新歓タコパ2022年秋

コロナ禍も共存する方法を模索している日々ですが、以前のような生活が戻ってくる場面も増えてきました。留学生の受け入れは、その一つの大きな変化です。2年半ほど、日本に来たいのに来られない留学生が何人もいて、申し訳ない気持ちでいっぱいなのと、ゼミなどの研究室活動をオンライン併用で行うことを余儀なくされていました。

それがこの10月からは、来る予定だった留学生が全員日本に来られて、新たに3人の留学生を迎えることができました。(10月入学のM1、研究生、短期留学生)

というわけで、換気や会話時のマスクなどの感染対策に留意しつつ、久しぶりにタコパをやりました。日本の文化(?)の1つの面を知ってもらういい機会でもあるので、たこ焼きをつくるのも、やってもらいました。

急な開催だったので、都合があわずに参加できなかった人もいるのですが、日本人5人、インドネシア人2人、中国人3人、フィンランド人3人で、日本語がそれほどできない人もいるので、英語や中国語も混ざった、にぎやかな交流になりました。

お互いをよく知れたことで、研究活動もがんばっていきたいですね。(秋田)

JAIST佐藤研のみなさんが遊びに来られました

去年ウチを卒業した粟津さんがJAISTに進学した縁で、先日JAIST佐藤俊樹先生の研究室へ数人で遊びに行っていて、今度は佐藤先生と学生さんが遊びに来てくれました。佐藤先生はプロジェクションやインタラクションで活発な活動をされているので、「インタフェースのデバイス」を標榜しているウチの研究を是非見ていただいてコメントをいただければと思ったのでした。

M2伊部君の「メンコ」をデモ
実際に遊んでもらいました。

B4岡村さんの「ライブ盛り上げシステム」のデモ

短い時間ではありましたが、卒論・修論の追い込み段階でだいぶ仕上がってきたシステムや研究について説明するいい機会となったようでした。

今後もぜひ定期的に交流を続けたいと思います。(秋田)

MFT2020に参加しました

B4の粟津です。

10/3(土)〜10/4(日)に東京ビックサイトで開催されたMaker Faire Tokyo2020に参加しました。

(左)東京ビッグサイト/(右)MFT2020看板

今回、秋田先生の出展のお手伝いとして、研究室からM1の大河さんと私が参加しました。

「自作RISC-VチップLチカとその設計ツール」@MakeLSI:
makezine.jp/event/makers-mft2020/m0189/

しかし、私はLSIについて詳しく説明できないので、主に他の出展を見に行き、勉強してきました。

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特に印象的だった展示は以下の3つです。

1.「En attendant Godot」@Combustion in cage
makezine.jp/event/makers-mft2020/m0010/
・扉を任意の鍵を使って開けると、その鍵に応じた光や音がこぼれ出ていた。
・鍵は先端部分がそれぞれ異なっていた。
・チラ見せすることで、光の色や音から扉の向こうを想像することができた。

2.「Boundary Cubic」@Boundary Cubic
makezine.jp/event/makers-mft2020/m0120/
【Egg lamp】
・卵型の外枠を自由に割って、外形や光の差し込み具合を調節できる。
【Boundary Cubic】
・本物のチョコで3Dプリントしていた。

3.「ピアノ演奏可視化装置”Bright Note”」@West Gate Laboratory
makezine.jp/event/makers-mft2020/m0090/
・鳴らした音の場所から下から上へと、光のラインが上っていった。
・四隅や、上下部分の配線が隠されていた。
・半透明な板を挟むことでぼやけた光となり、見やすかった。
・トリルや連打、音階が上がったり下がったりするときの光の流れがとても綺麗だった。
・リアル音ゲーのようだった。

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次に、2日間にお会いできた人について紹介します。

  1. 佐藤さん
    佐藤さんは、秋田先生の出展のお手伝いとして参加していた方です。私が『メディアアート』に興味があると言うと、佐藤さんはいろいろな出展に連れて行ってくれました。わからないところがあると、わかりやすく説明してくれました。2日間お世話になりました!ありがとうございました!

2.高須さん
高須さんは、昨年、IVRCを勧めてくれた方です。電子工作を始めるきっかけとなった一言だったので、そのときのお礼をお伝えできました。ありがとうございました!

