コンピュータの中身を知る、といっても、いろいろな段階があります。 論理回路やコンピュータアーキテクチャといった、 比較的抽象度の高いレベルでの理解も必要ですが、 もっと物理的なレベルの理解も、上記のようなコンピュータを よく知るためには、とても大切で、かつ有意義です。
前期の「電子回路第1」では、コンピュータの物理的な理解としての 「電子回路」のうち、情報通信技術に関わる者としてぜひとも共通に 知っておくべき「オペアンプ」と呼ばれる回路を中心に 学んできました。
この講義では、その発展形として、そのオペアンプの中身を構成する トランジスタの回路についてより深く学びます。 その過程を通して、オペアンプ、さらにはそれの更に上位のレベルである コンピュータの実体をより深く理解することを目指します。
回路シミュレータにもいろいろありますが、
この講義では、フリーウエアながら十分な機能を持つ
PSpice Student Editionを使います。
PSpice Quick Start(北川先生作)の「(3)回路図の作成」の前までの
手順を各自で行ってください。
※ダウンロード先がうまく見つけられない人は、とりあえずこちらのものを使わせていただきましょう。
※インストールの途中、回路図エディタを選ぶところがありますが、
"Schematics"を選んでおいてください。("Capture"を選ばない)
以下は、ここまでの手順が済んでインストールが完了した状況で 話を進めます。 細かい説明で理解できないところは、とりあえずは読み飛ばして結構です) ※ライブラリの登録は、Options→Editor Configurationから、少なくとも次の5つを含むようにしてください: student1, eval, analog, source, port ※WindowsVistaがインストールされているPCでは、インストール時に、 拡張子schが他のアプリケーションに割り当てられている、旨の 警告が(英文で)出ることがあるようです。 とりあえずは気にしなくて結構です。
まず部品を配置します。
半波整流回路で使う部品は、信号源(正弦波)、ダイオード、負荷(抵抗)、の
3つです。
↑上の方にある"Get New Part"ボタンを押します。
すると配置する部品を選ぶ画面↑になるので、
左上の「Part Name」のところに、正弦波の電圧源である「VSIN」と
入力してみます。
すると、↑のように正弦波電圧源が現れるので、
「Place&Close」ボタンを押します。
(「Place」ボタンでもよい)
回路図面に先ほど選んだ制限は電圧源が現れる↑ので、
適当なところで左クリックして配置します。
続いてダイオードを配置します。
↑今回は「D1N4002」というダイオードを使います。
↑同様に抵抗(「R」)と基準電位であるGND(「GND_ANALOG」)を
こんな感じで配置します。
続いて、これらの部品を配線↑で結びます↓。
最初はあまり細かいことは気にしなくて結構ですが、
なるべく「きれいに」描くようにするとよいでしょう。
続いて、各部品の「パラメータ」を設定します。
パラメータとは、例えば電圧源の電圧振幅や、
抵抗の抵抗値、などです。
実際の回路の設計・シミュレーションでは、
目標の特性を得るように、回路の中の部品のパラメータを調整して
いくことになります。
まずは正弦波電圧源をダブルクリックすると、
↑のようなパラメータ設定の画面になります。
この中の、次の3つを設定しておきます。
さて回路図を描き終わったら、その挙動をシミュレーションする
準備↑をします。
PSpiceではいろいろなシミュレーションができますが、
今回は、回路の電圧や電流が時間と共に変化していくか、を
みることにしましょう。
このような時間変化のシミュレーションを
過渡解析 (Transient Analysis)と呼びます。
↑のように、「Transient」のところにチェックを入れて、
そのボタンを押します。
↑過渡解析の条件を設定する画面になりますが、
とりあえずは、どれだけの時間だけシミュレーションするのか、を
指定します。
ここの「Final Time」のところに「2ms」と入れておきましょう。
つまりシミュレーションを0からはじまって2msまで行う、
ということです。
先ほど設定した正弦波電圧源の周波数が1kHzでしたが、
その1周期は1/1kHz=1msですので、いま設定した
シミュレーション終了時間の2msは、ちょうど正弦波の2周期分、
ということになります。
続いて、回路図中の、どの部分の電圧変化(や電流変化)を
見たいか、を↑○Vのマークのボタンで指定します。
今回は正弦波電圧源のところと、ダイオードを通ったあとの
抵抗のところの2箇所に、観測ポイント(○V)を指定します。
ここで、回路図に名前(half_rect等)をつけて保存をしておきましょう。
ぜひ、自分のPCにPSpiceをインストールして、 今回の手順を一通り試し、余裕があれば、 シミュレーション終了時間や正弦波の振幅・周波数などを変えて いろいろ試してみてください。
※シミュレーション終了後に、再度回路図編集(Schematics)に 戻ると、"Undefind layout format chosen:PCBOARDS"というエラーが 出ることがあるようですが、とりあえずはOKを押して無視してよさそうです。