立って周波数条件が成り立たないと、位相がずれて最終的にはどうなるのか
前回述べたように、発振条件が成り立つ周波数成分の信号以外は、
だいたい0になってしまいます。
入力がなくても発振するはずだが、初期にVo=0の場合でも発振が生じるのか
前回述べたように、厳密には始まりません。
Voをどうやって取り出すのかがわからない
それはvoをそのままオシロスコープで計測するなりすればよいでしょう。
ループ1周でAH*vo,2周で(AH)^2*vo,…となるが|AH|=1だとループを何周しても出力はvoのままとなるので、この回路は無意味なのではないか
まったくそのとおりです。
そのように、voが、(大きな意味で)時間とともに変化しない(「正弦波である
ことが変わらない」という意味)、ということです。
発振条件の計算はそうならなければ絶対に発振しないというものだと思うが、ちゃんと微分方程式を立てて解くことで発振する条件が確認できるのだろうか
実は厳密に求めるのは、非常に困難です。
前回述べたように、発振回路のはじまりには、回路の非線形性が必要です。
今回は反転増幅器が使われているが、他の増幅器を使って回路を組むことはないのか
発振回路しだい、というところでしょうか。
発振条件を満たすように回路を設計しても、素子を選定する時にそれぞれ誤差が出てくるのではないか。誤差が生じても回路は安定に発振するのか
まったくそのとおりで、前回述べたように、実用的な発振回路では、
制御機構を組み入れるのが一般的です。
●計算全般
発振周波数ωは角周波数ではないのか
もちろんそのとおりです。
接地した部分の扱いがよくわからない
ええと、それは、インピーダンスの計算なので・・・
Re(AH) >1 のときはどうなるのかよくわからない
そのような条件が成立する周波数成分があると、
その周波数の信号が、時間とともにどんどん振幅が大きくなってしまう
わけですが、一般に、そのようなことは起こりません。
回路のこの部分が「A」,「H」だと決めるのは適当なのか。何か特に決まりはないのか。「A」の条件は増幅器であることと思うが「H」の条件は何か
Hは、増幅器以外の部分、ですね。
ループ利得AHを計算した時点ですでに周波数条件、電力条件を満たしている場合はないのか
それはAHに、回路中のRやCなどの素子の値が入ってきますから、
逆にそれらの値を決める、という手順になります。
計算のため回路を切り分ける際のv'の置き方は決まっているのか
ふつうは、増幅器を、「ここは非反転増幅器だ」といったように
見極めるのが先のようです。
v''からHを求める際にかけている値が何であるのかよくわからない
Hの式、という意味でしょうか。
そうであれば、分圧の式を解いているだけ、です。
発振回路のHを求めるときにいったんZを求めているが、分圧を2回考えて直接求めるのはどうか
もちろん、その方がわかりやすければ、そう考えてください。
(結果として、そういうことをしているわけですけど)
電力条件を導くと抵抗の比の形で条件が求められるのが、どうしてそうなるのかよくわからない
大体の場合は、増幅器の利得Aがこうあるべし、という条件として
求まるようです。
●コルピッツ発振回路・ハートレー発振回路
コルピッツ発振回路やハートレー発振回路はどんな場合に使うのか。性質上の利点がよくわからない
まあ、そういう回路もある、ということで。
コルピッツ発振回路やハートレー発振回路で電力条件から素子の関係式を導いたがこれは何に使うのか
つくる発振回路の周波数を決めるため、です。
コルピッツ発振回路やハートレー発振回路でRは発振条件には現れないので、R≠0であれば他の素子と関係なく任意に決定できるのか。コルピッツ発振回路やハートレー発振回路でR=0の場合にはどうなるのか
これ、実は結構悩んだのですが、R=0の場合は、ωを一意に決められないので、
逆に言えば、ある周波数の正弦波だけが現れる発振回路、にはならず、
出力が一定になる、ように思えます。
コルピッツ発振回路でC1,C2,L部分の合成インピーダンス 1/Zがどうして 1/Z = 1/(1/jωC1)+1/(jωL+1/jωC2)となるのか
それは計算してみて・・・
コルピッツ発振回路でHを求めるときにZ/(R+Z)に(1/jωC2)/(jωL+1/jωC2) をかけるのはなぜか
それはHを2段階の分圧で求めている、ということですね。
ハートレー発振回路の計算でjωL1/(jωL2+1/jωC) = ω^2L2C/(1-ω^2L2C)となっていたが、-ω^2L2C/(1-ω^2L2C) ではないのか
おや?式が間違っていましたかね。
すいません、訂正しておいてください。
ハートレー発振回路で Re(AH) = -R2/R1 * "-"ω^2L2C/(1-ω^2L2C) でこの"-"のマイナスはどこからでてきたのか
後者のマイナスは、Hの部分を求めると結果として出てきた、ということです。
●移相形発振回路
なぜ「移相」形というのか。「位相」と間違いそうになったがどう違うのか
HがRCの組が3つほどありますが、RCの組1つで、90度以下だけ
位相がズレます(移相)が、それを3つ使えば、ちょうど180度ずらすことは
可能で、反転増幅器の180度とあわせて、AH=1とできる、ということです。
移相発振回路はLを使わないのでLを使うハートレー回路などより作りやすい(小型化しやすい)というのは正しいか
そういうことになりますね。
ループ利得AHの計算がよくわからなかった。移相発振回路は他の回路と違ったが、全く同じ解法で解けるのか
基本的には同じですよ。結果としてループ利得AHが求まればよいです。
●その他
発振器の利得を求めるような問題はテストに出るのか
えー、どうでしょう・・・(過去問参照)
発振条件を導出する計算は暗記した方がいいのか
いえ、もちろん暗記は不要です。
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