3.白井さん
白井さんは、いつもオンラインで相談に乗っていただいている方です。 初めてオフラインでお会いすることができました。ありがとうございました!

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前乗りも合わせて3日間、とても有意義な時間でした。このような機会を与えてくれた秋田先生、LSIについてたくさん教えてくれた大河さん、 本当にお世話になりました!ありがとうございました!お疲れ様でした。

(左から)大河さん/佐藤さん/粟津/秋田先生

IVS 2020 Fall Bangkok参加レポート

こんにちは。M1の井上です。 少し前の話ですが、研究活動の合間にInfinity Ventures Summit(以下IVS)というイベントにスタッフとして参加してきました。 その報告を書きたいと思います。

参加した経緯、目的

まずIVSについて説明します。 IVSとは、

Infinity Ventures Summit(インフィニティ・ベンチャーズ・サミット、以下IVS)は主にインターネット業界のトップレベルの経営者・経営幹部が一堂に集まり、業界の展望や経営について語る、年2回の招待制オフサイト・カンファレンスです。」(公式サイトより)

www.ivs.events/homejp

です。

カンファレンスは2日間開催され、その間でインターネット業界の経営者たちが、トレンドについて講演やディスカッションをしたり、またはその場で新しい投資を求めてピッチが行われます。

このイベントは完全招待制のため、誰でも参加できるわけではありません。
しかし、スタッフとして参加を申し込み、面接を通過すればカンファレンスの運営などを手伝う代わりにこのイベントに参加できます。

IVSは年に2回、春と秋に開催されるのですが、実は2017,2018年の冬は金沢で開催されていました。

僕は2017年の秋のときに初めてスタッフとして参加したことがあったため、今回のバンコク開催では面接なしでスタッフとして参加することができました。 IVSはこれまで国内で開催されていたのですが、昨年の2018年の春に台北に海外にも進出し、今回のタイは2度目の海外開催でした。

主にIVSから用意されるイベントのコンテンツは3つあります。
1.テーマごとによるセッション
2.IVS launchpadというビジネスピッチコンテスト
3.ネットワーキング
です。

今回僕がIVSに参加した主な目的は2つあります。 1つは、変化の早いインターネットやスタートアップといった業界の最先端の動向をキャッチアップすること。 もう1つは、今回は海外での開催であるということで、海外でのスタートアップの様子を見ることです。

スタッフとしての動き

今回僕はスタッフとして参加しました。
IVSでは開催前日を0日目として、0日目の夜にweclome partyと呼ばれる前夜祭のようなものが開催されます。
スタッフはその準備も兼ねて、0日目の昼に集合でした。

welcome partyの会場

2年前に金沢で開催された際には、スタッフでもガッツリ運営に関わり、参加されるゲストのガイドや誘導をしながら、パーティなどにも参加し、ネットワーキングをしました。
今回は会場がバンコクということもあり、現地のスタッフが主な進行の手伝いをしていたため、日本からのボランティアは10人と少数精鋭だったのに加え、仕事の内容も適宜日本人への対応といった内容でした。
1,2日目も当番制で受付の手伝いなどをしながら適宜日本人のゲストの応対などを行いましたが、合間を見てセッションの聴講やネットワーキングを行い、僕の目的を十分に果たすことができました。

セッションの様子
セッション会場の外のホワイエでは常に交流が行われていました。

セッションの内容

今回IVSでスケジュールされたセッションは以下の通りです。 僕がこのうち聴講できたセッションの要約を以下にまとめます。

・中国では、知財戦略をしっかりととっており、ドローンやAIのモデルといった特許や知財で儲けるスタートアップも多いが、日本ではそういった知財領域でのマネタイズはあまりみられない。
・5Gにより、クラウドへのアクセスが高速化するため、クラウドの流れはどんどんと加速し、ネットワークのアクセス先ですべて処理する、社会全体の知性となるシステムが加速するだろう。
・タイでは大企業の意思決定が早く、その決定に対して現場が従順に従うという文化がある
・タイにおいて、スタートアップするにあたって、事業は成長させやすいが成長過程は描きにくい、あるいはエグジット先少ないという問題がある。
・まだまだタイにおいてはVCや資本提携を増やす必要がある
・タイでも大企業の技術開発は専門性を高めており、ものづくりは得意な文化がある
・タイに限らず、大企業のニーズとして、は時間を買いたい、スタートアップで時短したいという意図や、技術や製品はあるけど、それをどう使えばいいのかわからないとというものがある。
・インターネット黎明期のような雰囲気があるのが、大麻や宇宙といった新しい産業の登場がみられる。

