Maker Faire Tokyo に行ってきました

こんにちは。先導学類3年の小林です。
10/4-5に開催されたMaker Faire Tokyo に行ってきました。

はじめに

私はもともと、こっちのほうの分野(ものづくりとかテクノロジーとか)にあまり接点がありませんでしたが、今年の8月から9月にかけて行われた、融合学域の留学プログラムで深センに5週間ほど滞在した際に面白い面をたくさん気づくことができました。そんな中、自分の中でこの ほとぼり が冷めないうちにまた新しいものが見たい!と思い、今回Maker Faire Tokyoへ。
ということで、その振り返りと感想を書きたいと思います。

まずこの、「作ることで楽しむ、つながる、学ぶ」というフレーズがいいですよね。
まず自分で作ってみる。それによって、新しい知識や発見と出会い、つながることができる。またその作ったものは人とのつながりも運んでくる。そしてそれらの経験が学びになり自分の糧に。

会場にて

会場に入ってみると、たくさんの展示と人。今年NT金沢に出展させていただいた時も思いましたが、日本ってこんなにもものづくりをしている人がいるのかと今回も関心。
1つ1つが細かく作り込まれていて、どれも作者の工夫が光っていて。それも、本業ではなく趣味で作っているものもたくさんあって、どうやったらその発想になるんだ?!と、頭がおかしい(こっちのほうだと褒め言葉らしい)ものがたくさんありました。

↑ボタンを押すと音が鳴る電子楽器「ShockAndKeys」。最近さらに改良して、お釣り部分のレバーを引くと音にビブラートがかかる。これを見た時に楽器だと思える感性。ちなみに、楽器にする際に欲しかったのは食券機の外側だけで、中身は売ったらしい。中身だけも需要あるんだ、。

↑「スシーケンサー」これは今回の私のお気に入りなのですが、カメラで色を認知して音が鳴る仕組みを回転寿司でにしたもの。寿司で演奏できちゃう。真ん中のクローシュを開けると、いくらが登場し、同時にライトが点滅するのでいい感じにパリピになります。

この作品を展示している方が「子供が寿司をいじっていて並べ方を変えたら、音が同時に鳴り和音ができた。その発想はなかった」とおっしゃっていました。展示をすることで、大人子供に関係なくいいフィードバックを与えることができる、ということに気づきました。

↑「VRダルマ落とし」ひとりがゴーグルを装着し座る。周りの人は映像に合わせてピコピコハンマーで叩いたりうちわで仰いだりして、体験者がゴールできるように支援。映像が周りの人にも見えるので応援することができ、ゴーグルを装着している人だけではなく、周りも楽しめるようになっています。

↑こちらは「D-robotics」のCoco-chan。日本の出展者さんだけでなく海外の企業さんも出展!深センでの研修でお世話になった「M5stack」「D-robotics」「micro:bit」などなど、日本で開催されているイベントに来ていただけること、とても嬉しかったです。
(今回の展示でいたるところにM5stackが使われていて、使いやすいデザイン・性能なんだな、、と)

おわりに


今回、展示の中で分からないところがあったとしても制作者の方は丁寧に教えてくれたり、質問に対して1聞いたら10以上は返ってくるということがたくさんあって、分からないということに対しての壁っていうものは、自分が想像しているよりも低いのではないかと気づきました。会場にいた方々は、各々自分の大切にしている軸のようなものがあり、いい意味で“他人からどう見られているのか“をあまり気にしていない。それがある意味、こちらからの質問のしやすさ、話しかけやすさに繋がっているのかなと思いました。(言葉にすると難しいですね)

また、今回の会場内ではたくさんのエネルギーを感じました。自分の好きなことをすることって、こんなにも輝くんだと、楽しそうなんだとこっちまでパワーをもらえるような、そんな空間でした。作品に使われている技術に関して、詳しいことはよく分かりませんが、専門的な技術は専門的なものだけに留まらずもっと大衆化されたら素敵だなと思います。

今回のイベントも行って良かったなあと。またこのようなイベントがあったら顔を出してみたいなと思いました。

気配の触覚展に参加してきました(9/19-9/22)

函館で岡本先生が主催していた気配の触覚展に参加してきました。

気配の触覚展では視覚・聴覚に頼ることなく、触覚などの体全体を通してそこににある「気配」を感じる体験ができる展示会です。その展示会に私の作品も出品してきました。このblogでは展示物の紹介をしようと思います。

1,Ground Wave

Groud Waveは振動を音と光で感じることができる装置です。例えば机の上に置くと誰かが机を叩いたり、さすったりしたことを音と光で感じることができます。

床に置けば人が近くを通ったことがわかります。空き巣対策にも使えます。また、板の上にのって座禅を組んでみる使い方をしている人もいました。動くと音が鳴るので精神統一できているかどうかがわかります。

2,FB Finger

これはもともと視覚障碍者向けに開発されたもので目の前にあるものを遠くからでも指で感じることができる装置です。近くにあるかないかだけでなく、表面の凸凹も指で感じることができます。展覧会ではこれを使って狭い道を目をつぶって歩いてみたり、鏡に映った自分の体をさわる体験ができました。

3,Hitsuki Mushi

これも視覚障碍者向けのグッズで振動で周囲の距離を感じることができます。体のどこにでもくっつけることができるので用途に応じて様々な使い方ができます。

4,Sound Tail

これはもともと片耳が聞こえない人のために作られた装置です。耳に取り付けて使います。近くで音が鳴るとフリフリが動いて耳でその動きを感じることができます。

5,Air Flow

これは空気の流れを音と光で感じることができます。人が通った気配や風の流れなどを視覚と聴覚で感じることができて、展覧会のなかでも子供たちに大人気で一番の目玉でした。

