ATmega328Pを開封してムーアの法則との関連を調べてみた

Microchip社のATmega328Pというマイコンがあります。以前はAtmelという会社の製品でしたが、Atmel社が、PICマイコンで有名なMicrochip社に買収されてからは、Microchipの製品ということになっています。Arduino UNOなどの、当初からあるArduinoシリーズ(との互換機、派生機)で幅広く使われているマイコンです。

このATmega328Pの派生品に、ATmega32PBというものがあることを、知人から教えてもらいました。語尾が1文字違うだけなので、てっきりマイナーバージョンアップとかクロック周波数が上位とかの違いなのかと思っていたら、ぜんぜん違っていました。ATmega328PBの特徴を簡単にまとめると、

  • UARTやSPIなどの周辺インタフェースが増えている(1個→2個)
  • ATmega328Pの完全上位互換(つまりATmega328P用のプログラムがそのまま動く)
  • ATmega328Pより安価

そんなはずは・・・と思って調べたところ、本当でした。製品紹介ページ→ATmega328PATmega328PB

価格は、DigiKeyでは以下のようでした(2018/12/23時点)。確かにATmega328PBの価格は、ATmega328Pの2/3程度です。

 

つまり、ATmega328PBのほうが、高性能なのに安価、というわけです。それなら今後はATmega328PBだけ使えばいいのでは、という気もしてきます。例えばUARTが2個あるATmega328PBだと、UARTを使ってのデバッグに便利そうですね。

このように、高機能なのに安価、という現象は、半導体ではよくある現象ですが、他の産業ではあまり見られません。例えばクルマでは、新モデルのほうが高性能(例えば燃費がいい)ということはあるでしょうが、価格が2/3というのは、まずありえません。

しかし半導体では、いわゆる「ムーアの法則」が、(少なくとも最近までは)成り立っていて、それの技術的な裏付けである「比例縮小則」も、(その時々で技術的な修正をされつつも、基本的には少なくともここしばらくは)成り立っています。詳細な解説は他に譲りますが、比例縮小則は簡単に言うと、

  • 半導体チップの中の回路(トランジスタ)を、小さく作る(例:1/2)と、
  • 回路の動作速度が速くなる(例:2倍)。
  • 同一価格で機能が向上(例:4倍)する。または同一機能ならば価格が下がる(例:1/4)。

ということです。なんだか胡散臭い話にも聞こえますが、半導体集積回路(LSI)では、シリコンチップの表面に二次元的に回路が作り込まれ、その機能がトランジスタのサイズによって変わらない、という物理的な現象に対応しているものです。

この比例縮小則を実現する技術開発の速度の統計と予測から、「18ヶ月で半導体チップの性能が2倍、または価格が1/2になる」という予測で、インテル創業者の一人であるG.Mooreによって提唱されたのが「ムーアの法則」と呼ばれるものです。(余談ですが、ムーア自身がこの名前をつけたわけではなく、この名前をつけたのはC.Meadで、またこの予測を「目標」として技術の研究開発が進められてきたことから、この法則どおりの技術進化が実現されてきた、という面が強いです。つまりムーアが未来を予測していた、というより、ムーアの予測どおりに世の中が進んだ、と理解するのが正しいです。もちろんより小さなトランジスタを作ることは、技術的な困難度がより高いので、その当時で実現可能なサイズのものが、その時点での最先端ということになります)

このATmega328P/PBの違いを、ムーアの法則から理解しようとすれば、後発であるATmega328PBのほうが、回路を構成するトランジスタが小さくなっていることで、高性能なんだけど安価、ということが起こっているのではないか、と考えられます。

そこで、実際にATmega328PとATmega328PBのチップを観測してみました。といっても私達がふだん目にする半導体チップは、黒いパッケージに入っていて、チップそのものを目にすることはほとんどありません。パッケージを開封してチップを取り出すことは、濃硝酸などの薬品を使えば可能なのですが、素人に簡単に手を出せるものではありません。ところが調べてみると、バーナーで炙ると、パッケージのプラスチックが灰になってチップを取り出せる、というのをやっている人がいるのを見つけました。これなら「どこのご家庭にもあるもの」でできそうなので、早速やってみました。

用意するもの:

  • BBQ火起こし用バーナー(カセットボンベのものがお手軽)
  • 金属の皿(100均で売っている排水口メッシュなど)
  • チップを見たい電子部品

まずATmega328Pのチップをバーナーで数分間、炙ります。やけどや、周りの燃えやすいものに火が燃え移ることがないように、十分に気をつけます。見た目、大きな変化はありません。

十分に冷えてから、ドライバーでパッケージをちょんちょんすると、少しずつパッケージのプラスチックが崩れていきます。

チップが少し見えてきました。ここからはチップを傷つけたり割ったりしないように、周りのプラスチックを慎重に崩していきます。部品の金属の足(リードフレーム)は、ぽろぽろ取れてしまうので、そこはあまり気にせずに、チップ以外のものを取り除いていきます。

チップが現れました。

これを顕微鏡で、倍率を徐々にあげながら観測していきます。

まずチップの外形をものさしで測ると1辺が3mmでした。この写真の左下に写っている正方形(パッド)の大きさを、チップ外形との比で求めると0.1mm(100μm)でした。

もう少し倍率をあげて、パッド付近にある目印になる形状のもののサイズを、パッドのサイズ100μmを基準にして求めます。(この例では65.4μm)

