こんにちは。B4の井上です。
先日、2/27から3/5の一週間で中国の深センに行ってきました。
僕が深センのことを今年度の始めごろ、秋田先生や研究室の先輩から聞いて初めて知りました。
そのころは「何やら電気街がすごい!」というくらいの認識だったのですが、その後僕は中国の話をいたるところで聞くようになります。
・決済は電子マネーしか使えない?
・深センはイノベーションの街
・第二のシリコンバレー?
今回の深セン訪問は僕にとって、これらの話を実際に自分の目で確かめに行くという裏テーマを持っていました。
深センの勉強には藤岡淳一さんのこちらの本を読みました。
結論を先に書くと、深センにつくといい意味で裏切られました。
まず、僕は中国では電子決済しか使えないという話をきいたのですが、これは半分本当で半分ウソでした。
お店で現金を出せば、支払いはできます。
しかし、お見せ側にお釣りの用意がなかったり、個人間のお金のやりとりでは電子決済が便利すぎるなど、圧倒的に電子決済が便利すぎるのです。
実際、ほとんどの人が現金を使っていませんでした。
また、深センは思っていたよりも広く、聞いた話の中では電気街しかないのかと思っていたのですが、それ以外のも歓楽街や観光スポットなど、同じ街の中にたくさんの色がありました。
そして、一番感じたのはここがごちゃまぜの街であるということです。
これについては最後にまとめとして書きたいと思います。
1日目
深センの旅を時系列順に振り返ってみます。
初日は日本から香港を経由して移動電気街HQBへ移動しました。
僕は国外は久しぶりだったので、少し不安だったのですが、新幹線や地下鉄、バス、そして街の雰囲気などは日本とほぼ変わりなく、驚いたのを覚えています。
香港では英語が通じたのですが、深センではほとんど英語が通じず、困りました。
圧倒的にアルファベットが少なく、お店のメニューを見ても全く想像がつきません。
この日の夜に1人で夜ご飯を注文したのですが、写真を見ても材料がわからず、特にオプションの有無など全くコミュニケーションが取れなくて困りました。
しかし、スマホの翻訳機能などを使ってなんとかしました。
以前どこかで「インターネットがあれば僕らはどこへでも行ける」という話を聞いたのを思い出し、実感しました。
2日目
2日目はM5stackを見学しました。
「スタートアップ」というとどうしてもアメリカや日本のイメージが僕の中で先行していたので、それ以外の国のスタートアップを見るのはとても刺激になりました。
たとえ言語や国が違っても、「誰かの課題を解決したい」「役にたちたい」「一発成功したい」そういう思いは共通なのだと感じました。
実際今回はツアーの参加者の方々はM5stackを使って作ったものを持っていったのですが、そのときに見た社長さんの嬉しそうな顔がとても印象的です。
自分が作ったプロダクトを使ってもらえるスタートアップ、その幸せが伝わってきました。
午後は茂田さんに案内していただいて、電気街を回りました。
昨日1人で散策したのは電気街の一部だったことに驚愕しました。
本当にものすごい数の商店がありました。
ここで気づいたのは、子どもを連れて来てる商人が多かったのと、お昼ご飯をお店のカウンターや店内でそのまま食べている商人が多いことでした。
ここは日本と違うのだなと感じました。
茂田さんのお話で、これだけたくさんのお店がやっていけるのは不思議であることと、深センでは廃りが早いということを聞きました。
藤岡さんの本の中で「中国人は合理的だ」という内容がありましたが、こういうお店の流行りなどでもそういう合理性が出ているのだと思いました。
終わってから僕はDJIの旗艦店へ向かいました。
DJIの旗艦店はOCTハーバーという公園の中にあったのですが、ここはすごくキラキラした公園で、日本では味わえない雰囲気を楽しめました。
僕が少し前に想像していた中国とは思えない光景でした。
3日目
3日目LEDを作っているworldsemiを見学させてもらいました。
午前中に会社や製品のことを説明していただいたあと、お昼に食べ物をご馳走になるという中国式の歓迎を受けました。
