今回は、MOSトランジスタを使った回路、特に増幅回路について考えていくことにしましょう。
この図のようなMOSトランジスタを使った回路をソース接地増幅回路と呼びます。
この回路のうち、R1 、 R2 と C1 、 C2 は、MOSトランジスタの適切な動作点を設定するためのもので、バイアス回路と呼びます。
逆に言えば、これらの素子によって、MOSトランジスタは適切な動作点を中心に動作をする(入力・出力が振れる)ので、
あとはその変化分に対する小信号等価回路を考えればよいわけです。
動作点が適切に設定されているという条件のもとでは、入力・出力の変化分は、この小信号等価回路を使って求めることができます。
まずは電圧利得(増幅率) Av = vo / vi を求めてみましょう。
といっても話は簡単で、次のような式が成り立ちます。
以上から、電圧利得Avは次のようになります。
ちなみに入力には電流が流れませんから、 入力インピーダンス Zi =
また出力インピーダンス Zo は、vi = 0としたときの vo / id のことでしたから、
となります。
さきほどのソース接地回路では、MOSトランジスタのゲート電圧 VGS は、
電源電圧VDDが R1 と R2 で分圧された VDD・R2 / (R1 + R2)を中心に、vi だけ変化するように与えられますが、これが動作点であるわけです。
このとき、ドレイン電圧VDS = Vo は、 ドレイン電流 I Dと次のような関係を満たすことになります。
※式が間違っています。正しくは、「VDD = VDS + RL・ID」です。
このグラフは、MOSトランジスタの VDS と I Dの関係のグラフ(静特性)上では、傾きが -1 / RLの直線となります。
(ちなみに(VDS, I D) = (VDD, 0)、 (0, VDD / RL) の2点を通る直線)
このような直線を負荷線と呼びますが、これはどのようなときでもVDS やI D が満たすべき関係式ですから、
言い方をかえれば、実際の VDS や I D は、この直線上の点しか取り得ません。
そこでVGS が、動作点を中心に変化した場合に VDS や I D がどのように変化をするか、
ということは、この静特性のグラフと負荷線との交点から求められるわけです。
この図のようなMOSトランジスタを使った回路をドレイン接地増幅回路と呼びます。
この回路のうち、R1 、 R2 と C1 、 C2 は、MOSトランジスタの適切な動作点を設定するためのバイアス回路です。
このドレイン接地回路の小信号等価回路を求め、電圧利得 Avと入力インピーダンス Zi 、出力インピーダンス Zo を求めてみてください。
<解>
以下のとおり、
及び から
Zi は、
Zi=
となり、また
なので、
ちなみに一般には
なので、ほぼ
となる。