さらに倍率をあげてその横にある細い配線が並んでいるところ(おそらくバス配線でしょう)にある配線の幅を求めると、1.8μmとなりました。これぐらいのサイズだと、金属配線の幅はトランジスタのサイズ(ゲート長)とだいたい同じなので、加工寸法(テクノロジノード)は1.8μmぐらい、ということになります。最近の最先端の最小加工寸法は20nm(0.02μm)以下ですから、100倍以上大きいもののようです。しかしその分、「枯れた技術」であるため、安価に製造できるわけです。(特に最近のかなり進んだ微細加工では技術的な難易度が急速に高くなるため、製造装置も指数関数的に高価になります)

続いて、同じ方法で、ATmega328PBのほうも計測してみます。

ATmega328PBをAliExpressで10個1,350円で買いました。まさか発送したお店も、そのままバーナーで炙られるとは夢にも思わないでしょうね。

チップは縦長で3×2.5mm、パッドのサイズは75umでした。

さらに倍率をあげていくと、バス配線っぽい細い配線が見えてきました。3本の配線の間が2.4μmでした。これは、2本分の配線の幅と、2つ分の配線の間隔の合計で、一般に配線の幅と間隔は同じの場合が多いので、これから金属配線の幅は0.6μm、つまりテクノロジノードも0.6μmということになります。一般にテクノロジノード0.6μmぐらいまでは電源電圧が5Vでも動作でき、これより微細になると5Vでは素子が破壊されてしまうので電源電圧を3.3Vのように下げざるを得ません。ATmega328PもATmega328PBも電源電圧5Vで動作しますので、この点からも妥当な計測結果と言えそうです。

両者の加工寸法を比べると、ATmega328Pよりも、ATmega328PBのほうが、1/3倍ぐらい微細といえそうです。(ただしATmega328Pでは、より細い線を見落としているかもしれないので、テクノロジノードは1.2μmかもしれません。そうだとすると1/2倍といえそうです)

なお0.6μmあたりの製造は、かなり基本的な技術で可能で、いわゆる「枯れた技術」の範疇のため、かなり安価にできます。(その時代の古い製造装置の減価償却が十分に済んでいるので、さらに安価に製造可能にもなります)これより微細にすると、徐々に微細加工の技術的難易度が上がる(=製造コストが上昇する)ため、単純に性能向上&コストダウン、というわけにはいかないのですが、このあたりの加工寸法だと、きれいに比例縮小とムーアの法則が成り立つ範囲で、これらはその実例といえます。しかもこれぐらいの性能のマイコンだと、このあたりの加工寸法で実現可能なので、まさに「枯れた技術でもイノベーションは起こりうる」実例といえます。技術ありきではなく、その技術で何ができるか、何をしたいか、を常に心にとめておきたいですね。※このあたりの話は、このあたりのスライドでご紹介していますので、ご興味ある方はご覧ください。

(秋田)

NeoPixelの故郷に行ってきた

WS2812という、マイコンで制御できるフルカラーLEDがあります。NeoPixelという名前で呼ばれることもあるこのLEDは、パッケージの中のRGB3色のLEDの各256段階の輝度をシリアル制御で設定できます。また何個も順につなげて、1本の信号線で1個ずつ制御できることから、大きなLEDディスプレイや電飾などで広く使われるようになった製品です。このWS2812、何より安くて、リール(1000個)だと1個3円ぐらいで買えます。半導体部品は、世の中へのインパクトという意味では、「性能」だけでなくて「価格」という評価軸があって、性能はそこそこでも、大幅に安い価格によって、破壊的イノベーションを起こすことがあるのですが(コンピュータという意味でもマイコンや、WiFiマイコンのESP8266/32もそうです)、まさにその一例といえます。そしてこの「価格」という評価軸はムーアの法則の帰結でもあります。

このWS2812(NeoPixel)を作っているWorldSemiという会社が、中国深圳の郊外(クルマで1時間くらい)にあるので、今回おじゃましてきました。世界中で見かけるLEDを作っている会社の工場なので、さぞかし大きいと思ったら、こんなビルの1フロア分だけでした。

対応してくださったのは、Yin氏。実はこのWS2812の設計者で、社長(?マネージャかも)です。WorldSemiの設立は2007年なのでまだ10年ほどの若い会社です。
最初は、会社の歴史というお話のあと、「一応・・・」という感じで動作原理の話が始まったのですが、見学でおじゃました一行にエンジニアが多いため、通訳の方が訳す前に、回路図をみながら「ふむふむ、うんうん」とうなずいているのを見て、どんどん技術的に詳細な話に入っていきました。
この右端の回路図は、最新のNeoPixelの原理図です。

技術的にだいぶマニアックな話を補足しておくと、RGB3個のLEDを並列に制御回路に接続すると電流がそれぞれに流れるため、トータルでの電流がけっこう多くなります。これは多数のLEDを使うNeoPixelでは、しばしば深刻な問題(電源ラインでの電圧降下)になります。また電源電圧の変動が直接輝度の変化に直結してしまいいます。
この方式では、3個のLEDを直列(縦積み)にして印加電圧を12Vとしています。これだと流れる電流はLED1個分なので、電源容量の問題は緩和されるのですが、各LEDに流れる電流が同一のため、各LEDの明るさ(つまり全体での色)を個別に制御できないことになります。そこで回路では、各LEDに並列にMOSトランジスタのスイッチを置き、これをPWM制御でON/OFFして各LEDが点灯する時間を個別に制御できるようにしています。なおMOSトランジスタがONでLEDが点灯していないときは、3個のLED全体の電圧が変わってしまいますが、これは一番下においてある電流源で吸収し、常に全体の電流が一定になるようにしています。
一同、なるほどー!!と感動していました。なおこの方式、回路は特許を取得済みだそうです。

