第1回分

PCや携帯電話以上に、高性能な集積回路が活用される分野はないのか?

最近は、この両者が、いろいろな意味で最先端の集積回路技術が ふんだんに投入されている分野と考えてよいと思います。

より高性能な集積回路が必要とされる分野もあると思うが、性能向上の限界をどうやって超えるのか?

微細化の限界の先のLSIはどうなるのか?

単純な微細化に頼るのではなく、マルチプロセッサ(並列処理)化など、 システム全体の構成レベルから考え直すのがよさそうです。

原子より小さいトランジスタが求められるときはどうするのか?

トランジスタを原子より小さくする研究はあるのか?

それは無理ですので、↑のように、別の方法を考えるしかありません。

性能の限界、というものはあるのか?

↑のように、別のレベルで工夫の余地はいろいろありますので、 一概には言えないでしょうね。

ICとLSI、VLSIの違いは?

集積回路=IC(Integrated Circuit)で、 そのうち回路規模が大きいものをLSIと呼び、 さらに、特に回路の規模が大きい(目安としてトランジスタ数が 100万個以上のもの)を、VLSIと呼びます。

ICの細い配線にはどれぐらい電流が流せるのか?

一般的なICの配線はアルミニウム(Al)ですが、 アルミニウムに流せる電流密度は、だいたい106A/cm2ぐらいが 上限のようです。 1cm=10000umですから、1cm2=108um2ですので、 10-2A/um2=10mA/um2ということになります。 幅1um、厚さ0.1umのアルミ配線だと、1mA、ということになりますね。

スケーリング則の集積度はなぜk2になるのか?

集積回路の中のトランジスタは、平面的に並べられますので、 1個のトランジスタの縦・横が1/kになると、1個のトランジスタの面積は 1/k2になりますので、集積度、つまり同じ面積に入る トランジスタの数はk2となります。

機能単価での「性能」とは、様々な要素の積み上げとして判断するのか?

まあ、あくまでも、ものごとを考えるときの目安として考えてください。

LSIはシリコン以外にも作りこまれるのか?

LSIはなぜシリコンを使うのか?

シリコン以外にも、ゲルマニウム(Ge)、砒化ガリウム(GaAs)など、 半導体として使える材料は多くありますが、 コスト面などから、シリコンが主流になっています。

シリコンよりLSI向きの材料はないだろうか?

シリコンよりも性能の高いトランジスタを作ることができる材料として、 最近はシリコンとゲルマニウムの合金(SiGe)が注目されているようです。

シリコンは永遠の資源か?それに代わるものは?

もちろん有限の資源ですが、地球上にはかなり大量にある元素であるようです。 シリコンという資源の枯渇、は、当分は心配はしなくてよさそうです。

トップダウン設計で、「半自動で変換」とはどういう意味か?

ところどころ人間が指示を出してコンピュータにほとんどやってもらう、 という意味です。 具体的には追い追い・・・

PCは小型なものほど高価だが、なぜか?

これはスケーリングとは別の要因で、 小型のPCほど、専用に設計した部品を使う必要があるため、 コストがかかる、ということのようです。

SRAMやDRAMの意味がわからなかった

すいません、あまり詳しくは気にしないでください。 メモリにいくつか種類がある、程度で結構です。 ちなみにSRAM=Static RAM、DRAM=Dynamic RAMの略です。

ユーザは、なぜ機能飢餓になるのか?

それは人間の本性ではないでしょうか。

スケーリングの技術的限界で、メモリ容量の限界はどのくらいか?

メモリ容量の増加の限界はどのあたりか?

DRAMは比較的早くにスケーリングの限界に達しており、 1Gb〜4Gb程度が限界のようです。

資料中(p3)の素子と配線の違いがわからなかった。

素子はトランジスタや抵抗などで、シリコンの中に作りこまれます。 配線は、その上に積み上げていく形になります。

機能飢餓という言葉の意味がよくわからなかった

「もっと性能がいいものが欲しい状態」、と考えてください。

ウェハに回路を描くだけでなぜ抵抗などの素子になるのか?

1枚のシリコンのウェハの中に、素子や配線など役割の違うものを作れるのか?

詳しくは触れませんでしたが、シリコン内の一部の領域を、 選択的に性質を変える(P型、N型など)ことで、 トランジスタや抵抗などの素子になります。 また配線は、別に、金属(Alなど)を、あとから堆積させます。

プロセッサ、とはどういう意味か?

Processor、つまりProcess(処理)するもの、ということです。 ほとんどの場合、コンピュータの中央処理装置(CPU)のことを指します。

スケーリング則について、もう少し詳しく知りたい

機会があれば、Webなどにも情報がありますので、 調べてみてください。

半導体のシリコンとは、ゴムのシリコンと同じものか?

ゴムのやつは、正しくは「シリコーン(silicone)」という名称で、 シリコン(silicon)を原料とする樹脂のことを指します。 つまり、両者は別物です。

集積回路は、いろいろな機器の中でどのような役割をはたしているのか?

集積回路によって、どのようなものが作れるのか?

電子回路ができることのすべて、ですね。 例えば論理演算、増幅、発振、などなど・・・

微細化によってトランジスタそのものの性能は下がらないのか?

例えばトランジスタが流すことができる電流は減りますが、 それ以上に負荷(コンデンサなど)が小さくなるので、 結果として、回路全体の性能が上がる、という理解でよいと思います。

クルマの機能単価が下がりにくいのは、性能が上がりにくいということか?

それもありますし、価格も、ここまで合理化された産業ですので、 これ以上はあまり下げにくいでしょうね。

メモリなどのLSIの性能は、なぜこれほど速く向上するのか?

