研究テーマ/RP の変更点


* 疑似的な不規則画素配置をもつディスプレイ・イメージセンサ [#rc440a22]

** ディスプレイ・イメージセンサの画素の構成 [#g90cdc36]

従来のディスプレイやイメージセンサ(撮像素子)は、 多数の画素(ディスプレイの光・色を発する領域、または 撮像素子の光を受ける領域)からなりますが、 一般に、その配置は、格子状に並んだ規則的な配置をとります。(下図(b)) しかしこの配置では、特に傾きの小さい斜め線を表現するとき、 ギザギザが目立ってしまいます。
本研究では、画素の中の、光を発したり受けたりする「有効領域」が、 画素の全面ではないことに着目し、 画素の中の「有効領域」の配置を、下図(a)のように数種類用意し、 その配置の順序を下図(c)のように無作為とすることで、 全体として「有効領域」の配置を散らせる(疑似的な不規則配置)ことで、 ギザギザの目立たない図形表現が可能な ディスプレイや撮像素子を実現することを目的とします。 

#ref(layout.png)

** 画素の配置と表現効果 [#f708d279]

#ref(matrix.png)
 
一般的な格子状の画素では、このように斜め線にギザギザが 現れてしまいます。 
 
#ref(prandom.png)

それに対し、この疑似的な不規則画素配置では、 斜め線のギザギザが目立たなくなります。
実際には、不規則画素配置の画素の間隔は十分細かいので、 この細かいギザギザは目には見えないことになります。

このように、この手法は、ディスプレイや撮像素子の 高精細化の常道である、(1)高解像度化(画素の縮小化)、 (2)低ノイズ化(信号品質の向上)、とは独立の、 第3の高精細化の手段となることが期待されます。

最近は、この「きれいさ」を客観的に示す指標を探し求めています。

* 擬似的な不規則画素配置を持つイメージセンサ [#qd274690]

実際に設計してみました。

#ref(08RPS.jpg,,30%)

画素数: 128×64
画素サイズ: 10[μm]×10[μm]

#ref(08RPSa.jpg,,30%)
 
一部設計ミスがあり、ダミーメタルがついてしまいましたが、 受光部の配置が、擬似的に不規則となっていることが確認できます。

#ref(12RPS.jpg,,30%)

画素数: 64x64、CMOS0.6umプロセスで再設計(規則配置32x64画素+擬似的不規則配置32x64画素)

** 「擬似的不規則画素配置」FAQ [#q822fed4]
- 有効領域が100%だと変位できないのでは?→変位できませんが、実際の画素は、カメラでもディスプレイでも100%が有効領域ではありませんので、変位は可能です。あるいは逆に、あえて有効領域を減らしてでも変位をつくって擬似的不規則配置にしたほうが、高精彩化のメリットがある場合もあります。
- ジャギーを中間調で補完するアンチエイリアシングと何が違う?→アンチエイリアシングでは、斜め線の向きによってジャギー解消効果が異なり、エッジのぼやけ方が、斜め線の向きによって変わることになります。特に動画像のようにこのぼやけ方が時間とともに変化する場合は、人間の眼にはより強く知覚されます。なお擬似的不規則画素配置によるジャギー解消は、アンチエイリアシングと独立の手法ですので、併用も可能です。
- Retina Displayや4K/8Kモニタにように画素が十分に小さくなればジャギーも消えて十分にきれいなのでは?→人間の眼は、ジャギーのような「段」に対しては「副尺視力」と呼ばれる視力を持つことが知られていて、これは通常の視力(視力検査で測る、Cの字の隙間を知覚する視力)より20倍程度高いことが知られています。実際、RetinaDisplayでも、水平線から少し傾いた斜め線では、明確にジャギーを知覚することができます。また斜め線のジャギーを解消するために解像度を上げることは、水平垂直線に対しては無駄な画素数増加ということもできます。擬似的不規則画素配置は、比較的少ない画素で、相対的にきれいな映像を表現することができます。
- 擬似的不規則画素配置だと、格子状画素配置ではぴったりきれいな水平垂直線も汚く見えるのでは?→斜め線の向きによって、この「汚さ」が変わらない(方向特異性がない)のが擬似的不規則画素配置の特長で、この「汚さ」に対しては、通常の視力が効きますので、ある程度画素数が増えると、これは知覚されなくなります。
- カメラとディスプレイで画素配置が異なると困るのでは?→評価方法によって異なりますが、おおむね、「カメラ・ディスプレイが同じ擬似的不規則配置」>「カメラとディスプレイの一方が擬似的不規則配置、もう一方が格子状配置」>「カメラ・ディスプレイが異なる擬似的不足画素配置」の順に、ジャギー解消効果が小さくなりますが、それでも「カメラ・ディスプレイともに格子状配置」よりはジャギー解消効果が大きくなります。



** 発表文献 [#d0c8e596]
※最新版は[[研究成果]]をご参照ください.
- 谷越大峰・秋田純一, 不規則画素配置を持つ撮像表示素子の検討, 映像情報メディア学会技術報告, Vol.30, No.32, pp.21--24, 2006.6.
- 秋田・谷越・北川, 「疑似的な不規則画素配置をもつ方向特異性のない撮像・表示素子構成の基礎検討」映像情報メディア学会誌, Vol.60, No.7, pp.1068--1071, 2006.
- 秋田純一, 擬似的な不規則画素配置を持つCMOSイメージセンサ, 映像情報メディア学会技術報告, Vol.31, No.28, pp.37-40, 2007.6.
- 岩淵勇樹・秋田純一, 非周期的な画素配置を持つCMOSイメージセンサの基礎検討, 電子情報通信学会技術報告, Vol.107, No.163, ICD2007-65, pp.165-170, 2007.7.
- 米田智弘・秋田純一, 「擬似的不規則画素配置をもつ撮像素子の空間サンプリング特性」, 映像情報メディア学会技術報告, Vol.31, No.60, IST2007-113, pp.53-56, 2007.12.
- 秋田純一, 擬似的な不規則画素配置を持つCMOSイメージセンサの方向特異性の一検討, 映像情報メディア学会技術報告, IST2008-28, pp.41-44, 2008.6.
- 秋田純一, 擬似的な不規則画素配置を持つCMOSイメージセンサの方向特異性の一検討, 第2回情報フォトニクス研究討論会予稿集, pp.1-2, 2008.6.
- J.Akita, CMOS image sensor with pseudorandom pixel placement, IEICE Electronics Express, Vol.5, No.10, pp.388-393, 2008.
- 前田唯・岩淵勇樹・秋田純一, 空間スペクトルを用いたジャギー評価に関する一考察-擬似的不規則画素配置によるジャギーの解消効果-, 映像方法メディア学会技術報告, Vol.32, No.57, pp.29-32, 2008.12.
- 日本経済新聞2006年7月27日号 33面(北陸経済面)
- 日経産業新聞2006年7月27日号 7面(デバイス面)
- 北陸中日新聞2006年7月27日号 14面(北陸経済面)
- 北國新聞2006年7月27日号 23面(地方社会面)
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