ちなみに累積の生産数は集計していないそうですが、最近の生産数は毎月約2000万個だそうです。もうかってまんな。

さて、以下では工場での生産現場。
半導体部品の製造は、大きく「前工程」(クリーンルームでSiウエハに回路を作りこむ工程)と、「後工程」(ウエハをチップに切り分け、パッケージに封入して、ふだん私たちが姿に加工する工程)に分かれます。一般に前工程は高度な技術、高度なクリーンルームが必要で、工場も大規模化する傾向があり、最近は世界的にも集約される傾向が強いのですが、後工程は比較的クリーン度が低い環境でも大丈夫なので、世界的にも企業的にも分散する傾向が強いです。(昔からあるTTLのICをご存知の方なら、パッケージにマレーシアやフィリピンの国名を見たことがある方も多いと思います)
このWorldSemiは、後工程専門の工場です。

まず各色のLEDと制御回路のチップ(合計4種類)がウエハの状態(チップに切り分けられた状態)で納品されます。

またチップを入れるパッケージ(端子にあたるリードフレームがついた状態)も、10×30個くらい並んでつながった状態で納品されます。

まずマウンターという装置で、だいたい毎秒5個くらいのスピードで、LEDや制御回路のチップをパッケージの土台(リードフレーム)に載せていきます。

マウンターの台数は20台ぐらいでしょうか。それほど大きな部屋ではありません。

続いて、チップとパッケージ土台の端子(リードフレーム)を金線で接続するワイヤーボンディング工程です。だいたい1個当たり2秒くらいで作業がおわります。

ボンダーの部屋もそれほど大きくなくて、台数は20台くらいでしょうか。

続いてLEDの表面に透明な樹脂を流して封入するモールディング工程です。使っているのは2液混合式のエポキシ樹脂でした。

その後、リードフレームからNeoPixelが切り離されて、1個ずつバラバラになります。

次は検査工程なのですが、これは予想していたよりしっかりやっていました。

1個ずつ、各LEDを点灯させ、輝度と色(ピーク波長)を測定し、規格を満たさないものはエアで飛ばして不良品としてはじきます。1個ずつ、しかも波長まで検査しているというのは予想外でした。

最後にリールに入れて封入して完成。これはいま封入されたばかりの、今日の日付入りの、できたてほやほやのNeoPixelのリール。できたては、やっぱおいしそうですね。

お土産に、いくつかのサンプルをいただいてきました。砲弾型のものもあるそうです。

今回のWorldSemi訪問の前に、NeoPixelが持つ価格という武器の源について、いくつか予測をしていいました。それは制御回路のチップの製造方法です。Siウエハでチップをつくるとき、ウエハは円形なので、どうしても周辺付近で使えずに捨てざるを得ない領域があるのですが、すごく小さいチップなら、このような余白領域にもたくさんのチップを一緒に作ることができます。つまり本来捨てられる部分が製品になるわけなので、ほとんどタダ同然(もともと捨てるところなので)なわけです。ほかで聞いた話では、メロディーICなどは、この方法で安価に作られているそうです。
このNeoPixelの制御回路のチップもこの方式で作ることで、劇的なコストダウンを実現しているのだろうと予想していたのですが、納品されている制御回路チップのウエハは、それしか載っていない専用のものでした(たぶん8インチのウエハ)。
顕微鏡でチップを見せてくれたのですが、詳細な測定はしていないものの、ざっと見たところ加工寸法(ゲート長)は1umぐらいで、かなり古い製造技術で作られているようです。また金属配線の層数も2層のようでした。Siチップの製造コストは、MOSトランジスタや金属配線のパターンを決める「マスク」で大きく変わります。特に最新のマイクロプロセッサやフラッシュメモリなどの最先端の製造技術では、配線パターンがとても微細(光の波長よりもだいぶ短い)なので、マスクも高度になり、また回路が複雑なので金属配線の層数も多くなる傾向があります。そのため、チップ製造の初期コストであるマスクの費用はかなり大きな比率を占めるわけです。
しかしNeoPixelの制御回路のように、古い枯れた製造技術で、かつ金属配線の層数も少ないものは、ウエハまるごとを使ってチップをつくっても、かなり安価にできるようです。

Yinさんに、競合会社や今後の展望のことを聞いてみたのですが、十分に枯れた技術でここまで規模の効果で安価にできるのは、他社には真似ができない、というか、コスト的に割にあわないだろう、という大きな自信があるようでした。その一方で、WS2813のサブ信号線を使う冗長構成方式では特許を取るなど、備えも万全のようです。

最後に、Yinさんに、NeoPixelが使われている製品で、ご自身が一番うれしい、誇りに思う製品は何か、と聞いてみました。てっきり、最近の深センの名物になっている巨大なビルまるごとLEDディスプレイ、のような巨大ディスプレイをあげられるのかと思ったのですが、ゲームPCの電源ファンやマウスの電飾、という答えが返ってきました。その表情は、それが好きすぎて電飾LED制御ICをつくり、それを内蔵させたNeoPixelを生んだ、MakerProをまさに地でいく姿そのものでした。