6,自分の作品

私が出品したもので、目の前にある物体の左右を指で感じることができます。目をつぶっていても目の前の物体を探すことができるようになっていて、子供からお年寄りまでいろいろな人に使ってもらいました。

最後に

展覧会には300人ほど来てくださりました。自分の作った作品をこのような展覧会に出品することは初めてでした。いろんな人に使ってもらうことで自分の予想していなかった感想をもらえてとても有意義でした。また、技術的な準備だけでなく、人に見てもらうための準備の仕方を学びました。

大湾区見学に行ってきました ~JLC星火会・JLC珠海工場~

B3になりました、小川です。深圳の企業で基板製造サービスを中心に提供している嘉立创(JLC)グループの基板工場の見学とそれにまつわるできごとを報告します。

1日目

5月下旬にして大湾区はもう真夏で、日向にとても立っていたくない暑さです。香港の將軍澳にある役場で用事を済ませ、今回は東鐵綫の落馬洲駅を経由して深圳に入境しました。地下鉄で2駅北上した福田区の会展中心ではいつでも何かしらの展示会をやっていて、今回はAI展、ドローン展、Bluetooth展などを見学しました。

AI展全景の半分

AI展

文字通り少しでもAIに関係のあるものを持って広範に企業が集まっていました。特に気になったのは华强グループとSEGグループです。この2社は世界的な電気街として有名な华强北の一等地を二分する企業で、それぞれ異なった方針でブースを出していました。内容は実店舗の雰囲気と近いものをかなり感じます。
HQ(华强グループ)は取引のある企業の製品をいくつも出展する形式で、华强北にオフィスのあるElephant Roboticsや小さい人型ロボットのUBTechなどが展示されていました。壁面には华强北の歴史や試作から量産までのスピード感を説明するグラフィックが貼られていました。

HQのブース全景
Elephant

もう一方のSEG(赛格)はメーカーにとらわれず、というかOEM品もたくさんありそうなくらいにガジェットを色々並べています。AIマウスとかAIイヤホンとか、おそらく本質的にはAIが関係なさそうなものもとりあえず置いて販売している気前の良さがあります。SEGもHQもテナントに入居する形式であるため、どうやって製品を選んで公式としてここに並べるに至ったのかのプロセスも気になります。

SEGのブース全景
SEGのブースに並ぶガジェットたち

他にも、深圳メトロが地中調査や運行管理に応用しているAIシステムであったり、ファーウェイの通信やエネルギーのソリューション説明があるなど私でも名前を知っている企業がかなりありました。

Bluetooth展

会展中心は日本でいうビッグサイトのように大きな建物内に複数のホールがあり、隣ではAI展とは打って変わって非常にニッチなBluetooth展が開催されていました。人の数はだいぶん減りましたが、Bluetooth公式が主催し名だたるメーカーのブースが並んでいて年に一度のアジアで最大のイベントであることが伺えます。
一番お金を出していそうなNordicのブースでフライヤーをもらったり、私もDIY基板で使っているWCHのブースで社員の方と少し話したりすることができました。市場で売っているハードウェア製品に組み込まれている無線機能付きチップのメーカーが実際にこの目の前でブースを出していて社員の方も立っている空間は、AI展より地味でありながら濃密な体験でした。

WCHのブース

お弁当と餃子

香港空港で朝ごはんを食べたあと何も食べておらず、どうにもお腹が減っていたので早めの夕飯にしました。いつものお店を2軒回ってそれぞれ200円くらいのお弁当と餃子10個を調達したのち、HQプラザをXiaomiストアを通ってホテルに戻りました。
ホテルの部屋で大学の課題をやったり寝たりしていたら夜も遅くなってきました。またもお腹が減ってきて、夜更けでもやっている所を近所で1軒知っていたので体に悪いと思いながら2菜11元を食べました。

2日目

朝食

メトロの駅までの道中でちょっと高いお茶と小さい肉まんを買って食べつつ向かいます。

朝食の肉まんとお茶

JLC星火会

JLCが主催するイベントで、製品発表とオープンソースハードウェアの展示からなっています。
開始前と休憩時間にはロビーと通路にブースが並び、そのほとんどがDIYハードウェアかメイカー向け企業の紹介です。ホールではイベントがゲストのスピーチ数件から始まり、いくつかの分野の偉い人の偉い人が続きます。

tuyaopen

EasyEDA

今年一番のホットトピックはEasyEDAだと思います。これは、JLCが開発して提供しているブラウザ上で動作する基板設計ツール(EDA)です。有名なものにKiCadやEagleがありますが、私はEasyEDAを使っています。この話題のプレゼンは合計3枠あります。
まずはJLC社員の莫さんが、EasyEDAと自社オープンソースプラットフォームの発展について説明しました。全体に共通することとして、スピーカーも出席者も若い人ばかりです。特に、スピーカーの方々は日本語で言えば「EDA開発本部長」とか「公式開発ボード事業部長」といった立場のはずで、JLCがいかに急成長を遂げている会社であるかがわかります。