スケーリングという、わかりやすい目標があったからだと思います。

IC内の回路は微細なのに、割と丈夫なのはなぜか?

丈夫な保護膜(実体は、二酸化シリコン(SiO2)で 覆われているから、ですね。

微細化によって起こる問題点は?

スケーリングの短所はないのか?

詳しくは触れませんでしたが、 配線を信号が伝わるのにかかる時間(配線遅延)が、相対的に 大きくなってしまうこと、など、いくつかあります。

ビデオ中のシリコンを引き上げ後、どうやって取り出すのか?

切り取っていましたね。

シリコンとは何か?

4族元素のSi、です。

50nmほどのものをどうやって作るのか?

原理的には、非常に波長の短い光を用いて、写真製版のように 作りこみます。

「シーズ」とは何か?

提供できる技術、のことです。

なぜトランジスタがあそこまで微細化できるのか?

なぜこれほど急速に微細化が可能なのか?

技術革新の賜物、でしょうね。

クルマなどと比べて、なぜLSIは機能単価を容易に下げられるのか?

スケーリングにより、価格あたりの性能(同一チップ面積での性能)を あげることができ、あるいは逆に性能あたりの価格(同一性能に必要な チップ面積)を小さくすることができる、ということです。

スケーリングとは何か?

トランジスタを(がんばって)小さく作ること、です。

スケーリングにより、実際にはLSIは高価になるのではないか?

最近は、確かに微細化に伴う製造装置の価格が急激に上昇しているので、 LSIがスケーリングにより低価格になる、とは、必ずしも言えない状況であるのは 事実だと思います。

LSIとはどのようなアイディアから生まれたのか?

トランジスタなどの素子をたくさんビニール線でつないで半田付けするのが 面倒だったからじゃないでしょうか。

トランジスタの微細化はあと何年ぐらいで限界になるのか?

量産レベルでは、まだ20年以上先のようです。

1台の機器にはどれぐらいのLSIが入っているのか?

モノによりけりですが、PCだと100個ぐらいといったところでしょうか。

機能単価という言葉の意味がよくわかなかった

ある機能あたりの値段、ということです。 例えば10個いりで100円のチョコの機能単価は、 10円/個、ということです。

微細化の限界はなぜあるのか?

トランジスタを作る際のバラツキや、 本来流れるべきではないところに電流が流れてしまう、という 避けられない現象があるためです。

今ある最も大きいLSIはどの程度の大きさか?

物理的なサイズでいうと、チップで20mm角ぐらいでしょうか。 トランジスタ数でいうと、1億個ぐらいでしょうか。

ムーアの法則の「3年で4倍」の根拠は何か?

LSI製造メーカの製造装置の交換のサイクルがおよそ3年で、 その交換に合わせて、比較的目処を立てやすい 4倍の性能を目指して技術開発をする、ということが根拠のようです。

LSIの価値を高める方法は、この授業で扱う内容以外にあるか?

なかなか奥が深い話だと思います。 情報技術全般から考えるべき内容だと思います。

シリコンウェハはいくらぐらい?

10年ぐらい前に、直径5インチのもの(CDと同じくらいの大きさ)が 数千円、と聞いたことがあります。

金沢大では設計したLSIをパッケージ化できるのか?

個人でHDLなどで設計したものを実際のLSIとして作れるのか?できるならいくらくらいで?

VDECというところを使って、 自分で設計したLSIを作ってもらうことができます。 ただし学校関係者限定です。 安いものであれば、数万円から作ってもらえます。

これからのLSI業界はもうかるか?

これもなかなか奥が深い話だと思います。 少なくとも、昔は日本の電機メーカは、ほとんどが あらゆる集積回路(マイコン、メモリ、アナログ、など)を 製品化していましたが、最近は、ある分野に特化する、という 傾向が顕著になっています。 そうやって投資を集中しないともうからなくなっている、 ということだと思いますが、いかんせん、ほとんどあらゆるすべての 電子機器に集積回路は入っていますので、 勝ち残ったところは、もうけも大きいでしょうね。

PICマイコンもLSIの一種か?

もちろんそうです。

PS2の中には、今日みた基板以外には入っていないのか?

残念ながらあのPS2の中は、メインはあの1枚だけでした。 他に電源基板がありました。

トランジスタを集めるだけでなぜLSI、さらにはコンピュータになるのか?

これは非常に難しい話です。 トランジスタをうまく集めると論理回路になり、 論理回路をうまく集めると演算器やメモリになり、 演算器やメモリをうまく集めるとコンピュータになります。 個別には、論理回路やコンピュータアーキテクチャなどの授業・学問が ありますが、すべてを統一的に扱う学問分野は存在しないように思います。 しかし集積回路では、ある程度、そのような視点が必要なんですよね。

具体的なLSIの中身を知りたい

機会があれば、ご紹介したいと思います。

これからのLSIはどのように変わっていくのか?

高性能化と低価格化・普及化の二極化が顕著になっていくと思います。

ビデオの映像は17年前のものだったが、最近の工場などはどうなのか?

基本的にはほとんど同じみたいですね。

資料やグラフの字が小さい

すいません、次回からは気をつけます。

ビデオ上映を入れたのはよかった

それはよかったです。

ビデオの中の回路の焼付けなどの工程を詳しく知りたい

実は、あのビデオの飛ばした中にあったので、 機会があればご紹介をしたいと思います。

難しい単語が多かった

すいません、次回からは補足をしながら使うようにします。

ノートは必要ですか?

来週からは、あったほうがよいと思います。

もう少しゆっくりしゃべってほしい(多数)

すいません、これはいつも言われることで、気をつけているつもりなのですが、 つい早口になってしまいます。 できる限り、気をつけるようにします。
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