私がNeoPixelが好きすぎて作ったLEDテープのマスキングテープ(スイッチサイエンスで委託販売してます)と、いっしょにNT金沢やっている古川さんが、同じくNeoPixelが好きすぎてつくったWS2812のシルバーアクセサリをプレゼントしてお渡ししました。予想の斜め上をいくプレゼントだったようで、ちょっとびっくりしつつも、とても喜んでもらえてよかったです。

ちなみにWorldSemiでは従業員を絶賛募集中とのことです。

(秋田)

カザンシンポジウム

こんにちは

M2の吉村です。

9月14日~21日の間にロシアで行われたカザンシンポジウムに参加しました。

カザンシンポジウムに参加していた、カザンの学生は物性系が多く感じ少し懐かしかったです。

また金沢大学から参加していた、学生も様々な分野や専門の学生が多く、とてもおもしろかったです。

シンポジウム後の大学で開かれた夕食会

夕食会で各テーブルに2~3個のウォッカが置かれていたのは驚きました。

アルコール度数が40でほんの少し飲んだだけで、喉が焼けました。

ロシアの街並みはとても綺麗でした。

まるで東京ディ◯ニーランドみたいでした。

美人やイケメンも多かったです。

お土産屋さんや街中にこのキャラがいました。

なぜなら2~3ヶ月前にサッカーワールドカップがあったからです。

シンポジウムもう少し早く開催してほしかった・・・

あとロシアワールドカップのポロシャツ買おうとしたらお金なくて買えませんでした。

 

 

初アジア圏外の国だったので、とても楽しかったです。

ロシアは物価が安く食べ物も美味しく快適でした。

一つトラブったのが、空港でポスターの追加料金を取られたことでした。

学生のフライトが成田-ヘルシンキ-モスクワ-カザンだったのですが、モスクワ-カザン間の国内線でポスターをカウンターで預けようとしたら止められ追加料金を払えと言われました。飛行機内にも持ち込めなかったので追加料金は2500ルーブルで日本円で約4000円くらい。そのため海外でポスター発表をする際には布に印刷して、ポスターをキャリーバックに入れて持っていった方がいいと思います。

おわり。

MFT2018&インターンシップ@東京

こんにちは、M1の中川です。

8/3~8/6にかけて東京へ行って参りました。
目的はMFT2018と、Cerevoさんにインターンシップという形で秋田先生とお邪魔させていただきました。

昨年度、Maker Faire Shenzen(ifdl.jp/blog/?p=1011)には行きましたが、Maker Faire Tokyoは初でした。

経緯といたしましては、自分はもともと電子工作で物を作るのは好きなのですが、もともと専門は情報系であるというのもあり、アイディアは浮かぶけど、機械分野や回路の部分でどうしても技術的な障壁が多くて作り切れない、納得のいく完成度にならない作品になってしまうことが多く、最近は特にやるせない気持ちでした。というのもあって、MFTに行くことで自分の気持ちに変化があったり、他の面白い作品、すごい作品を見て機構やアイディアを吸収できることを期待して行くことにしました。

さて、本題のMFTは二日間にわたって行われたのですが、自分は二日間まるまる作品をひたすら見て回りました。店番ほとんどやってなかったです。すいませんでした。。。

商談をする秋田先生

結果として、レベルが高く、見た作品のほぼすべてが面白かったです。以下に自分が気に入ったものを紹介します。

まず一つ目はNT金沢でも出展しているうーぼーずさんらのブース。LiDARを使い、会議を見える化するデバイス目的で見に行ったつもりでしたが、その横に置いてある黒電話UIも面白かったです。黒電話の番号によって処理が変わるというものでしたが、作ったのはなんと小学五年生。同じ北陸にこんな子供がいるとは末恐ろしい・・・。

次に紹介するのはAtelier Betaさんの柿ピーとナッツを分離するデバイス。分離する機構は他にもあるかもしれないですが、この分け方、投入の仕方は独特ですごく好きでした。NT金沢にもぜひ行きたいとのことだったので、またお会いできるのが楽しみです。

こちらは、スプラトゥーンを水鉄砲として売られているスプシュで操作できるようにしたものでした。何かものすごい複雑な機構でもあるのかなと思ったら針金を使っているだけでしたが、中をいじらずに実現した点が気に入りました。

次は基板のストラップなどのアクセサリー関係を売っているのらとりえさん。デザインがきれいで機能性も高く素晴らしい完成度でした。しかもこの基板、実際に使っているものらしいです。

これは、石川さんの手のひらサイズのプロッタ。ねじ駆動で精度も高かったです。金曜日の飲み会では楽しいお話ありがとうございました。

最後は、自分が一番楽しみにしていたSONYのブース。MESHが気になっていた経緯で行ったのですが、Spresenseというマイコンがとても面白かったです。ウォークマンを簡単に個人で改造できるという点でポイントが高かったです。開発秘話なんかも聞かせてもらえてすごく興味が持てました。Scratchでプログラムが書けるので小学生がウォークマンを改造する時代なのか・・・って感じでした。個人的には3本の指に入るくらいの好印象でした。

他にもタカハさんやnext+αさん、デンソーさんのブースなどなど紹介したいものは山ほどたくさんあるのですが、長ったらしくなってしまうので、ここまでにしておきます。

MFTが終わった次の日に秋葉原の富士ソフトビルにあるCerevoさんでインターンシップをさせていただきました。秋田先生にほとんど助けてもらいましたが、先生と共同で作業するのが新鮮で楽しかったです。同じビルにあるDMM.make AKIBAも、ものづくりの環境が十分整っていて深圳を彷彿とさせました。近くにパーツ屋さんがいっぱいあるのも強い・・・。

夜ごはんもごちそうさまでした。

この4日間は結果として自分が持っていた気怠さのようなものを払拭してくれたような気がします。見ている中で新しいことも知ったし、忘れかけていたものも思い出せました。すごく楽しかったです。自分はまだまだ初心者だけど、ものづくりが好きなんだなと改めて実感しました。

研究会@京都

こんにちは,M1の吉田です.