個人的に面白かったのは、worldsemiの説明ももちろんですが、ツアー参加者の方の解説が面白かったです。
ツアー参加者の方々にもこの分野の専門家の方々が多数おり、その方の解説を聞くと製品のことをもっとよく知ることができました。
worldsemiのあとは、elecrewという会社へ行きました。
ここは自分で設計した基盤を作ってくれる会社です。
僕は今回初めて自分で基盤を設計しました。
そして本来はそれを日本に送ってもらうのですが、今回のツアーではそれを現地で受け取りました。
その簡単さに驚きました。
elecrewを使えば、日本にいながらでも工場がなくても基盤を作ることができます。
実際に使ってみるまではそのイメージがついていなかったのですが、実際に自分で設計して受け取ると、そのすごさを感じました。
そしてその時、M5stackやworldsemiに関しても、何か作っていけばよかったなと反省しました。
worldsemiの会場で隣になった方が「どんなに簡単なものでも作るのと作らないのではえらい違い」とおっしゃっていたのですが、このときに本当にそうだと感じました。
M5stackとLEDは「時間がない」と言い訳してしまったのですが、elecrewに関してはやってみて本当に良かったですし、次からは時間がないなりにどんな単純なものでも作るようにしようと思いました。
4日目
4日目はJENESISにてインターンをさせていただきました。
僕が本で読んだ藤岡さんの現場を体験させていただけるということで、とても楽しみでしたが、「本気で現場を知れるインターン」と覚悟していたので少し不安もありました。
実際に僕が体験させてもらったのは、「ポケトーク」という製品を箱詰めする作業です。
ここでは、僕は一緒に働いた女工たちの力を目の当たりにします。
日本で使っているだけでは知ることができない生産の現場を知れました。やってみて本当に良かったです。
僕も日本でスマホケースや電子機器をよく購入します。
しかし、それはほとんど機械で作っているのだと勝手に誤解していました。
実際は人がシール貼りや箱詰めなどを人力でやっていたのです。
どんなに優れた電子機器でも、その裏には人がいるんだなと思いました。
休憩をはさみながらですが、夜22時頃までひらすらに同じ作業を繰り返します。
1日のノルマを伝えられるわけでもないのですが、周りの女工さんたちは一生懸命に仕事をこなしていました。
「彼女たちは何者で、どうしてここまで毎日働けるのだろう?」そう疑問に思いました。
僕はこんな単純作業をしたことがなかったのでなかなか大変でした。
彼女たちはこれをほぼ毎日やっていると思うと、本当にすごいと思いました。
JENESISの現場の力、生産力に脱帽しました。
5日目
5日目午前中は深センの東にある老害へ行ってみました。
昨日までの工場や電気街とは変わって、繁華街でした。
そこには僕らが日本で目にするような外資ブランドやデパートが並んでいました。
同じ深センの街ですが、地区を移動するとこんなに多様なスポットがあるのに驚きました。
歩いている女性を見ても、昨日の女工たちとは雰囲気が違いました。
昨日は働いている姿しか見ていないのでもしかしたら休日は違うのかもしれませんが、老害を歩いている女性は身につけているものも高そうなものが多く、メイクもしっかりしていました。
そして、老害では駅でホームレスの男性からお金を乞われるという経験をし、これほどたくさんの人たちを「中国人」、そして「深セン」とパッケージ化して考えることに無理があると感じました。
午後からは高須さんの案内で深セン博物館へ行きました。
深センの歴史を見ながら、「深センの何がどうすごいのか」その疑問が解消されました。
僕は旅行で観光というと観光スポットしか行かなかったのですが、今回深セン博物館に行って、外国の歴史をその国の内側から知る楽しさを感じ、良いものだと思いました。
深セン発展の鍵はタイミングにあったのだろうと思います。
革命の影響で困窮していた地区を特区に指定し、国が力を挙げて深センにリソースを投下しているころにインターネットの普及やスマホが普及が重なり、たった数年でここまで発展したようです。
