第5回分

■入力オフセット電圧

例のR2=100k,R1=1kで、Vos=6.0mVとしたところで、Vosは勝手においたものでしょうか?

データシートに載っているVosの最大値を使ってみました。

オフセット電圧はどこまで小さくできるのか?

オペアンプは一般には集積回路で作るので、その製造プロセス、 および回路設計上の工夫で、ある程度までは低減できます。 市販のものでオフセット電圧が低いものだと、数μVのものもあるようです。

既に理想オペアンプでないのに、理想オペアンプの性質を使用できたのはなぜか?

現実のオペアンプの特性を考えるとき、理想でない項目(オフセット電圧など)以外は 理想的、と考えているため、ですね。

入力オフセット電圧のズレを修正する方法はないのか?

オフセット電圧の補正(修正)は、あまり見たことがないですね。

■入力バイアス電流・入力オフセット電流

入力バイアス電流には、なぜずれが生じるのか?

第12回あたりで少し触れますが、オペアンプを構成するトランジスタの 製造時の特性のズレ、が原因です。

2つの入力バイアス電流が、似た値になるのには何か理由があるのか?

上記のように、バイアス電流はトランジスタの特性のズレが原因ですが、 そのズレかたが、2つ(入力の+、−のそれぞれ)が似ているから、ですね。

入力オフセット電流について、ずれを求める場合、Rbを接続しないと考え方はどのようになるのか?

Rb=0と考えればよいのではないでしょうか。

なぜバイアス電流が生じるのか?また、入力抵抗に関係しているのか?

現実のオペアンプに電流が流れる原因を教えて欲しい。

ほとんどの場合、バイアス電流は、入力につながっているトランジスタの ベース電流です。 そういう意味で、一般に入力抵抗が大きいものほどバイス電流も小さくなります。

オペアンプが抵抗をはさまず接地していても、バイアス電流は流れるのか?

上記のように、ベース電流が主な要因ですので、流れます。

なぜRb=R1//R2とおくのでしょうか?

仮にRbをその値とすると、バイアス電流の影響を低減できますね,という意味です。

■入力抵抗

現実のオペアンプでは、2つの入力の間にはどのくらいの電流が流れているのか?

おおざっぱに、加える電圧を入力抵抗で割った値、ぐらいですね。

R1とR2との差がどのくらいであれば、Rin=無限大と同じような機能となるのか気になった。

オペアンプの外につける抵抗R1,R2が、オペアンプの入力抵抗よりも 十分小さくないと、理想的とはいえなさそうですね。

入力抵抗の最小と標準が、1.7(MΩ)離れているが、これは差が大きいのか?

まあこんなもんじゃないでしょうか。

入力抵抗は、等価的に理想オペアンプの外側についていると考えても大丈夫?

同じことですね。

■スルーレート

SR=無限大でない理由が分かりづらかった。

SRの時間変化がいまいち分からなかった。

負荷には必ず容量(キャパシタンス)があり、オペアンプが出力電圧として その電圧を変える、ということは、電流を流して充放電する、ということになるわけで、 流すことができる電流が有限の値(∞でない)ある以上、ある程度の時間がかかるので、 スルーレート(変化させたい電圧と、それにかかる時間の比)は無限大とはなりません。

SRが小さいとあまり使い物にならないのですか。

まあそういうことですね。 使い道しだい、でしょうか。

SRが大きいとVoが増えるということか?

速くVoが増える(変化する)ことができる、という意味です。

■オペアンプ

現実のオペアンプを理想オペアンプに近づけるには何が一番有効か?

項目しだい、ですね。

Aを無限大とみなせる使い方は、例えばどんなものが考えられるのか?

計算してみるとわかりますが、オフセット電圧などの影響も低減することができます。

現実のオペアンプは、電圧利得がどのくらいであれば、理想のオペアンプとして機能するか?

つくる増幅器の増幅率しだい、ですね。 第6回を参照してください。

オペアンプになぜ負荷容量があるのか?

どのような回路でも、配線という導体が存在する以上、そこに容量が発生してしまいます。 それが負荷容量です。

P.2の絶対最大定格の消費電力の項のOタイプ、Mタイプとは何か?

オペアンプのICのパッケージの種類、です。

特性は、オペアンプ内の複雑な回路によるものなのですか?

基本的にはそういうことです。 少し第12回で触れる予定です。

なぜ高周波になると利得が下がるのか?(また、利得が高い回路の方が低い周波数で利得が減少し始めるのが早いのは何故か?)

オペアンプ内の負荷の容量成分のインピーダンスが周波数とともに小さくなる(1/jωC)、 という理解でよいと思います。 また、第12回で少し触れる予定ですが、直流での増幅率(利得)を大きくすると、 結果として利得が落ち始める周波数も低くなります。

最小と標準、最大と標準のように、最大もしくは最小が欠けているのは何故か?(Avに最小・標準があって最大がないのは何故か?)(電気的特性の標準・最大・最小はどのように決まるのか?)

IosやVosの範囲が決まっているのは何故か?

例えばAvは大きい方はいくら大きくてもよいので、「最低限の性能の保証」として 最小値を示すようにします。 また最大・最小は、オペアンプの設計・製造時の条件から決まります。

現在作られているオペアンプで最も高性能なものとは、どのようなものか?

ぜひ興味のある人は、メーカの製品(例えば AnalogDevices)などを 調べてみてください。

負荷容量の充電および放電にかかる時間は等しいか?

充電は、電流を流し出す側のトランジスタの能力、 放電は、電流を吸い込む側のトランジスタの能力、で決まります。 なるべく両者が同じぐらいになるように設計しますが、一般には等しくなりません。

NJM741は、どのような所で使われているのか?

実験なんかで使いませんかね。

他の電気的特性も簡単に説明して欲しかった。

時間の関係でした・・・すいません。 興味のある人は調べてみてください。

■その他

X-100の意味がよく分からなかった

反転増幅器の増幅率が、R2/R1=100で、反転なので負で、ー100倍、という意味です。

課題で、R1=R2=1kΩで計算すると、C1やC2がnF単位になった。コンデンサのCがこれほど小さくなることがあるのか?

まあそんなもんですよ。 それよりさらに3桁小さいpFも、よくあります。

端子配列図の「NC」はどのような働きがあるのか?

No Connection、つまりなにもつながっていない端子です。

Rinの値が一定にならないのは何故か?

オペアンプの製造時のバラツキ、ですね。

A(dB)=20logAとあったが、Aはそれぞれ別々の値を持つということか?

いえ、AをdBという単位で現すと20logA、という意味です。

電圧利得の単位(dB)は、他に音の大きさでも使われていると思うが、音の大きさも何か基準の大きさ(振幅)の○倍という意味か?

そういうことです。 何か基準があって、その何倍、という意味です。

ずばり試験に現実のオペアンプも出ますか?

さあ、どうでしょう・・・

R1//R2は、正しくはどういう意味なんでしょう?

R1とR2の並列の合成抵抗、のことですから、R1R2/(R1+R2)、のことですね。

■メモ

”現実のオペアンプの増幅率”の章のところで、10dB=33倍とありますが、10dB=3.3倍の間違いでしょうか。

ご指摘の通りです。

あと、(細かいですが、)110dB=2×50dB+10dBの部分は、110dB=5×20dB+10dBの方が分かりやすいような気がしました。

あれ、そのように計算していませんでしたっけ?
戻る