第1回分

■オペアンプに関する質問

増幅率は、電圧、抵抗など、他の変数に依存しない任意の定数か?

いえ、オペアンプ自身がもつ特性、つまりオペアンプの設計・製造時に 決まる値、です。

理想オペアンプは実際には存在しないはずなのに考える意味はあるのか。

理想オペアンプの特性は、どのような場合においても適用してもよいか?

理想オペアンプというぐらいですから、実際のオペアンプには2つの仮定が全く成立しないのかどうかが気になる。

結構多くの場合で仮定して問題ないことが多いですが、 扱う信号の性質による、というところでしょうか。 例えば、次回少し扱いますが、反転増幅器などの増幅率が非常に大きい場合や 非常に微弱な信号と扱う場合には、理想的とみなせない場合もあり、 それぞれの現実の特性を考慮する必要があります。

現実的には、どこまで理想オペアンプに近いものが作れるのか?(2件)

理想的なオペアンプと現実に出回っているオペアンプに違いはあるか?(2件)

それは第5回あたりで詳しく触れましょう。

理想オペアンプの性質がなぜそのようになるのか分からない。

理想オペアンプの性質の2つ目の根拠が分からない。

理想オペアンプがA→∞である理由を教えて欲しい。

そういうものを考えましょう、そうするといろいろと面白い回路を 作れます、ということです。

オペアンプのマイナスとプラスの向きに違いがあるのはなぜか?

オペアンプのプラス端子とマイナス端子を逆にしてはいけない理由が分からなかった。

オペアンプのプラス端子とマイナス端子の位置を変えたりするところが分からなかった。

オペアンプの端子が、なぜ上がマイナスで、下がプラスなのか分からない。また、非反転増幅器で、マイナスとプラスの位置が逆転するのか?

非反転増幅器と反転増幅器で、プラスとマイナスが逆転するのはなぜか?(3件)

今回触れられなかったので次回触れますが、負帰還回路となるために 実は必要です。

2つの入力に電流が流れないことが、どうして理想なのか?

2つの入力に電流が流れないということの意味が分からなかった。

そういう性質を仮定すると、回路を考えるのが楽になる、ということです。 入力電流がゼロでないと、反転増幅器の式は、もっと複雑になり、 本質が見えにくくなってしまいます。

入力に電流が流れないのは理想オペアンプのインピーダンスが∞だからですか?

そういうことです。

入力に電流が流れないのはなぜか?

理想的にそういうものを仮定している、ということですね。 ただ後に詳しく触れますが、現実のオペアンプでも、 けっこう理想に近い(多くの場合でほとんど電流が流れないとみなしてよい) ようです。

電流が流れずに電圧だけがかかっている状態は実際におこすことができるのか?

I=0にするということが不思議に思った。どうしてViがかかっているのに、I=0にできるのか?(5件)

それはできます。 電圧と電流は別の概念・物理量で、 電流を流そうとする度合いが電圧(電位差)、 電荷の流れが電流、です。 つまり、電流を流そうとしているが、流れない状態、ということですね。 柱を押している状態、に似ているといえるでしょうか。 柱を押す力はかかっているものの、実際には柱は動いていません。

オペアンプの入力に電流が流れるとどうなるのか?オペアンプが壊れるのか?

いえ、流そうとしても流れない、ので、つながっているR2のほうへ 電流が流れてしまうわけです。 もし、このR2のように電流が逃げる経路がなくて、かつ、電流源という 必ず電流を流す素子がつながったら・・・壊れるでしょうね。

背理法の説明で、Vo→∞が、何故矛盾なのか?電圧が∞というのはありえないということか?(4件)

そういうことです。 現実の物理量として、電圧は有限の値となります。

理想的なオペアンプは高いのですか?

理想度合いしだい、というところでしょうか。 詳しくは第5回あたりで、いろいろ見ることにしましょう。

理想オペアンプが現実にはありえないのであれば、Vo→∞が矛盾で背理法が使えるのはおかしい気がするのですが・・・。(仮定自体矛盾?)

理想オペアンプを使った現実の回路を考える、ということです。 増幅率は、入力と出力の電圧の「比」ですから、現実的に非常に大きくでき、 その理想的な極限が∞、というわけです。 もちろん第5回あたりでみるように、現実のオペアンプのAは有限の値ですが、 出力電圧はやはり有限の値なので、2つの入力の電圧差は非常に小さくなります。 (もちろん理想的なA→∞の極限では、これは0になる) この「非常に小さい」を、実用上はゼロとみなせる、という解釈でよいと思います。

定義は理想オペアンプの性質を求めるため以外に何に使うのか?

