第1回分

機能飢餓関係

機能飢餓の産業の方が製品はよく売れるのですか.

自分が、その身になると、よくわかるんじゃないですかね。

携帯電話の機能飢餓が終わったらどうなると予想されますか.

LSIの機能飢餓でなくなったら,この分野の産業はどのように発展していきそうですか.

それはみなさん自身がよく考えてください。 そういう視点をもつことが大切です。

機能飢餓は,近年の飛躍的な技術進化で飽和状態にあると思うのですがどうでしょう.

個人的には、全くその通りだと思います。 ブレイクスルーが見つからない、手詰まり感が強いように思います。

微細化関係

携帯電話は,微細化などの点でどのくらいの技術を使っているのですか.

かなり最先端の微細加工技術が使われているものが多いようです。 MOSトランジスタのゲート長で、0.12μm〜0.09μm(90nm)の あたりでしょうか。 ただし、部品によっては、必ずしも最先端の性能(=最先端の 加工技術)が必要ない場合もあるので、そういう場合は、 コストの面から、少し古めの加工技術で作るものも多いですね。

スケーリングが限界はないのでしょうか.また,限界になったらどう高機能化するのでしょうか.

なかなか鋭い質問です。 まずスケーリングの限界は、確かにあります。 物理的に原子より小さくできないのは明らかですが、 その前に、ゲート酸化膜のトンネリング現象や不純物濃度のバラツキなど、 多くの現実的な要因によって、スケーリングは限界になると 最近は多くの人が考えるようになっています。 あと10年ぐらい、じゃないでしょうか。 またその後の高機能化は、大きく2つの方法が考えられています。 1つは、スケーリングではなく、回路構成による高性能化で、 最近のMPUが並列化(マルチコア化)しているのも、その流れといえるでしょう。 もう1つは、量子コンピュータや分子コンピュータなどの 全く異なる動作原理に基づくものですが、こちらは、まだ実用化は かなり先のようです。

最近のOSやofficeが無駄に重いのは,機能飢餓を誘発するための処置だったのでしょうか.

個人的にはそう(=陰謀)だと思います。

この講義で演習は行わないのでしょうか.

時間の関係で、演習を行う時間は、残念ながらかなり少なくなりそうです。

集積回路に携わる仕事の需要は,今後増加するのですか.

2つの面で、重要になってくると思います。 1つは、LSIのシステム化により、用途ごとにLSIを作れますから、 逆に言うと、用途ごとにLSIを設計する必要がありますから、 純粋な回路設計技術者として、仕事は増えていくと思います。 もう1つは、システムLSIではなくても、システムを構成する 「うまい」部品として、LSIを設計し、または使用することが できる技術者は、重要になってくると思います。 そのような視点を持つためには、LSIの設計技術に明るい必要が あると思います。

微細化が進むと、その分高価格化もしくは安くしないのですか.

基本的にはそれがスケーリングの恩恵というものです。

機能単価関係

半導体産業以外で,機能単価が下げやすいものはあるのでしょうか.

これが実はなかなかないんですね。 半導体産業、特に集積回路産業特有の現象のようです。

機能単価は,実際の数字として発表されているのでしょうか.

技術的というより経済的な指標、と考えるとよいでしょう。

トランジスタ数が増えすぎても,載せられるチップの種類に限界はあるのですか.

原理的にはないといえます。 ただし、その多すぎるトランジスタを使いこなしきれるか、は、 回路設計の技術によるところが大きいです。

その他

付加価値が大事になってきていることがよく分かりましたが、どういう勉強すればよいでしょうか.

広い視点を持つように心がける姿勢が大切だと思います。 具体的には、1つの技術の詳細を深めるだけでなく、 幅広い技術について、その技術の要点(できること)と限界を知っておく、 ということが重要と思います。 しかし残念ながら(?)技術は日々変わって行きますので、 そのトレンドを追う習慣をつける、のが、一番よいと思います。

成績評価の方法を教えてください.

シラバスを参照してください。

クロック周波数が上がっていくが,最初からあげられなかったのはなぜですか.

スケーリングの効果の1つとして、回路の動作速度の向上があります。 微細化するほどクロック周波数をあげられる、という意味ですね。

FPGAの設計はHDLで行われることが多いと思いますが,より高性能・高機能な回路を設計するためには,開発効率を上げられる言語が必要だと思いますが,より抽象的なレベルで設計を行う言語はあるのですか.

最近は、SystemCなどの高級言語も、かなり一般的になってきているようです。

集積化によりチップの専門化も進み,設計の全体量が増えているのではないですか.

全くその通りです。

要望

広い講義室にしてください.

一応事務に要望はしてみますが、広い講義室は埋まっていて なかなかとれないようです・・・すいません。

VLSIの設計について名前しか聞いたことがないので,具体的なことをもっと知りたいです.

ぜひ北川先生の自主課題研究、あるいは卒研でウチの研究室、 あるいは個人的にどうぞ。
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