6/21.22京都で秋田先生と熊本大学の戸田先生と研究の話し合いをしました.

 

1日目は他の研究会が開催されていて私は懇談会のみ参加しました.そこには京都大学の先生方と学生さんたちもいました.一見の価値があると聞かされていた京都大学の先生はコテコテの関西人という感じで,話がとても面白かったです.まるで目の前で漫才が繰り広げられているような感覚で笑いっぱなしでした.またいつかお会いできたらいいなと思っています.

 

2日目の午前中に駅で戸田先生と秋田先生と合流して自分の研究について話し合い,主にwaifu2xのコード解読をしました.慣れない言語で,自分一人で解読しようとしていた時は理解に苦しんでいましたが,解読の仕方という面でも学ぶことが多く,こうやって辿っていくのかと勉強になりました.ただ自分の体調が非常に悪くせっかくの話し合いも集中しきれずにいたことが悔やまれます.体調管理はしっかりしなければならないと感じました.

 

今回はまだ次の話し合いの日程は決めませんでしたが,また近いうちに話せるように進捗出していきたいです.

高校生がやってきた

Global Science Campusという事業の一環で、半年間、主に週末に、高校生が研究室に来ることになりました。

テーマを持って研究体験、というものなのですが、うちにやってきた高校生は、具体的にやりたいことが、かなりはっきりしていて、学外の専門家のご協力をいただきながら、ばりばり進めていけそうです。

今日はHTMLからJavaScript、GitHubのお勉強でした。

とても熱心な高校生で、とてもやりがいもありますし、楽しみです。半年間、がんばります!

(秋田)

OB高田さんが来訪してくれました

就活シーズンということで、ときどき研究室のOBが、会社紹介などで来訪してくれることもあります。今日は、東芝メモリに勤務されている高田さん(2014学部卒、写真左)が来られました。(同僚の、笠原研OBの櫻井さん(写真右)といっしょに)

会社のほうは、親会社との関係などいろいろ大変そうですが、お仕事は充実しているとのことでした。

(秋田)

研究室大掃除2018(春)

2018年度がはじまって、今年も研究室に新4年生がやってきました。せっかくなので最近サボっていた研究室の掃除をみんなでやりながら、席替え。

去年は大がかりな研究室の模様替えがったのですが、今年は特になくて掃除がメイン。

エアコンのフィルタもだいぶホコリがつまってます。

 

まったる部屋は、掃除しても、あんまりきれいになった実感がないのは気のせいでしょうか。

これで心機一転、研究をがんばれますね!

(秋田)

久しぶりにShenZhen行ってきました

こんにちは、秋田です。2017年11月に、学生4人を連れて、MakerFaireShenZhen2017にあわせて、一週間ほどShenZhenに行ってきました。(彼らのblogエントリと重複しそうな内容は端折ってありますので、彼らのblogエントリとあわせてご覧いただければ幸いです。→吉村小瀬中川吉田

思えばShenZhenは、4年前に香港に行ったときに30分だけ行ったのが最初(そのときのblog)で、これはちゃんと来なければと思って3年前に学会にあわせて高須さんがアレンジされた観察会(第2回ニコ技深圳観察会)に参加し(そのときのblog)、2年前のMakerFaireShenZhenに行って以来になります。その後もShenZhenの動向は気にしつつも行く機会がなかった(つくれなかった)のですが、高須さんの「メイカーズのエコシステム 新しいモノづくりがとまらない。」を読んだり、いろいろな方のお話を伺っているうちに、いろいろと大きく変わっている途中のShenZhenを見ておかねば、と思って、今回また行ってきました。

香港には20年前、イギリスから中国に返還される直前に行ったことがあります。そのときに買ったガイドブックに載っている地図がこちら。

まだShenZhen側はまだ埋め立てられていない海が広く、紹介文では、地下鉄もまだ通っていないが香港への玄関口として発展が始まっている、と書かれていました。まさかそのときには、こんなに香港経由でShenZhenに行くことになると思いませんでした。ShenZhenは明治維新と高度経済成長が並行しているような進化が、まさしく「深圳速度」で進行中です。

↑2年前(2015年)に行ったときに買った交通カード(ShenZhenTong)の裏面の地下鉄路線図

↑今回(2017年)の地下鉄路線図。たった2年でだいぶ路線が増えています。

さて、まずはMakerFairShenZhen。

本業のMakeLSI:の展示。メインは、レイアウト図とLチカLSIのLチカだけ、というとても地味な展示です。

↑おまけ(?)で、コースターも少しだけ頒布していました。ちなみに、この「の」がかわいい、という声をよく聞きました。中華圏では「日本語っぽい文字」として人気があるらしいですね。

こんなミネラルウオーターもありました(Gからはじまる名前でしたが、「の」にしか見えない)

