第2回: オペアンプ(その1)の演習
回路シミュレーション
先週紹介した理想オペアンプを用いて、
反転増幅器の回路シミュレーションをしてみましょう。
反転増幅器(Schematics形式)
をSchematicsで開くと、次のような回路になっています。
これに、振幅1V、周波数1kHzの正弦波を与えたときの
シミュレーション結果は次のようになります。
出力には、振幅が入力の10倍、+−が反転している波形が得られていることが
わかります。
補足
シミュレーション上のノウハウ的なことをいくつか・・・
- 過渡解析(Transient)のときの電圧源は、VACは使えません。
正弦波であればVSINを使います。(周波数FREQと振幅VAMPL、
オフセットVOFF(=0)を最低限設定する必要があります)
- 過渡解析の準備として、Analysis→Setupで、TransientのEnableに
チェックを入れ、シミュレーション終了時間などを指定しておきます。
- オペアンプの出力電圧は、VPOS/VNEGによって上下限が設定され、
それを大幅に超えるとシミュレーションが途中で止まってしまいます。
そこで、入力の振幅を小さくするなどして、この範囲に収まるようにしましょう。
(例えば1mVなど)
電圧制御電圧源を用いたオペアンプのモデル
オペアンプは、2つの入力の電圧の差をA倍(理想オペアンプでは∞)して
出力するものでした。
Spiceのモデルの中には、2つの入力の電圧をA倍して出力する、
電圧制御電圧源(Voltage-Controlled Voltage Source; VCVS)という
ものがあり、これを使うと、次のような構成で、
近似的にオペアンプを現すことができます。
電圧制御電圧源を用いた反転増幅器(Schematics形式)
をSchematicsで開くと、次のような回路になっています。
この「E1」が電圧制御電圧源で、左側の+と−の2つの入力の
電圧の差を指定した倍率倍したものが、右側に現れます。
この倍率は、E1をダブルクリックしてパラメータとして
指定できますが、この例では、1,000,000(1MEG)倍に設定してあります。
この回路をシミュレーションすると、さきほどの理想オペアンプを使った
回路とほぼ同じ結果が得られるはずです。
もちろん、この1,000,000倍という倍率は、無限大ではありませんが、
ある条件下では、ある程度よい近似となります。
(もちろんもっと大きくしてもよい)
反転増幅器の利得(R2/R1)がもっと大きくなると、
このオペアンプ自身の利得(倍率)も、それに見合って大きくしないと
理想的な結果は得られなくなります。
興味のある人は、試してみましょう。
(例えばR2/R1=1000・オペアンプの利得を1000倍で試してみる、など)
加算増幅器
[演習] 次のような回路の入力V1, V2と出力Voとの関係を
求めてみましょう。
(この回路は加算増幅器と呼ばれます)
また入力が2つ以上の場合も、同様に求めてみましょう。
解:
※[訂正]R1, R2は共に分母に、Rが分子に来るのが正しい式です
3つの場合は
※[訂正]R1, R2, R3は共に分母に、Rが分子に来るのが正しい式です
減算増幅器
このような回路を減算増幅器と呼び、
出力は次のようになることが導かれます。
Vo = (R2/R1)(V2 - V1)
反転・非反転増幅回路の入力・出力インピーダンス
回路には、一般に入力と出力があるわけですが、
入力に加える電圧と電流の比のことを
入力インピーダンス Ziと呼びます。
つまり、信号を与える側からみた、この回路の「抵抗」のようなもの、
というわけです。
同様に、出力にとっての電圧と電流の比のことを
出力インピーダンス Zoと呼びます。
ただし出力は、入力の値によって変わるため、
「入力を0Vとしたときの出力」で考えること、にします。
[演習] 反転増幅器・非反転増幅器の入力インピーダンスZiと
出力インピーダンスZoを求めてみましょう。
解: 反転増幅器
非反転増幅器
課題1
定められた増幅率をもつ非反転増幅回路をSchematicsで作成し、
その動作をシミュレーションで検証してください。
ただし増幅率は、「自分の名列番号+1」とすること。
(例えば名列番号1の人は、増幅率=2の非反転増幅器を作成する)
- 提出物:
- 設計した回路の*.schファイル
- シミュレーション結果(画面をキャプチャしたビットマップファイルや、図として貼り付けたWordファイル等)
- 提出方法:
- 上記2点をメールに添付し、秋田まで送付
- メールの題名(Subject)は、"ic2_??" (ただし??の部分は自分の名列番号)とすること
- 締切: 10/17(金) 10:30
- 注意: 友達と相談したり、文献・Webページ等を参考にすることは大いにやってください。
ただし、参考にしたものを、必ず「出典」として明記すること。(無断借用(パクり)は厳禁です)
友達に教える場合も、結果だけ渡すのではなく、過程を含めて教えてあげてください。
参考リンク
この回のソボクな疑問集
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