莫さんのプレゼン

続いて同じくJLC社員の罗さんが、EasyEDAについてプレゼンしました。30分間のほとんど新機能の話をしていて、たびたび歓声も上がりました。回路設計にLLMを融合させる新機能ももうすぐできるというような事も言っていて、バイブコーディング育ちの私にとってはいよいよハードウェアにも本格的にLLM-ageがやってきている確信がわきました。

罗さんのプレゼン

3人目の方さんはどうやら学生らしく、EasyEDAの拡張機能をたくさん作っている方でした。SDKはgiteeから落とせて、npmでパッケージまでできるよという指南や、これまで作られてきた拡張機能の紹介をしていました。写真は、スペクトル図からクリックした位置の波長に対応するLEDを検索する拡張機能です。

方さんのプレゼン_npmでやります
方さんのプレゼン_LED検索機

これらの話題をまとめると、EasyEDAがJLC提供のSaaSであるからこそ、AI支援機能の統合およびオープンソースハードウェアコミュニティとの連携に強みを見出そうとしていることがわかります。しかし、EasyEDA自体はオープンなソフトウェアでないためロックインのリスクもあり、そのような道を辿ったEDAソフトは実際に存在します。便利になるのはいちユーザーとして嬉しい限りですが、ある日突然とんでもないほどに高額な有料ソフトに変わらないことを願っています。

昼食

会場が結構いいホテルで昼食は中のバイキングでした。さすが、少なくなった料理はすぐさま補充されていました。

昼食のバイキング

星火会つづき

受賞者プレゼン

星火会ではオープンソースハードウェアのコンテストも行われており、二つの部門それぞれ約10点ずつ展示もありました。現場で投票してグランプリを決めているようです。
x.com/Ogawa3427/status/1926177943866265821
午後は昨年のグランプリを獲ったメイカー二人のプレゼンから始まります。10分の枠で開発に至った経緯、成果物の説明や観客へのメッセージを話していたため非常にテンポが速く、この2枠だけLTに近い感じでした。

星火会ではオープンソースハードウェアのコンテストも行われており、二つの部門それぞれ約10点ずつ展示もありました。現場で投票してグランプリを決めているようです。
x.com/Ogawa3427/status/1926177943866265821
午後は昨年のグランプリを獲ったメイカー二人のプレゼンから始まります。10分の枠で開発に至った経緯、成果物の説明や観客へのメッセージを話していたため非常にテンポが速く、この2枠だけLTに近い感じでした。
x.com/tks/status/1926166005488771227

開発ボード

最後は开发板のお話が2枠ありました。
まずは、Arduino開発の教材や開発ボードを作るメイカーのプレゼンです。「なぜカラフルな開発ボードを作るのか?」とある通り、彼はカラフルなマイコンボードを作っては発表しています。JLCが最近になって力を入れているカラーシルク印刷(基板上に施すペイントや印字を多色で行い絵などが描ける)を使っていることから、今回はスピーカーとして招待されているのだと思われます。ロビーにはブースもあり、彼の作品たちの中でそれも見つけることができました。

小智学長
小智学長のカラフルPCB

最後は、JLCの公式として販売している開発ボードの開発部長である吴さんです。日本国内ではJLCが開発ボードを売っていませんし、私も作っていることをこの会場に来て初めて知りました。
設計する方法や面白いトラブル、Tipsなどをどんどん紹介していきます。プレゼンなのにコールアンドレスポンスがあり、おそらく最後のこの枠が一番盛り上がっていました。上から仕事着を羽織って登壇しているところなどを見るに、かなりキャラクターの濃い人です。

吴さんのプレゼン、基板は3段階かけて小型化して製品にする

x.com/Ogawa3427/status/1926193184771637469
そして、これからのエンジニア育成のためにボードを作ると力強いメッセージを伝えていました。その他にもコンテストやクーポン配布など、新しいユーザーを育ててハードウェアのDIYをする人を増やすために施策を行なっていることがわかります。それなりに大きくなってきた企業が自身の事業を使って後進を支援する姿勢は、学生としてとても嬉しい状況を作っていると思います。
x.com/tks/status/1926192673083236473

WeChatと大湾区のオタクたち

さて、数日前から参加者のWeChatグループが作られており100人以上の規模です。てっきり運営サイドからの連絡事項が流れてくるものかと思っていたら、そうではなく参加者同士がずっと喋っている掲示板になっていました。参加者の方も非常に若く、ほとんど20代(特に前半)に見える人ばかりでした。そんな彼らはJLCユーザーでありメイカーであり、日本語圏インターネットでいうところの「オタク」ばかりのはずです。
x.com/tks/status/1925235942312550844
x.com/Ogawa3427/status/1926122717935173670
当日はさらに掲示板は活発に動き、プレゼンの内容について議論や補足が行われていました。はじめに出てきた莫さんが莫工と呼ばれ賞賛されているところに本人が「降臨」する場面もありました。カンファレンスのslackやDiscordでいう実況チャンネルとRandomチャンネルを足したような使われ方というとピンとくるかと思います。深圳以外の地域から来たギーク達も多く、互いの地域の給料や生活費の事情を交換し合う場面や、JLC社員からフランクな「ソフトウェアエンジニア足りないからうちで働かない?」という呼びかけに対しギーク達が「学生は卒業したらJLCだな」のような半分冗談半分本気で仕事の話をする場面がありました。1ヶ月が経っても週に何度かはチャットは動いています。