最近中国では、QRコードを使ったスマホ決済がよくつかわれているとのことだったので、コースターの代金受け取りのために、自分のQRコードを印刷して持って行きました。結果はこれが大活躍で、売れたコースターの代金の大半はこれで支払いを受けました。WeChat(微信:LINEのようなチャットアプリ)のアカウント内の中に財布(WeChatPay)があって、スマホのアプリでこのQRコードをスキャンし、支払金額を入力すれば支払い完了。逆に、市中のお店のほとんどには、このQRコードが貼ってあって、自分が支払うときは、そのQRコードをスキャンして支払い画面をお店の人に見せて支払い完了、となります。何よりQRコードだけなので、お店側の手間が少ないのがいいですね。(ちなみに↑のQRコードをスキャンすれば、私にWeChatPay送金できます。投げ銭歓迎です(ぉ))

このQRコード決済の普及と相まって、sharing economyがかなり普及しています。これは傘。そのほか、ofoやMobikeなどの自転車(市内いたるところに自転車がおいてあり、QRコードで認証して解錠して乗り、好きなところで降りて施錠して乗り捨て。30分で1元ぐらいなので、歩いて10分くらいの距離だと、自転車を使いたくなってしまう)も。ただ故障した自転車も多数見かけたので、壮大な社会実験を(民間が)行っている、というところでしょうか。

(写真提供:TTさん)

↑ちなみにこの展示では、噂の「ブルーリボン」をいただけました。地味な展示でしたが、ある意味評価をされたということで、個人的にはとてもうれしかったです。

さてMakerFaireShenZhen全般では、2年前の前回はスタートアップの製品紹介のような完成度の高いものが多かった印象だったのですが、今回は、MTMやNTにある(あった)「アツい思いから、面白いから、作ってみた」というものが結構増えた印象です。

↑こちらはお隣のブースの方ですが、カーボン素材で竹馬のようなフィン付きの道具をつくり、それで水上を歩行する(水上漂)おじさん。ヤバい。しかもこれで起業をするんだそうです。まじか。こんな感じで、いい意味で「ヤバい」展示がけっこうあって、見ていて楽しく、そして居心地がよかったです。

(写真提供:TTさん)

MakerFaireShenZhenの期間中、高須さんの呼びかけで、現地入りしている日本人を中心に100人近くが集まるオフ会がありました。その際、高須さんにご紹介いただいた、OpenSourceHardware界の有名人、Bunnieさんと少しお話させていただけました。ついでに、彼が作ったChumby(世界で最初にShenZhenで量産されたOpenSourceHWらしい)を持っている人が、私を含めてこの会に3人いて、それを喜んでビールをおごってくれました(左はスイッチサイエンスの金本社長)。ちなみにそのChumby、先日の研究室の掃除のときに、危うく学生に捨てられそうになって、あわてて止めたのでした。

さてMakerFaireのあと、かつての「ニコ技深圳観察会」の後継(?)として、HighTourがあり、抽選だったのですが、幸い参加させていただけたので、丸三日間、いろいろ見学してきました。ここでも、学生さんたちのblogエントリと重ならない話を。

3年前の観察会のときは、Seeedの工場はだいぶ郊外にあったのですが、いまはだいぶ中心部、産業集積新都心の南山にありました。Ajail試作センターは相変わらずのきれいでコンパクトな、量産機械と手動作業の組み合わせ。

↑個人的にはスルーホール部品の足に溶けたはんだを塗る機械をはじめてみました。なるほど。

↑世界中のMakerの味方、FusionPCBA(基板製造+部品実装)。その工程の進捗状況が大きなディスプレイに表示されていて進捗が一目瞭然。「売上金額」も刻一刻と変わっていました。

↑つづいて郊外(ShenZhen空港のもう少し北)のプリント基板工場。ここは半年前の今年4月から稼働開始なのだそうですが、設備は古めでした。3年前の気になった、労働環境の悪さ、例えば素手で、基板を固定してある竿をエッチング液槽に浸す、などは、それほど変わっていないようで、ちょっと心配でした。ちなみに見学したここは、SeeedのFusionPCBの提携工場ではないそうです。

続いてプラスチック成型工場で金型を作るおじさん。職人芸ですね。

このプラスチック成型工場の隣では、CNC工作機械も生産されていました。

実はこの1日目、当初の予定では、藤岡さんが経営されているEMSサービスのJENESも見学予定でした。3年前の見学でもお世話になったのですが、その後どう変わっているのか、とても興味があって楽しみにしていたのですが、前日に急にキャンセルになってしまいました。残念・・・訪問は改めての機会にしたいと思いますが、その藤岡さんが、ご自身のご経験などから「「ハードウェアのシリコンバレー深セン」に学ぶ−これからの製造のトレンドとエコシステム」という本を書かれていますので、さっそく読んでみたいと思います。

二日目は、主にMakerのためのスペース。最近はShenZhenでは、自発的につくられたものから行政主導のものまで、たくさんのMakerスペースができているそうです。

↑こちらはSeeedも運営しているx.factory。会員制(会費は月7000円くらい)の工房で、DMM.akibaのような感じでしょうか。

↑もう一つはZeroLaboで、ギークが集まるMakerSpaceっぽい雰囲気でした。「トラブルもMakeする」

3日目は、ハードウエア専門のアクセラレター(スタートアップ企業を募集して集中的に合宿して育てるブートキャンプのようなところ)であるHAX(3年前に見学に伺ったときはHAXLR8Rという名前だった)。今回の見学は短時間でしたが、工具や工作機械がそろった工房から、少量ながら製品を製造する部屋まで。

↑HAXの入り口には、HAX卒業生の会社のロゴが並んでいるのですが、つい先日購入した基板プリンタのVolteraもありました。前回おじゃましたときは、(半分冗談で)「(HAX卒業生の会社の)製品を持ってる?何個?」と聞かれていたので、「うん、もってる。1個だけど」と心の中で思っていました。