オペアンプの回路の性質の本質を見極めるのに有用といえると思います。

■反転増幅器に関する質問

反転増幅器は、他の増幅器と比較してどのような利点があるのか?(2人)

今回触れられませんでしたが、加算増幅回路、という、2つの入力信号の 電圧を加算したものを出力する回路へ拡張することができます。 あとは、回路がシンプルなので、とっつきやすい、というところでしょうか。

反転増幅器の使用例を教えてほしい。(2人)

具体例は、講義の中で折に触れて紹介していこうと思いますが、 「増幅する」ところで、けっこうよく使われるように思います。

反転増幅器で、Vi<0の場合、電流はIは逆に流れると考えればよいか?

もちろんそういうことです。

反転増幅器について、出力が反転する利点は何か?

利点、といいますか、結果としてそうなってしまう、ということでしょうか。

ボルテージフォロアがI=0にできるのに、非反転増幅器ではどうしてI=0にできないのか?

いえ、非反転増幅器でもI=0ですよ。

非反転増幅器の電流Iのおき方が分からなかった。

もう一度復習してみてください。

非反転増幅器で、R1=0,R2=∞の場合、どうなるのか?

それは・・・V-=0ということですから、A=∞であれば、 V+≠0であればVo=∞、となってしまいますね。

非反転増幅器の入力には電流が流れないが、反転増幅器にVi/R1が流れるとはどういうことか?

求めてみるとそうなる、ということでしょうか。

反転増幅器の解説では、マイナス端子には電流が流れないと説明された。しかし、非反転増幅器の説明後に、Vi/R1の電流が流れると説明されたが、どういう意味か?

オペアンプのー入力には電流は流れません。(理想オペアンプの性質) しかし、反転増幅器につながっているR1には、求めたようにVi/R1という 電流が流れますが、これは、反転増幅器全体として、入力に流れる電流、と みなすことができる、という意味です。

非反転増幅器で入力に電流が流れないのはなぜか?(2件)

理想オペアンプの性質から、入力(+)には電流が流れないから、ですね。

反転増幅器と非反転増幅器の抵抗の位置はきまっているのか?

決まっている、といいますか、ああやってつないだ回路に、m それぞれ、あのような名前をつけた、ということです。

増幅器の種類はどれぐらいあるのか。

星の数ほど、というところでしょうか。

分岐しているところの電圧を理解できなかった。

分圧、のことですかね。 ぜひもう一度復習を。

反転増幅器のR2の電圧が、左の方が高いなら、なぜ右側は-Voとならないのか?

Voが負、と考えればわかりやすいでしょうか。 -Vo、というのは、暗黙にVoを正と考えていますよね。

回路の中で電流が流れない部分があるということは、問題の答えを求める以外においては、その部分は不必要なのですか?

まあそういうことですね。

■ボルテージフォロアに関する質問

最後のボルテージフォロアならRの影響を除去できるとあったが、なぜか。

抵抗が∞になるのを含むボルテージフォロアについて少し分からなかった。

信号源から電流が流れ出す必要がないので、 信号源の出力インピーダンス(内部抵抗)にかからわず、 信号源の真の電圧が与えられる、という意味です。 詳しくは、後のほうで出力インピーダンスを扱うときに考えましょう。

ボルテージフォロアの動作が分かりにくかった。(3件)

ぜひ復習を。

ボルテージフォロアがなぜバッファの働きをするのか?入力の時点で、Vi-RIになってしまっているのでは?

しかしボルテージフォロアでは、常にI=0となりますから、 Viがそのまま出力に現れることになります。

■授業に関すること

演習の回に参加できなかった場合、演習問題は、Webページに記述されるのか?

はい、その予定でいます。 ちなみに課題もWebに掲載します。

情報回路第1を落としたのですが、参考書の「ゼロから学ぶ電子回路」があれば大丈夫か?他に読んだ方がよい参考書等があれば教えて欲しい。

どうでしょう・・・自分で分かりやすいなあ、と思う(電子回路の)本を 手元においておけば、よいのではないでしょうか。

情報回路第1を落としたのですが、この科目の履修には問題ないでしょうか?

基本的には独立性の高い内容ですので、問題ないと思います。

■その他

情報回路第1よりも分かりやすかった(2件)

それはどうもありがとうございます。

この講義を聞いていて思ったのですが、情報回路第1の必要性が分からない。

情報機器の中身を扱う上で、情報回路第1と情報回路第2の内容は、 多少重なる部分はあっても違う分野ですが、 両方とも、情報機器の内部を理解する上では欠かせない内容といえると思います。
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