右の犬っぽい着ぐるみが本人

ロビーに出ていたブースにはいくつか企業ではなく個人でやっているものもあり、Nucleonさんはその1人です。(写真右)ブースで話したところ、私と同世代くらいでお互い少し言葉がわかりそうということでした。WeChatを交換してその後も相談をすることがあります。11月のMaker Fare Shenzhenでまた会えるのを楽しみにしています。

Nucleonさんのブース

星火会まとめ

中国のギーク達が集まるイベントや彼らのコミュニケーションの様子は、日本語メディアにあまり出ない一次情報でありとても勉強になりました。JLCのような企業が広い意味での協賛によって若手を育てる現場の活気は魅力的です。また、自分も一人のメイカーとして頑張って会話をしWeChatに参加したことで得られたことも多々あります。コミュニティについて知るには見学よりも一員になる方が早いとはこのことです。

星火会の後はdidiで华强北界隈に戻り、振兴路と华发路の交差点のところにある大好きな牛肉面のお店に行きいつもの鮮牛肉+牛丸トッピングを食べました。(画像は都合により過去のものを流用しています)

牛肉面

华强北でメインスマホのガラスフィルムを交換するなど所用を済ませホテルに戻りました。

スマホ修理屋

3日目

朝食

香辣牛肉包

3日目もメトロの駅までの道中で肉まんとジュースを買って食べながら向かいました。調子に乗って「香辣」にしたら思ったよりも辛くてしばらくピリピリしていました。駅の出口で自転車を拾って小さな川沿いをしばらく進むとチャーターされたと思しきバスが見えてきました。

バスで珠海に向かう

宝安の集合場所でさらに参加者を拾い座席は八割方が埋まっていよいよ深圳を離れます。深圳宝安国际空港の南から長いトンネルとそれに続く橋で珠江を渡ると中山市に入ります。もうしばらく高速道路で南下して珠海市内に到着しました。
高速道路から見えた文字:「孙中山故乡人民欢迎您(孫文のふるさとの人民があなたを歓迎します)」

孙中山故乡人民欢迎您

昼食

昼食入口、社名入りのポスターがしてある

バスを降りると広東省の郊外らしいレストランに案内してもらいました。入り口にはJLCのようこそ的なポスターがしてあり、気合の入った工場見学であることがわかります。見学の説明や点呼ののち、昼食が始まります。広東省らしいごちそうが並びます。揚げ出し豆腐っぽいものや丸ごと川魚の煮物など白米が進むものばかりで、会食ながらガッツリと食べる「飯」でした。

飯、深圳より美味いものも多い

いざJLC工場見学へ

外観が金沢大学すぎる

やけに既視感のある外装です。赤レンガ、ベージュ、ガラスの組み合わせが完全に金沢大学自然研の建物と同じなものですから、初めて来たという感じがしません。記念撮影を終えると2班に分かれて見学を始めます。

PCBAのA

まずは、SMTラインを白衣・マスク・帽子・靴カバーをして見学します。部品がなにも付いていない基板に、主に機械で部品を載せてハンダ付けする工程です。
反対側の壁が見えないくらい広いフロアには、ハンダを乗せる機械、チップマウンタ、リフロー炉が直列に繋がったラインが無数に設置されています。実際の作業は自動化されていて、作業場に立っているエンジニアは問題対応や部品補給などの管理業務をしています。そしてこのフロアが1つだけということはないはずです。

SMTの部品カート

画像の手前から左手奥にかけて並んでいるカートには、テープに巻かれた状態で表面実装部品がセットされています。このカートごとチップマウンタに差し込むと部品が供給される仕組みになってます。このように、基板に部品を載せる作業自体はほぼ完全に自動化されているものの、カートに部品を置くのは人間が主体です。頻繁に使われる基本的な部品はセットの状態でカートが準備されているのに対し、少しマニアックな部品は手動でセットされます。目の前こそが、いつもPCBAを発注するとき部品によって料金が変わるその現場であるわけです。

カートの下に入っているAGV

このフロアでは既存の台車を下から少しだけ持ち上げて動かすタイプのAGVが少しだけ走っています。おそらく、部品やPCBを載せて次工程や倉庫との間を移動する用途であると思われますが、見学した時点では単体だったり空だったりとあまり仕事をしている感じではありませんでした。

待機しているAGV

この後はスルーホール部品をハンダ付けするエリアがありました。溶かしたハンダに基板を浸けるラインもあれば、作業机と椅子のセットが並び人力でハンダ付けするエリアもあります。ここでも、発注の時にスルーホール部品があると手ハンダのために料金が高くなる現場を実際に見ました。

完成した基板がおなじみの赤いプチプチと青い段ボールで梱包されるのも同じ建物内でした。最終的に発送されるのは20センチくらいの箱から大きな段ボール箱まであり注文のスケールが多様です。国外と国内および配送業者ごとに仕分けられていました。

PCB

後半は基板そのものの製造ラインを見学します。
手動の加工はまったく見られませんでしたが、ほとんどの工程において加工機械に材料を搬入するのは人間でした。腐食液に基板を浸ける工程では出し入れのタイミングまで職人さんが管理していました。SMTに比べるとかなり複雑で、工程間の自動化もまだ浸透していません。いっぽう、工場全体で注文の閲覧と情報登録は随所のパソコンからアクセスするSaaSで行われています。このためのWebエンジニアもJLCの社員として働いているそうです。