博物館のあとは書店に行きました。
以前にも秋田先生から話は聞いていたのですが、実際に行ってみると、たくさんの人が書店で立ち読み(実際は床に座り込んで読んでいました)をしていました。
高須さんの「勉強は裏切らない」という言葉が印象的でした。
僕も彼らに負けないよう、勉強しなければ、そう思いました。
夜には早稲田ビジネススクールの牧先生のゼミと合同で北京ダックをいただきました。
6日目
6日目BYDへ行きました。
BYDでは日本語でとても丁寧に案内してもらいました。
とても上手な日本語にも驚きましたが、それと同時にきっと日本の顧客がたくさんいるのだろうと感じました。
エンジンなどのことは正直専門でないので、詳しい話はわかりませんでした。
しかし、ここでは初めて電気自動車を運転させてもらいました。
その静かさに驚きました。
それからash cloudへ行きました。
ash cloudはスマホケースなどを製造している大規模な工場でした。
鋳型の製造から箱詰め、配送までを一括で管理していたのですが、驚いたのはその管理のシステムです。
QRコードを使うことで生産状況や次に製造するべき製品、進捗などを自動で管理していました。
「スマートファクトリー」ともいうべきそのシステムはとても合理的でしたが、個人的な所見としては、コンピュータシステムによって「人」という労働力が分散されている様子は少し怖くもありました。
そしてその後にJENESISのオープンデーに参加させていただきました。
藤岡さんとお会いすることができたので、先日感じた女工さんに関する疑問を質問してみると、
「彼女たちは出稼ぎに来ている女性たちで、親御さんたちに仕送りをしたり、JENESISは福利厚生や対応を良くしているので頑張ってくれている」
という回答をしていただきました。
この労働形態は日本にいては目にすることのない形だったので、とても納得するとともに勉強になりました。
最終日
最終日は再び電気街に行き買い物をしました。
そして日本に帰ってきました。
ごちゃまぜの街、深セン
このような日程の中で僕がずっと感じていたのはやはり「ごちゃまぜ感」でした。
最初に感じたのは初日に入った食堂での盛り付けでした。
そのお店ではレーンに沿って、欲しいものを注文する形でした。
日本では、食べ物の種類ごとに盛り付けをします。
でも、このお店ではそうではなく、山のように盛り付けられました。
このことを考えていると、思えば深センではいろいろなところにごちゃまぜがあります。
観光スポット、繁華街、電気街、工場、あらゆるものが深センの中にはありました。
その街ごとに、日本よりもすごいような光景もあれば、日本でいう昭和のような雰囲気がある光景もありました。
街を見ると、車、徒歩、自転車に加えてバイクやセグウェイのような乗り物など色々な乗り物が混在しています。
それだけでなく、自転車はIoT技術で相乗り化されており、タクシーはスマホで呼びます。
屋台やストリート・パフォーマンスといった昔ながらの光景ですが、その決済歩法は電子マネー。
工場のなかでも、女工さんという日本ではもうあまり見ない職業の人がいるかと思えば、彼女たちは土日はスマホでYoutubeを見ます。
また、同じ工場でも、実は生産の管理はシステムで行われていたりすることもありました。
このように、一見昔のように見えるものと新しい技術がしっかり結びついてるのはとても興味深いと思いました。
そのごちゃまぜは深センの発展のなかで生まれた必須なものであり、イノベーションの土壌を作っているではないかと個人的には予想しています。
この街の今後がとても気になりました。
そして、この街がとても好きになりました。
最後に
最後に、今回のツアーでは本当に多くの学び・体験をすることができました。
様々な手続きをしていただいた秋田先生を始め、ツアーを企画していただいた茂田さん、高須さん、インターンを受け入れていただいた藤岡さん、中国の企業の方々、そしてツアー参加者の方々に心から御礼を述べたいと思います。
本当にありがとうございました。