ピッチコンテストであるIVS LaunchPadの様子

感想

今回のIVSは大変実りがあるものとなりました。
その一番の要因は、日本からのスタッフが10人と少ないことにあると思います。 スタッフ間の交流もよく行えましたし、参加者との交流も十二分に行えました。
ビジネスにおいて市場で優位な場所を確保することを「ポジショニング」といいます。 今回僕が行ったこともそれに近いと思います。

タイで3日間の平日に来れる社会人の方は多くありません。
しかも、意識の高い学生であってもタイまで行く人は少ないと考えました。
この予想はあたっており、しかも「学生特権」をだいぶ活用することができました。
集まった社長さんは「学生」というだけでいろいろな話を聞かせてくれたり、「起業に興味がある」という気持ちだけで、みなさんよくしてくれ、国内外問わずいろいろな人からインプットを得ることができました。

そんな人やセッションとの中で僕が感じた2つのトレンドがあります。
1つは、地理的なトレンドです。スタートアップの中心地はシリコンバレーから始まり、中国の上海や深センなどに動きました。 それが今度はインドに注目が集まっています。 そして、起業家の中にはその先に控えるアフリカを見据え、移住を始めている人もいるという話を聞きました。 アフリカなどはまだ基本的なインフラがないなかでインターネットやスマートフォンといったデバイスの普及が進んでおり、ATMを導入するよりもデジタル決済を普及させた方が合理的だという状況だそうです。
2つめは、業界のトレンドです。 これまでにあった単純な情報メディアやマッチングといったスタートアップは今回、耳にしませんでした。 例えば物流といったリアルなものが絡んだり、セキュリティに特化したり、フィンテックやIoTといったインターネット×〇〇のようなものが多くありました。 さらに、インターネットの次に来るものの議論があったりと、WEBサービスが高度化・複雑化していると感じました。 学生起業などで出たアイデアが大きく育てていくのは少し難しいような雰囲気を感じています。

最後に、英語の重要性についてです。 僕は英語は苦手な方ではありませんが、それでも今回のカンファレンスではビジネスの話が出たりして、少し大変でした。 セッションの内容は理解できても、ネットワーキングの時間に海外の方と話すときに、自分の興味や思っていることを流暢に伝えられずもどかしい思いをしました。
逆に言えば、日本人として英語ができないという同じハンデを背負っているからこそ、そこを乗り越えていけば海外というブルーオーシャンにて上手な「ポジショニング」ができるのではないかと思います。 これから英語を一層磨いていこうと思います。
海外に出る日本人が少なく、まだ気軽に出れる今だからこそ、僕は海外に出よう、そう思ったカンファレンスでした。

終わりに

改めて、今回はとてもいい刺激とインプットを得ることができました。 援助をいただいた金大起業部(仮)には大変感謝しています。
もし今後もこのように行きたいカンファレンスなどへの交通費の援助があると、学生としてはとても助かると思います。
今回はありがとうございました。

はこだて未来大学にてミーティングをしてきました

M1の井上です。
2019/11/28-29にて、公立はこだて未来大学にお邪魔し、ミーティングを行いました。

はこだて未来大学のキャンパスは大きなドームのような大きな建物が一棟あり、その中に講義室や研究室などがありました。

「なるべく壁がないようにしている」ということで、研究室といっても部屋ではなくて仕切りで区切られたスペースであったり、教員室の壁もガラス張りであったりと、金沢大学や他の大学とは違った構造に驚きました。

今回、はこだて未来大学の岡本誠先生を訪問し、
・岡本研究室のゼミへの参加
・自身の研究の進捗発表とディスカッション
を行いました。

僕は専攻が情報系ということもあり、これまで学会やゼミでは工学系の発表を聞くことが多かったです。
今回の岡本先生の研究室はデザインの研究室ということもあり、普段あまり目にしない分野の研究発表を聞かせてもらいました。