腐食のあたり

最後に工場内の会議室らしい部屋で、夢に見た生ライチを食べながら企業紹介や質疑応答、クイズ大会などが行われました。多層基板やパッドオンビアの価格紹介では歓声も聞こえます。クイズ大会は早押し形式で、ここまでの内容からJLCのサービス内容のマニアックな問題でした。(例:JLCでは何層基板までできる?)非常に太っ腹なことに、正解者には50元の京东ギフトカードがプレゼントされたようです。

工場見学まとめ

機械を購入して同じものを大量に作るほど平均費用が低下して価格も下がるという原理が実務では複雑に要素同士が絡み合うようになるものの、JLCでもだいたいこの原理が支配しています。SMTマシンに標準カートの部品だけ使う基板が安くなるようなことです。もっといえば、電子化された注文と製造のデータから標準カートの中身や原材料の発注数を最適化するような大規模計算の利用も含まれるでしょう。
ただし、現実において新たな技術が登場した直後の過渡期ではこの理屈通りではなく、このようなサービスで最も面白い部分でもあります。JLCのような企業は新たな技術を導入するとしばらくの間はクーポンや割引を駆使して極めて安価に利用させてくれることがあります。会社全体として最終的に儲けが出るようにしているはずですが、これらは安定して続けるキャンペーンではない毎回異なる内容であり、メインのPCBAサービスの値付けと比べハイリスクで何段階も難しい判断だと考えられます。JLCがリスクを承知で安価に技術を開放するのは、開発ボードの老板(えらい人)が星火会で語っていたようなJLCが学生や開発者のためになるサービスのひとつです。

このように「toD」を意識するサービスへのアクセス性の高さは、深圳で感じる「日進月歩」の風土の一部であろうと思います。全てが成功することはあり得ないから、転べるうちに転ぶ土台を提供しているのです。

深圳に帰り宝安体育館の近くでちょっといい四川料理を食べました。麻婆豆腐がとても美味しく、ゴマくらいしかわかりませんでしたが色々と味がしました。香港空港では食事が期待できないので上等な食事をしてから出発できたのは幸運なことです。
x.com/tks/status/1926620856681173493
このあとはタクシーで深圳湾口岸から香港空港へ向かい、月曜日の2限に間に合うよう金沢に帰りました。報告は以上です、ありがとうございました。

※特記ない画像は筆者が撮影したものです。クォータマークのあるものはJLC公式から提供されたものです。

大学生活初旅行!!中国深圳に行ってきました!

学部1年の笹林です。

2025/5/22〜26に中国に行ってきました。今回の件が決まった経緯は少し特異?で、訪中1週間前に中国に行く事が決まり、そこから急いでSIMなどの必要用品を用意していくという形でした。教授や先輩は海外慣れしているのか普段通りの感じでしたが、僕は初めて家族以外と海外に行く経験だった事もあり、1週間ずっと楽しみでうきうきしていました。

旅行中、本当に濃い時間で、色々な事があったのですが、全てを書いていると流石に多くなりすぎるのでここではほんの一部の出来事を写真について言及していくという形で書かせて頂きます。

初深圳つきました!中国って感じの謎の匂いがしてました。上に見えている看板のデザインの服を先生は着てました。

これはまじで美味しかったです。日本に帰ってからも自作するほど美味しかったです。油条の名前の由来を覚えとくと中国に行った時に話が1種広がります!

自動車運転です!!今年、北京で自動車運転車が事故ったらしく、完全無人では無かったですがいい経験ができました。乗り心地は比較的良く、中国で普通のタクシーに乗るより安全な気がしました。

中国の地下鉄です。基本的にどの建物も最近できたようで、とても綺麗です。毎回乗車時にカバンの検査と、持ち込み飲料の検査があります。乗車時はアプリのQRコードを見せるだけです。

さすがDJIの本社です。日本では見ることがなかなかなさそうな構造でした。間の隙間はバルコニー的な状態になってるらしいです。

DJIの本社のエントランスには日本の枯山水を思い起こさせるモニュメントがありました。日本に対して好意的な感情を持っていてくれている気がしました。

400円チャーハンです。中国はご飯が基本400円程度なので最高です。先生が食べていた、トマトラーメンも400円程度でした。安くて美味しい中国はもう最高です!

中国って案外綺麗で几帳面なのかもしれません。スーパはとても綺麗で、国としてあらゆる所にゴミ箱を設置しているからなのか、路上でゴミを見かける事は日本より少なかったと思います。

ドローン、Bluetooth、AI展に行ってきました!こういう展示会に行くのが初めてだったのでとてもいい経験になりました。ここで中国スピリットというか、交渉においてグイグイ行くという事を学びました。この精神は日本でとても活きます。

ドローン宅配を利用しました!思い描いている少し先の未来は深圳にすでにあります!ちなみにこの飲み物最高に美味ししかったです。中国最高!!

あれ、、、

中国のケンタッキーのお粥が先生のお勧めという事でケンタッキーに行ってきました!油条が美味すぎました。お粥の美味しさはまだ僕には理解できませんでした。

企業のイベントってここまで豪華な感じだと知りませんでした。抽選で僕はイヤホン、先輩はスマートウォッチあたりました!

スマホ修理屋さんです!中国ではGoogleは通じません。(あるpcb工場では使われてましたが

先輩おすすめの謎らーめんです。なぜかお腹の中にスルスル入っていきました。ちなみに、中国では麺の種類が5種類程度あります!

