研究室で3Dプリンタを買ってみました。サンプルデータを成形してみる、だけだとすぐに飽きてしまいそうですが、自分で欲しいものを設計して成形できるようになると、使い方の幅がぐっと広がりそうです。逆に言うと、多くの人が、そういう使い方ができるようにならないと、最近の3Dプリンタのブームが、ただのブームで終わってしまうのではないかという危惧も現実的なのではないかと思います。
・・・なんていう話を、野々市のカフェ五十川堂の五十川さんとしていた中で出たアイディアから、“MakeMAKERS”というワークショップをやってみました。(この命名は五十川さん。うまいネーミングだと思います)
狙いは、こんなかんじです。
- 正直、普及価格帯の3Dプリンタは、主に加工精度の点で、たいしたものがつくれない
- 100均では、けっこう便利なものがいっぱい売っているんだけど、「もうひと息、ここがこうなっていると!」みたいなものが、ちょくちょくある。しかも時計のムーブメントやボールペン先など、ちゃんと作られている部品も多い。
- そこで「100均商品をハック」コンセプトで、100均商品の一部(またはぜんぶ)を流用して、欲しい機能を追加する部品を考え、設計し、3Dプリンタでつくってみる、という流れをやってみる。
- これを通して、製品は「買うもの」だけでなく「自分で作る(ことができる)もの」という意識を持てるようになって、3Dプリンタを含むMAKERSムーブメントの本格化につながる(といいなあ)。
4/13(土)の朝から、20名近くの方が参加されました。
まずは3〜4人のグループにわかれて、どれか1つ100均商品を選び、どう改造しようかとアイディア出し。あらかじめ用意しておいた20種類ほどの100均商品以外に、早速100均ショップへ題材を探しに行ったグループもありました。
アイディアがかたまったら設計。GoogleSketchUpを使っていたグループが多かったようです。 設計ができたところから、早速3Dプリンタで成形。もちろん実際に成形してみると「あれ?」という点も出てくるので、再設計、再成形、を繰り返します。(時間が許す限り)
成形した部品はバリも多いので、やすりがけのような「アナログ」な仕上げも大切です。
こんな感じのものができあがりました。
左が設計データ、右が成形してはめてみた例。これは、金沢大の総合メディア基盤センターの大野先生も混じっていたグループの作品で、クルマ用iPhoneホルダに三脚をつけるための治具。
こちらは、ヘッドフォンケーブル巻きの中心の穴に、ヘッドホン端子を挿す穴とストラップ穴をつける治具。
こちらは、マジックハンドの先につけて、家具の裏など手の届きにくいところにある電源プラグを抜く道具。
こちらは、シリコーン製のカップカバーを裏返して置くときに倒れないようにする台&使用時に箸置きになる治具。
こちらは、レンゲがどんぶりの中に落ちないようにする治具。
こちらは、コーヒー粉などの袋にキャップをつける商品の、出方を調整したり粉を戻すろうとのような治具。
ちょっとした一工夫で、100均商品の使いやすさがアップするものばかりでした。
参加されたみなさん、お疲れさまでした。
このような実践を通して、3Dプリンタを含むMAKERSムーブメントが、「ものづくり」に実際に根付くものになっていくといいですね。
(秋田)