第10回分

マスクROM

マスクROMの(a)(b)(c)の回路の動作がよく分からなかった。

もう一度復習してみてください。

マスクROMの(c)でWLi+1につながっているMOSは省略可能な気がするが、何の意味があるのか?

もちろんなくてもよいのですが、「MOSまとめて作っておいて、 記憶させるデータに応じてコンタクトの有無だけを変える」 という方針をとっているのです。

マスクROMの(a)と(b)の違いがよく分からなかった。

トランジスタそのものがあるかないか、と、 トランジスタはあるがその性質(しきい値)が違うか、 の違いです。 動作としては、WLを1としたときに、Djの放電が起こるかどうかの違い、 という点では同じですね。

マスクROMの(a)と(b)では、(a)のほうがTr数が少ないため得な気がするが、なぜ(a)と(b)を考慮する必要があるのか?

回路構成上、規則的にしないとまずいので、 トランジスタがない場合でも、ある場合と同じ場所だけは とっておくことになります。

マスクROMの(b)のしきい値の高・低はどのように決まっているのか?

MOSトランジスタのチャネル領域の不純物濃度で決まります。

利点・欠点が同じだが、その2つはどのように使い分けるのか?

いえ、逆ですよ? (a)(b)は、○集積度↑、×先にプログラムしないといけない、 (c)は○あとからプログラムできる、×集積度↓、です。

ROMの読み出し動作がよく分からなかった。WLに電流が流れるかどうかで判断するのでは寄生容量に吸収されてしまうのではないか?

WLはトランジスタのゲートにつながっていて、電圧を加えて トランジスタをONさせるのに使います。 そのトランジスタが、プリチャージされたDjを 放電するかどうか、で1/0を決めていることになります。

人気のゲームはマスクROMを使っていたということに興味が湧いた。

昔はそうだったんですよね。

ドラクエIIIはデコピン一発でデータが消えてしまうほどだったが、ファミコンカセットのセーブデータが飛びやすいのはマスクROMを使用していたためか?

おそらくセーブデータの保存は、バッテリでバックアップされている SRAMが使われているので、デコピンで、そのバッテリが一瞬はずれて、 データが消えてしまうのではないでしょうか。

プログラマブルROM

UV-EPROMが紫外線を用いて書き換えるということに驚いた。

昔はよくあったんですけどね。

プログラマブルROMについて、配線を選択時に焼き切る、というイメージがよく分からなかった。

ビット線・ワード線の交点部分の配線を細くしておいて、 必要なところにわざと大電流を流して焼ききる、ということです。

UV-EPROMは、部分的に書き換えることはできないのか?紫外線を特定のメモリセルに照射することが可能か?

原理的にはできそうですが、現実的にはほとんど無理でしょうね。

UV-EPROMは、一度消去したら再び書き込むことはできない、ということか?

いえ、FGから電子がなくなったら、元の状態ですので、 再び書き込みができあmす。

UV-EPROMに電荷がないときに光を当てても何も起こらないのか?

そうですね、何も起こりません。

世の中で売られているDVD-RWは、UV-EPROMにあたるのか?

いえ、DVD-RWは、相変化材料という、光の反射率が状態によって 変わる材料を使っています。

CDの「直射日光を避けて下さい」という注意書きは、UV-EPROMの紫外線を当ててデータを消去するという原理と同じか?

紫外線がもつエネルギーで、FGの電子が逃げたり 分子の結合が切れて分解する、という意味では同じようなことでしょうね。

酸化膜を薄くすると、なぜ書き換え可能になるのか?

電子をFGに出し入れしやすくなるから、です。

プログラマブルROMの実用例は、どのようなものがあるか?

EではないPROMは、CD-Rみたいなものですので、 最近はほとんど見かけなくなりました。

書き込み可能なプログラマブルROMなどとRAMの違いはなにか?