街全体がライトアップされる超大規模マッピングです。万博やユニバーサルスタジオジャパンなど比にならないです。しかし電気代は2万程度らしいです。

中国の一部地域ではお皿がビニールに包装されて置いており、それを破って熱湯で洗うという文化があるらしいです。机がベチョベチョになってしまいました。

フルーツ食べ放題はテンション上がりました。正直、プレゼン内容は中国語が分からない事もありなにも頭に入ってきませんでした。

中国では、夜アルコールを飲むと寝れなくなるという理由などで、花の味のお茶を飲むらしいです。

羽田から小松までの飛行機からの景色です。

結論。無茶楽しく、多くを学べました。先輩、先生、高須さん、今回出会った方々、本当にありがとうございました。

技術書典18のオフラインイベントに参加しました

こんにちは.修士1年の小杉です.

2025/06/01開催の技術書典18 オフラインイベント(会場は池袋サンシャインシティ)に,出展者として参加しました.今回はその報告をしていきたいと思います.

技術書典では,出展者それぞれがオリジナルの技術書をブースにて販売します.今回私は「CPUとコンパイラを自作しながら一貫して理解するSWとHW」という技術書を販売しました.この本の内容は,題名の通り,CPUとコンパイラを両方作ることで,ソフトウェアとハードウェアを一貫して理解することを試みるというものです.

上の写真は,私たちのサークルの出展ブースを写したものです.左側の緑色の本が私の技術書で,右側のものが今回一緒に出展した秋田先生の技術書です.

今回私は紙の技術書を50冊印刷し,1000円で販売しました.電子版(pdf版)も同時に800円で販売しました.内容がかなりニッチなものなので,買ってくれる人がいるのかとかなり不安だったのですが,いざ始まってみると,思っていた以上に反響があり,たくさんの方に買っていただくことができました.

意外だと感じたのは,買っていただいた方は若い世代が多かったということです.若い世代にとってはハードウェアよりもソフトウェアの方がトレンドで,CPUやコンパイラなどの低レイヤの話はあまり興味をひかないのではと思っていたからです.しかし,実際には本を手に取りながら,熱心に質問してくださる方が非常に多く,低レイヤに興味のある若い世代は一定数いることを実感しました.

50冊あった紙の技術書は,イベント終了の1時間前に売り切れてしまいました.売り切れる際に,最後の一冊も売ってしまうという痛恨のミスをしました.最後の一冊を売ってしまうと,見本がないという状況になるため,これ以上売れなくなってしまいます.今回は,PCの画面で電子版のデータを見せたり,先生のタブレットをお借りして,手に取って読める環境をなんとか整えて対応しました.反省点として受け止め,次回(機会があれば)は見本を残しておくようにします!

技術書典18では,私がCPUとコンパイラを作成する上で得られた知見を広めることができたと同時に,低レイヤに興味のある若い世代が一定数いることを知ることができました.また,他のサークルでは,自作CPUやFPGA回路設計などの低レイヤの分野で技術書を出しているところも数多くあり,刺激的でした.お客さんや,他のブースの方々と交流して得られた知識,感じたことなどは今後の研究活動に活かしていきたいと思います.

Interaction2025報告 (高須)

2010-14年ぐらいの、チームラボに所属してまだ日本にいてニコニコ学会などの活動を行っていたころは、HCI分野の先生方の研究室を尋ね、学会に参加することが多くありました。いくつか記事を書いたことなどもあります。

人とコンピュータの未来 インタラクション2013レポートhttps://atmarkit.itmedia.co.jp/ait/spv/1303/22/news008.html

その後シンガポール/深圳と海外に引っ越してから、メイカーフェアやNT以外の国内イベントにはご無沙汰になってしまい、メイカーフェア会場で会わない先生方とはご無沙汰になってしまいました。今所属しているスイッチサイエンスで販売しているツール類は、まさにHCI分野の研究室が多く使うものなので、SNS上での付き合いは今も続いています。インタラクション2025は、この記事から10年以上ぶりの学会になりました。かつて研究室にいた学生さんたちが助教や教授として各大学で活動している様子も、久しぶりにお会いした先生方が相変わらず精力的に指導や発表を行われている様子がとても嬉しく、まるでホームタウンに戻ってきたような感覚がありました。

研究としては、M5が効果的に使われているもの

Toioなどスイッチサイエンスで扱ってるツールの使われ方

などに目が行きますが、それ以外で面白かったのがこの研究

一般的な理解の、「よく寝たほうがいろいろ捗る」とは違い、短期では寝不足のほうがパフォーマンス上がるというのをデータ取って分析したのが非常に興味深かったです

残念ながら研究した人と会えず、ディスカッションできなかったのが残念。

こういうデモ中心の学会は、予想を裏切る驚きにしょっちゅう出会えるので、ECなど今後もなるべく参加したいと思います

INTERACTION2025に参加しました(小川)

こんにちは、B2の小川です。

2025年3月4日に東京竹橋の一橋記念講堂でINTERACTION2025に参加しました。

人間とコンピュータに関する様々なテーマの研究が集まり、随所でディスカッションの盛り上がる学会で、見聞と研究活動への洞察が得られました。ポスター発表や登壇発表を見学して特に興味をひかれたものを紹介します。

(3P-95) 測距センサとIMUセンサを用いた指輪型デバイスにおける顔認証システムの提案

まず、スマートリングを装着した状態で腕を右左右と顔の前で振る動作をしてIMUと距離センサから時系列データを得ます。部分ごとの数値の列の平均値や分散などからなる代表値を入力にランダムフォレストで本人か否かを分類することで認証を行うシステムです。実験では等価エラー率が24から13パーセントを記録しました。スキャン動作やデータの前処理方法の改善が示唆されていて、さらに精度を高めることができるとのことです。