この日の夕方には、HuaQiangBeiにあるSEG Maker Spaceで、高須さんと、東大の伊藤亞聖先生のトークがある、とのことだったので、香港に移動する前に行ってきました。高須さんのお話は、NT金沢などでお聞きしている内容もありますが、いつも新しい発見があります。また伊藤先生は初めてお会いしたのですが、経済学者として、現代中国での産業構造について研究されている中から、MakerムーブメントとShenZhenの関係にも注目されていて、積極的に情報発信をされています(ご著書「現代中国の産業集積―「世界の工場」とボトムアップ型経済発展―」を早速読ませていただきたいと思います)。こちらも経済学者としての視点からのお話で、新しい視点を多数いただけるお話で、おなかいっぱいになりました。少しずつ消化していきたいと思います。

さてShenZhenといえば、電気街のHuaQianBeiなわけですが、部品のみならずガジェットの問屋としても、札束と空のカバンをもって行きたいところです。

↑こちらは、さきほどビールをおごってくれた、Bunnieさんの本 “The Essential Guide to Electronics in Shenzhen”。HuaQianBeiのSEGビルの2Fで、Arduinoなどを売っているお店(実は意外と少ない)をやっているMJさんのお店で買いました。300元。

↑こちらは、スマホやタブレットのお店が集まるビルで、「えらく細長いスマホだな」と、半分ネタとして、店頭で電源も入れずに、100元くらいで買いました。あとで電源を入れてみてびっくり。全面タッチパネル単色ディスプレイ(たぶんOLED)の、フィーチャーホンでした。メール送受信に加えて、WeChatもできるみたいです。Webブラウザ機能はないけどデュアルSIMっぽいです。前出のBunnieさんが、12ドル携帯電話の話を書かれているのですが、この電話機は、タッチパネル・OLEDディスプレイで同じくらいの価格です。このような、人件費も地価も上がっているのに、安価な製品をつくれるエコシステムが成り立っているShenZhenの仕組みは、いろいろ興味深いです。特に標準ハードウエア(ボード)である公板(Gon Ban)(例えば高須さんの記事などが詳しい)は、ピーター・ドラッカー(「もしドラ」のドラッカー)が「汎用品を組み合わせて多様な製品を量産する、新型の大量生産」と呼んだ産業形態そのもので、それがShenZhenとその付近の地域でエコシステムを形成しているのは、とても興味深いです。

さて、以下、閑話休題。

↑ShenZhenは食べ物が安くておいしくて、個人的にはとても居心地がいいです。このチャーハンで10元くらい。しかもうまい。

↑3年前にもいった、ShenZhen郊外の大芬(Dafen)油画村(高須さんの記事)も、少し行ってきました。あいにくの大雨だったのでゆっくりとは見ていないのですが、相変わらずでした。

さて帰路にShenZhenから香港に入ると、急に老人が増えたような気がします。別に香港がそれほど高齢化社会というわけではなく、ShenZhenが若い人が多すぎるわけですけど。で、その香港の安宿、今回が2回目なのですが、知らないとなかなか難易度高めです。

↑入口は、ビルの隅の、住人しか入らなさそうな入り口。ここから入って狭いエレベーターで20階ぐらいまでのぼると、集合住宅の一部屋を、薄い壁で6部屋くらいに区切ったところがホテル。ホテルといってもおばちゃんがラーメン食べてました。部屋はきれいで静かなのですが、さすが人口密度の高い香港。トイレとシャワーはこんな感じ。まあ慣れればこんなもの、と思うのですが、普通のホテルをイメージしてくると、かなり驚くでしょうね。

↑どうでもいいことなんですが、香港の深水埗(電気街っぽいところ)でふらっと入ったお店でケーブル買ったのですが、お店の名前が”Akita Computer”でした(帰国してから気づいた)。

そんなわけで約1週間、いろんな刺激を受けて帰ってきました。帰国して丸二日間ほど腑抜けになってて、ようやく元の生活に戻りつつありますが、やはりまた定期的に行きたいですね。ちなにに今回は羽田発・成田着のLCCのHKエクスプレスで、往復3万円でした。金沢から東京とたいして変わらない・・・

(秋田)

Maker Faire ShenZhen & SZ HighTour @深セン

B4の小瀬です。 

11/8~11/17に行ってきたMaker Faire ShenZhenとSZ HighTourについて書きたいと思います。

深センは中国の南部に位置する港に面した街で、気候は亜熱帯に属します。日本の沖縄と同様、冬でも20℃を上回るため今回はほとんど半袖1枚での行動となりました。

今回は行き帰りともに香港経由だったので、行きは香港空港から船で深センに入り、帰りは地下鉄を乗り継いで陸路で深センを後にしました。

人口は1450万人ほどで(これは中国国内で上海北京広州に次ぐ4番目)、東京23区の1.5倍ほどです。あと、とにかく若い人が多いです。また、住宅は一軒家がなくほとんどが集合住宅なので、街がコンパクトに仕上がっている上に、まだまだ土地が余っているため、いたるところで開発が行われていました。

深センの地下鉄は11本あります。(ちなみに東京はメトロ9本都営4本・大阪は市営交通8本)まだまだ計画されている路線はあるようですべて完成すると16本ぐらいになるそうです。また乗車時に保安検査(X線によるチェック)があり、全駅で行われています。