例えばまちづくり関連の研究や、色彩に関する研究などがあり興味深かったです。

もちろん工学系、技術を用いた研究をしていた学生さんもいました。
はこだて未来大学ではデザインの研究室に所属していても、工学系の先生方から指導してもらうことができるようで、いろいろな視点から自分の研究を詰めてもらえるようです。
金沢大学では基本的に指導教員の先生と一緒に研究をすすめるので、このような体制も新鮮でした。

僕も興味の幅が広いほうなので、いろいろな先生方とのディスカッションができる環境はすごく嬉しいと思いました。

その後自分の研究を発表して、学生さんから意見をいただいたり、先生からコメントをいただきました。
ありがとうございました。

余談ですが、冬の北海道は初めてでした。
寒さは覚悟していたものの、毎回屋外に出るたびに感じる寒さはやはりいつもよりもだいぶ強かったです。

それでも五稜郭が美しく、函館山や海などの自然に囲まれ、美味しいラッキーピエロなどがある函館の街や環境はとても魅力的に感じました。

EC2019に参加しました

B3の粟津です。

EC2019に参加させていただきました。初めての学会でとても緊張しましたが、準備から発表まで楽しんで取り組むことができ、とても有意義な時間を過ごすことができました。 B3で学会に行けると思っていなかったのでとても貴重な経験ができ、とても嬉しく思っております 。今回、一緒に作品を作り上げてくださった秋田先生、白井さん、井上さん、相田さんには感謝してもしきれません。本当にありがとうございました。

私たちは、”AugmenteDoor :扉を開ける動作のメタファに基づく映像提示システム ”と題しまして、ドアノブ型デバイスとARシステムを用いて、扉を引いて、扉の向こう側の世界を覗くというワクワク体験を実装しました。 デバイスを秋田先生、unity、通信面を井上さん、動画を相田さんと私という分担で作品を作っていきました。unityにはとても苦戦し、白井さんというunityのプロに何度も助言をいただきました。

はじまりは、別の”IVRC”というコンテストからでした。2,3月に参加させていただいた深圳ツアーで高須さんに”IVRC”というコンテストを紹介していただきました。興味があったので、同じく深圳ツアーに参加していたB3の相田さん、M1の井上さんに声をかけ、出場することを決めました。また、秋田先生がお手伝いしてくださるということで、とても心強かったです。IVRC2019に応募したのですが、残念ながら書類審査不合格となってしまい、来年のIVRC2020に向けて頑張っていくつもりでした。しかし、秋田先生が「学会に出してみたら。」とおっしゃってくださり、EC2019に出展することに決めました。

IVRCへの準備期間も含めて、5,6,7,8,9月の5か月間活動しました。毎日かなり濃厚な時間でしたが、終わってしまうとあっという間だったなと感じます。unityがなかなかうまくいかず、苦しんだこともありましたが、出発前日に無事デバイス・システムともに無事に完成して本当によかったです。

学会では、口頭、デモともに発表させていただきました。口頭発表での質疑応答では、質問にうまく回答できず、悔しい思いをしました。これは、経験が力になるときいたので、これを糧に次はしっかり回答したいです。あとから聞いた話ですが、ちょうど自分が発表するときがほかの発表時間より人がいたらしく、たくさんの専門家たちに発表することができ、なおかつ、意見や質問をいただけてとても素晴らしい経験ができました。

口頭発表

デモ発表では、台風の影響で中止になりかけたり、デバイスが壊れたり、ARグラスのレンズが取れたり、unityのbuildがうまくいっていなかったり、QRを印刷した紙が反射してQRが読み込まれないなど、ハプニングがいっぱいでしたが、なんとか扉を引く体験をしていただけて本当に良かったです。また、たくさんのアドバイス、ご意見、感想をいただくことができました。これらを踏まえて、これからさらに体験の質をあげたいと思っています。

デモ発表

発表以外にも、懇親会やワークショップを通して、たくさん勉強させていただきました。これを糧に、次回のIVRC、ECともにまた参加したいと思います。

余談ですが、懇親会でぷよぷよeスポーツのプレイヤーに選ばれて、久しぶりにぷよぷよをしました。結果的には2勝1敗で負けてしまいましたが、おもしろい実況とともにぷよぷよができて楽しかったです。

ぷよぷよeスポーツ


2019.9.20~9.22 [EC2019]

相田美遥です。
EC2019参加してきました!