機械学習の段階で時系列データの全体ではなく、比較的素朴な代表値のみから8割程度の精度が実現されることが興味深いです。サンプル数が万単位に増加した場合の精度および大きなn数に対応するアルゴリズムがどのようになるかが気になります。

(3B-20) 創作折り紙「顔」を設計できるアプリケーション「Origami Face Maker」の開発

創作折り紙の制作では基本形と仕上げといわれる二段階の作業があります。この研究では創作折り紙の手法として「部品設計法」という、折り紙の基本的な定理によって付替えの可能性が保障される仕上げの折り方をモジュールとして組み合わせる方法を提唱しています。実際には魚の基本形(伝承折り紙のひとつ)を眉、右目、左目、口の4パーツに区分して、複数種類の仕上げをそれぞれ適用することで約3.5万通りの顔を作ることができます。これらの機能はブラウザから利用できるよう実装され、GUIで部品の選択と展開図および完成図の閲覧が可能です。

さて、発表された方曰く展開図のみを見ながら実際に紙を折って完成させるのにはある程度の慣れが必要であり、展開図と完成図を繋ぐ手順をコンピュータで導く手法も計算折り紙における難題のひとつであるとのことです。帰宅後に計算折り紙の研究を探したところ、想像をはるかに超える広い領域で研究されていることがわかりました。グラフ理論の言葉を使って数学寄りの表現をする分野もあれば、限定的な設定で折り紙を設計する分野もあります。後者は人工衛星の太陽電池モジュールを折りたたんで打ち上げ、軌道上で展開する技術と深くつながっており有名かと思います。

(3B-37) 日用品の特性に基づくVRコントローラの基礎検討

スマートフォンをVRヘッドセットと組み合わせるコントローラーに位置付けて、タッチ位置と姿勢から三種類の状態を判断します。それぞれ剣、斧、盾に見立てることで1つのコントローラーを使い複数の役割を実現する基礎的なアイデアです。発表された方は、今後スマートフォン以外の小型デバイスを日用品に取り付けて、VRヘッドセットと組み合わせてコントローラーとして利用することを提案しています。

私がいま最も関心を持って取り組んでいるテーマと非常に近いものです。日常に普及している物品に入力装置としての機能を安価で付与できるシステムがあれば、VRコンテンツの初期費用が抑えられたり、目的に特化したコントローラーをこれまでVRの技術に縁遠かった人々の創造性によって生み出せたりと大きな価値が生まれるのではないかと思っています。また、論文の参考欄から代替コントローラーを集めたalt.ctrl.GDCという展示会の存在を知りました。

(3C-62) 触手アクチュエータを用いたオーディオリアクティブ表現

シリコンチューブの断面の四方向にバイオメタルを仕込み、マイコンからそれぞれ電流を流した方向に触手が屈曲する仕組みです。映像では推定した音量に反応してランダムに動かしているようですが、バイオメタルの特性とデバイスの見た目からいわゆる「生きているような動き」になっています。

論文にもあるように、多数の触手デバイスが集まったアレイによる音へのインタラクションは多様に考えられます。バイオメタルは高速な反復動作が苦手であるという制約がありつつ、音楽のテーマに合わせた動きを実現したり狙った情動を引き起こせるようなコンテンツを作ったりする方策は、アートとテクノロジーが融合するとても興味深いテーマだと思います。

まとめ

今回のINTERACTION2025はB2の私にとって初めて参加した学会です。コンピュータと人間の間にあるもの、これに関する研究活動の理解が深まった一日でした。研究のアイデアを実現すると鋭い洞察が集まる場はとても珍しく、学会は貴重なそのひとつです。インターフェースやVRに興味のある1回生や2回生は、ぜひ先生にお願いして参加させてもらい研究について知る機会にすることをおすすめします。

INTERACTION2025に行ってきました!(満木)

こんにちは!B4の満木です。

3/2-4にかけて、東京一橋記念講堂で行われたインタラクション2025を聴講してきました。私は、学会という場に足を踏み入れること自体初めてで、貴重な体験ができた3日間になりました。

個人的に興味深かった研究はたくさんありましたが、その中でも特に印象深かった2つの研究について紹介します。

まず1つ目は。東京都立大学の吉田さんらの「STEAM教育導入のための柔らかいぬいぐるみ型電子工作玩具の提案」です。

STEAM教育の普及が求められている現代社会において、どうしたらメカニカルなものに興味を持ってもらえるか、STEAM学習が楽しいと思ってもらえるかということは、小学校の教育現場だけではなく、幼稚園から大学生、社会人に及ぶまで、とても大きな課題だと思います。私自身、メカニカルなものは苦手だなぁという潜在意識のようなものは(研究室に入ってからはだいぶ薄くなりましたが…)なかなかすぐになくなるものではないことを実体験として知っています。この研究では、実際に児童がぬいぐるみの動きを考えてプログラムし、デコレーションする。外観を自身でデザインすることで愛着を持てる設計にすることで、実験に参加した児童が楽しく遊ぶ様子がまとめられていました。実際のデモ機も置いてあったのですが、外観全体にもこもこの素材が使用されており、とっても手触りの良く、ずっと触っていたいと思えるものでした。私自身が、一年を通して、「ぬいぐるみにインタラクティブ性を付加するデバイスとその心理的効果」というテーマで、すでに愛着を持っているぬいぐるみにケアロボットの機能を追加することの心理的効果を研究していたのもあり、より強く興味を惹かれました。もこもこの素材は無機質な電子部品のメカニカル要素を軽減するのに役立っているようです。それだけではなく、もこもこは何か魅力を倍増する力を持っていると以前から感じていたものが確信に変わりました…(笑)STEAM教育をこれからますます浸透させていくために、革新的なだけではなくユーモアのある有効的な手段だと私は感じました。

