第4回: オペアンプ(その2)の演習

LC 2次フィルタ (復習)



この図のようにLとCとRからなる回路の入力viと出力voの比、 すなわち伝達関数H(ω)を求めみると、次のようになります。



ここで、




です。 2次のローパスフィルタ(LPF)は、一般にこのような形の伝達関数をもつわけです。 このωCは、伝達関数の特性が通過域から遮断域に変わる 境目の周波数であるため、カットオフ周波数と呼ばれます。

オペアンプを使ったフィルタ(VCVS型LPF)の伝達関数

前回のVCVS型LPFの伝達関数は、このような式でした。


ここで、




とおいてみると、 次のように書くことができます。



これから、このVCVS型LPFは、確かに2次のLPFであることがわかります。

VCVS型LPFの設計








[演習]

このVCVS型LPFで、





となるように、 C1, C2, R1, R2の値を求め、設計した回路図を描いてみてください。 ただしR1=R2=1kΩとします。
解: C1=1.4μF, C2=0.7μF, 図略

VCVS型LPFのシミュレーション

ためしに、このVCVS型LPFのシミュレーションをやってみましょう。

↑回路図を入力します。 今回は、出力電圧が、入力信号の周波数によって どのように変わるか、を観測したいわけですが、 これは、いわゆるAC解析になります。 そこで、入力電圧源(V1)に、AC解析用の電源(VAC)を 使うようにします。

↑V1のパラメータはいろいろありますが、 とりあえずは振幅(ACMAG)を1Vに設定してみます。

↑シミュレーションを行う対象を、 Analysis→Setupから設定します。 具体的には、AC解析(AC Sweep)のEnabledに チェックをいれ、さらに細かい条件を設定するために AC Sweepのボタンを押します。

↑周波数特性は、ふつうは周波数を10のべき乗で 変化させるので、AC Sweep Typeを"Decade"(10倍)にし、 開始(Start Freq.)と終了(End Freq.)の周波数を、 とりあえず10(=10Hz)を1MEG(=1MHz)にしておきます。

↑シミュレーションを実行すると、出力電圧が 入力信号の周波数とともにどのように変化するか、の 結果が得られます。 (ちなみに今回は入力電圧の振幅は1Vにしてありますから、 この出力電圧の値そのものが、伝達関数H(ω)の絶対値、 ということになります。)

一応これでシミュレーションはできたのですが、 このような伝達関数は、縦軸を対数軸にして描くのが 一般的です。 そこで、縦軸の設定を変更してみましょう。

↑Plot→Axis Settingsで、軸の設定ができます。 その中の縦軸(Y軸)の設定をするために、 "Y Axis"のタブの中の"Scale"を、"Log"に しておきます。

↑すると、縦軸が対数軸になってグラフが描かれます。 確かにLPFの特性になっていることがわかります。

ちなみに、カットオフ周波数が設計したとおりの値に なっているかを確認しておきましょう。 カットオフ周波数では、伝達関数の絶対値は 1/√2(=約0.71)となります。 今回設計したLPFのカットオフ周波数は、 ωC=1kHzでしたから、 これを周波数fCで表すと、 fCC/2π=159Hzとなります。

このグラフ上の点の座標を読むために、 Trace→Cursor→Displayでカーソルを表示させ、 159Hz付近をクリックしてみると、 それに対応するYの値(=出力の電圧)がわかります。

↑確かに、f=159Hz程度で715mV程度となっていることが わかります。

オペアンプを使ったフィルタ(その2: 多重帰還型)



オペアンプを使った、別の能動フィルタを紹介しておきましょう。 この図のような回路を考えてみます。 これも地道に回路方程式をたてていくことにしましょう。







これからi1〜i3を消去し、続いてvaを消去すると、 次のような関係式が得られます。



ここで、




とおくと、やはり次のように2次LPFの伝達関数の式になることが わかります。


※この最後の式は、マイナスがつくのが正しいです(2015/7/30追記)

課題2

定められたカットオフ周波数をもつVCVS型LPFを作成し、 その動作をシミュレーションで検証してください。 ただしカットオフ周波数fCは、 「自分の名列番号+1」[kHz]とすること。 (例えば名列番号1の人は、カットオフ周波数fC=2kHzの VCVS型LPFを作成する) なお、たとえばR1=R2=1kΩなどを仮定してよい。 ※角周波数ωCではないので注意
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