深センを走る地下鉄の車内の様子。折りたたみ式自転車を持ち込む乗客も。

 地下鉄の駅を降りて地上に上がるといたるところにたくさんの自転車が見受けられます。自転車にはバーコードが貼ってあり、スマホをかざすことで料金を支払って自転車にのることができます。

地下鉄を降りると無数の自転車が。

 深センは財布の要らない都市と言われています。財布に変わって重要になるのがスマホです。スマホによる支払いは何通りかあるようですが、代表的なのは微信支付(WeChatPay)と支付宝(ALIPAY)です。銀行の口座からチャージできる他、他人からの送金によってチャージすることができます。(今回僕は銀行口座を持っていなかったので、宿泊ホテルのフロントで現金を渡してチャージしてもらいました。)このようにして公共料金から食事、地下鉄の運賃など多岐にわたってスマホでの支払いが可能であることから、深センは財布の要らない街と言われているわけです。またこれらの支払いはスマホがQRコードを読み取ることによって可能にしているため、あまりお金をかけず普及でき、画期的と言えるでしょう。

ホテルのフロントで貸出している傘もWeChatPayで支払いが可能。

 食事は安く食べれるお店が多いです。(もちろん中には高級店もあります。)今回の旅では炒飯・米粉・小籠包・雲呑スープがブームで大半がそれらで占められていました。どれもお手軽な値段で食べることができ、だいたい8~15元ぐらい(日本円で120~220円ぐらい)が相場だったように思えます。

ホテルの近くの食堂街

結局この旅で計3回ぐらい行った雲呑スープの店のメニュー

炒飯

 Maker Faire ShenZhen(以下MFSZ)についてですが、会場は深圳職業技術学院という学校が会場でした。大まかには企業ブースとメイカーブースの2つに分かれており、企業ブースは各企業が出展しているもので、3Dプリンタ・レーザーカッター・ドローンなどが大半を占めていました。(中にはラズベリーパイを使ってスーパーファミコンっぽいものを作っている企業とかもあった)一方でメイカーブースは、中国国内だけでなくいろいろな国々のメイカーが工夫をこらしたものを出展していました。

 

今回のMFSZの会場となった、深圳職業技術学院。

企業ブース

スマホを使ってシューティングしたり

ラズパイを使ったスーパーファミコンっぽいのがあったり

福井から来た方はGoogleGlassっぽい”画面が映る眼鏡”を出展されていました。

 MFSZのメイカーブースですが、中国国内の人が出展しているブースは子供向けが多かったように思えます。また、日本から出展してる方が結構多く、色々なお話をさせていただいていい経験になったように思えます。研究室でMake LSIを出展しましたが、自分の英語の拙さもあって、お客さんに対して説明することへの難しさを感じる一面もありました。

SZ High Tourについてですが、1日目は工場巡り2日目はオフィス、3日目はメイカーの現場といった感じでしょうか。特にプリント基板を作る工程はあまりこれまで見たことがなかったということもあり新鮮でした。

最初に訪れたSeeed社

基板がずらり

昼食を挟んで訪れたPCB Factoryでは、基板の洗浄の現場が見ることができました。

建物自体は古いですが、基板製造の稼働を始めたのは今年4月だそうです。

現場にはこういうものも

 2日目に訪れたテンセント社。WeChatの開発のほかテンセントQQ(インスタントメッセンジャー)を始めとした様々なサービスを展開しています。また、先日中国企業としては初めて時価総額5000億ドルを突破したそうです。

テンセント社のマスコットらしいが、どっかで見たことあるなぁ…

XIVO Design社がデザインした多機能ラジオ。Bluetoothにつなげたり、タイマーになったり・・・

ラジオを分解するとこんな感じ


3日目に訪れたのは、HAX社。世界最速のスタートアップ育成所と言われています。育成プログラムを組むことで様々な知識やノウハウを伝授し、企業のスタートアップを支援しているようです。そうして育った企業から利益を還元することによって成り立っています。

このHAX社がオフィスがあるのが中国最大の電子街である華強北です。秋葉原の30倍(実際はそれ以上だと言われている)だそうで、ビルの1フロアに数百もの業者(問屋)があり、それがビルの下から上まで、またそうしたビルが林立しています。電子部品からスマホのコード、ハンドスピナーまでなんでも手に入ります。また工場から来た製品を全世界にばらまく中継地点となるいわゆる問屋がほとんどなので、製品を安く手に入れることが可能です。

あと、日本であまり見ないものとして、スマホの修理屋さんがありました。中国は店にもっていくと目の前で修理をしてくれます。驚きです。

この他にも、スマホ部品だけをひたすら売るビルがあったり、噂ではスマホの解体新書が売ってたり、携帯機能の付いたハンドスピナーがあったりと奥の深い華強北でした。

最後に、個人的には今回が初めての海外でしたが、深センでよかったです。パスポートを取るところからスタートし、出国審査入国審査をクリアし、初めて大陸の地に足をつけたとき少し感動を覚えました。実際に現地に行ってみたとき、自分がこれまでに想像していたのと全く違う光景が広がっていました。もはや、”中国は世界の工場”という考え方は過去のもので、深センには日本の一歩も二歩も先を行くような場面が多々見られたのが印象的でした。これからは日本が遅れていかないかが心配になるほどです。またMFSZを見た上で、基板の製造現場を見学し、メイカー育成の現場を見れたのは貴重かつ良い経験になりました。華強北はまだまだ奥が深そうなので、今度はプライベートで行きたいと強く感じました。