2つ目は、立命館大学の中濱さんらの「障害の有無を超えた共生体験を促す複数のインターフェースを持つ体験型インスタレーションの制作」です。

多様な人が楽しみながら対話や共感を生み出す体験の場を創出することを目的に作られており、振動を感知するセンサーがついている太鼓をたたく、もしくはカメラの前で瞬きをすると太鼓の音が鳴り、花火が打ち上げられる仕様になっていました。「太鼓をたたく」と「瞬きする」の2つの入力情報が作用しあい、タイミングに応じて、様々なデザインの花火が打ちあがるようになっており、飽きずに楽しめることができます。手が思い通りに動かせない人も使えるだけでなく、花火の音は聴覚過敏の人たちにとって負担になる場合もあるのですが、音が本当に程よく優しい音で、細かいところまで思いやりがあふれているこの作品に感動しました。同じく金沢大学B4の金田さんの研究の中でも子供の頃に音楽を誰かと一緒に楽しむ合奏の重要性が述べられていましたが、少しでも多くの子供が誰かと音楽を一緒に楽しむ体験がより手軽にできるようになればいいなと改めて感じました。

インタラクション学会は、多様な人が、自分の好きな事を追い求め、楽しそうに互いの研究について語り合う素敵な場所でした。4月から私は会社に入り社会人という新たな環境になりますが、これからも日々積極的に新たな場所に訪れ、色々な背景を持つ人たちと会話をしながら、ときめきを忘れず、どんな形であれ、わくわくするようなモノづくりにこれからも関わっていきたいなと改めて思うことができました。



台湾の学会ISMIとMaker Faire Taipeiに参加

11/29-30の国立台湾科技大学で行われた学会ISMIに参加してきました。

学会は半導体の製造管理についてのテーマですが、個々の発表はかなりバラバラ。半導体の需要予測、wafer内の歩留みたいなど真ん中のテーマは40%ぐらいで、残りは「疲労予測のシステムを作った(これは半導体製造管理に使える)」や、「プログラムの勉強が挫けないようにするためのxx」など、こじつけで半導体に近づけたものや、さらに遠いものもありました。

国際学会、英語発表ですが、参加者は台湾5,日本3,韓国2ぐらいの感じ。

休憩のお茶で、茶葉が何種類もあってそれぞれ美味しいのはさすが台湾

発表は、色々と緊張しましたが、つつがなく終了しました。

メイカーフェア台北

翌日以降、11/30-12/1でメイカーフェア台北に出展しました。ニコニコ技術部台北として、2016年から連続して共同出展をオーガナイズしています。

メイカーフェア台北はなんどか場所も運営主体も変わっているのですが、ここ2年はこの南港POPOP Taipeiという会場で開催しています。日本専用時代の瓶キャップ(王冠)工場跡をリノベーションした、公園でもイベントスペースでもある場所で、特にMakerFaireが目当てでない親子連れやペットを連れた家族なども会場に多く訪れています。

メイカーフェア東京に通じるエンジニア系、アート系、小学校から高校ぐらいまでの教育系展示も多くあるのですが、目立つのが日本ではデザフェスなどにあるようなクラフト系や、コーヒー、ピザなどの食べ物出展。それらのブースがある屋外はチケット不要なので、より賑わっていました。

チケットは200NTD(だいたい1000円ぐらい。子供は無料)で、メイカーたちは複数ある建物の屋内にブースを構えています。

規模は60ブースほどと大きくなく、2-3時間程度で見て回れるぐらいのサイズ。それでも、2日間ほぼ全時間、多くの来場者に恵まれました。

北海道で気配知覚研究会の皆さんとお話してきました

M1の森山大翔です。10/20にはこだて大学の気配知覚研究会の皆さんとお話ししてきました。

そこでは皆さんの研究の進捗やこれまで作ったものの紹介をしてもらったので紹介します。

↑は距離センサとモーターを使って正面にあるものまでの距離を指の角度で知らせてくれるデバイスです。凸凹しているものの肌触りなども感じることができます。レーザーポインターがついていて、今どこの距離をとっているのかがわかるようになっています。

↑は前のデバイスをモーターではなく電磁誘導を用いて再現しようとしたもので、距離によって指に接している場所が突起するものになっています。距離を感じにくく、改良が必要とのことでした。

↑はバケツの中に気圧センサが入っていて、机や地面、ドアが開いたときなどに上に乗っている風船が揺れることによってバケツ内の気圧が変化して音が鳴るというものです。かなり敏感に気圧の変化を取得していて驚きました。人が部屋に入ってきたことや、動いたことを視覚障碍者に伝える手段として面白いものと思いました。

写真に撮り忘れましたが、ほかにも近くにいる人の心拍を測るセンサを用いて、人形を同じように呼吸や動悸させるものなどがありました。

<今後について>

2月末ごろに展覧会をやるそうなので、そこで自分も出品できるようにします。