特に電源を切ったときにデータが消えるかどうか(揮発性)、と、 書き込みにかかる時間(EPROMのほうがかなり遅い)、です。

クソゲーに使われるということで、コストの違いがどれくらいあるのか気になった。

EPROMは、紫外線照射に耐えられるように、プラスチックではなく セラミックのパッケージを使う必要があり、 そこがコスト高の主な要因です。

クソゲーはUV-EPROMで作るってことは、クソゲーであることを前提にゲームを作ってることになるのでは…。

まあ、これはあまり売れないだろうな、とふんで、 UV-EPROMを使うんでしょうね。

フラッシュメモリ

フラッシュメモリの構造がよく分からなかった。

ちょっとはしょって説明してしまいました。

FGの構造・原理がよく分からなかった。

ちょっと物理現象がからんでくるので、 とっつきにくいかもしれません。

データ線とワード線は1:1対応だと考えていたが、フラッシュメモリの説明で、複数のワード線がコンタクトされていたが、どのビットのデータかをどうやって判断するのか?

講義では飛ばしてしまいましたが、 講義資料のマスクROMのところの 後半に、関連する解説がありますので、 興味のある人は参照してください。

NOR型のMOSの片方はどこにつながっているのか?GND?

データ線の放電先ですから、GNDです。

NAND型フラッシュメモリの、FGのないMOSは何のために付いているのか?

そのブロックをデータ線につなぐかどうか(読み出し対象とするかどうか)を 選ぶためのものです。

USBフラッシュメモリ等は、急に抜くとデータが飛ぶかもしれない、と言われているが、なぜか?

フラッシュメモリの書き込みはかなり遅い↓ので、 データをバッファにためておいて、順次書き込んでいくのが一般的です。 そのため、急に抜くと、実はまだ書き込みが終わっていないこともあるわけで、 データが紛失してしまうことあがある、ということです。

フラッシュメモリの書き換え速度はどのくらいなのか?

ブロック単位で数十ms程度、というものが一般的のようです。

フラッシュメモリがビット単位で消去できないのに、余計なデータまで消してしまったりしないのか?

消去される単位の全体は消してしまうしかないので、 どうしても必要であれば、消す前に読み出しておくことになりますね。

フラッシュメモリはNAND型とNOR型ではない、他の構造もあるのか?

あまり聞いたことはありませんね。

その他

不揮発の半導体メモリがハードディスクに置き換わるとして、後何年かかると考えられるか?

どうなんでしょうね。 でも今年はSSDもずいぶん普及しそうな予感はありますね。

CD-ROM・CD-RAMの容量は、どのような要因で決まるのか?

CD-ROMの容量は、あてるレーザの波長(これが短いほど、 1ビット分の面積を小さくでき、大容量化できる)と、 安定にそれを読み出すためのレーザの照射位置の制御方法、が 主な制限要因のようです。

FeRAMがRAMの代替になるかも?という話だったが、ここでいうRAMはSRAMのことか?

構造的にはDRAMに近いのですが、FeRAMは書き換え回数があまり 多くないので、SRAMの代替あたりが実用的のようですね。

FeRAMは確かに便利そうだが、どのくらい製造コストがかかるのか?

本気で量産してしまえば、ほとんどDRAMと同じくらいになりそうですが、 どうなんでしょうね。

ビットごとの消去ができるROMはあるのか?

EEPROMはそうです。

講義の感想

新年明けましておめでとうございます。

今年もよろしくお願いします。

いろいろなメモリがあり、それぞれの特徴がユニークで興味深かった。

資格試験でよく聞くメモリの名前がいっぱいあって楽しかった。

コンピュータの歴史と集積回路の歴史をまとめて概観するには いい分野だと思います。

プログラマブルROMやフラッシュメモリなどは、すでにリードオンリーでなくなっている気がする。

講義中にも紹介したように、 ROMという言葉は、ほとんど不揮発性メモリ、の意味で使われるようです。
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