3日間(20.21.22日)開催されて、私たちの発表は2日目でした。
1日目は、他の発表者の講演を聞きました。普段聴く機会がないので、とても興味深かったです。ゲスト講演のMontBlanc Picturessss様の話が特に面白かったです。企業のもの作りの流れを知ることができてよかったです。MontBlanc Picturessss様が体験のフローチャートを何を作品を作るの前に書いていたので、今度やってみたいと思いました。

2日目は、論文発表をしました。発表者は私ではないのですが、自分のことのように緊張してしまいました。無事に発表できてよかったです。

2日目は講演終了後に立食会があって参加してきました。普通に講演を聞いているときは誰とも関わることができなかったのですが、立食会で他大学の学生さんや大人の方々と話すことができて、よかったです。とても楽しかったです。

3日目は、私たちのデモ発表でした。
論文発表を聞いて来てくれた人がたくさんいました。色々な人にたくさん助言をもらったので、今後に生かしたいと思いました。

今回、台風が3日目に直撃して開催が危ぶまれましたが、無事デモ発表もできたのでよかったです。
自分の作ったものを色んな人に体験してもらう事は今までなく、(むしろ辛口コメント来たら怖いなとか思ってたんですが、それよりも)アドバイスをもらってより良いものが作れる可能性が生まれることに感動しました。
今度反省会をして、AugmenteDoorをより良いものにしていきたいと思ってます。また頑張っていきます!

EC2019へ行ってきました

M2の中川です。

EC2019という学会で九州大学大橋キャンパスの方まで行って発表してきました。台風が来ていて最終日の開催が危うかったのですが、何とか発表できてよかったです。

自分のテーマに関して口頭発表ではかなり質問が来ましたが、どの質問もこの分野の専門家ということもあってレベルが高く、自分の研究の弱みを認識できました。B4の時の学会発表では質問が来ると「げっ」という印象を持ちがちだったのですが、今回は色んな意見があり、興味を持ってもらえているということは、自分の研究にも可能性はあるんだと感じ、詰めの甘さを感じるとともに嬉しかったです。自分の価値観もこの数年間で変わったんだなと思いました。

デモ発表は初めてだったのですが、無事に終えることができてよかったです。質問や意見もたくさん頂いたので、これからの方針は迷っていますが、吟味して進めていきたいと思います。

他の発表では、1日目の中京大学の濱川先生の研究室の発表2つが個人的にとても面白く、懇親会で話そうと思って、そこの学生の方に声をかけいろいろ話をしました。案出しの時点でボツになるものも多いらしく、研究室のやり方にも色々あるんだなと思いました。(もちろん、どれが良い悪いという話ではなく)

今回の学会は発表全般の分野的にも、自分が得たフィードバックもすごく参考になり、全体的にとても面白かったです。来てよかったです。

鍋パ

こんにちは、M1の中川です。

鍋パをゼミ合宿以来、久々にしました。

自分はもつ鍋が食べたかったので思い切って今回はもつ鍋にしました。

九州ではシメに餃子の皮を入れるというのが一般的だと聞いて今回からそれも入れてみました。皮で具材を巻いて食べると水餃子みたいで美味しかったです。大好評でした。

餃子の皮を入れた図

いつものシメ、ラーメンも美味しかったです。小学校の給食を思い出しました。

隣の研究室の森田くんも来てくれました。

鍋を囲む一同

楽しんでもらえたので企画した自分としても良かったと思います。またやりましょう。

USB-シリアル変換ICを題材に半導体チップのニセモノについて考えてみた

マイコンなどをPCにUSB経由でつなぐときに、USB-シリアル変換という機能のICチップがよく使われます。USB-シリアル変換のICには、よく使われる製品がいくつかあるのですが、その中に、比較的安価なものとして、Prolificという台湾の会社の製品でPL2303というものがあります。

PL2303 (HX Revision A)の純正品

この製品について、メーカーから「ニセモノに注意」という案内が出ています。どうもメーカーでもニセモノ対策を打っていて、ニセモノでは動作しないようにしているドライバを配布していて、チェックツールも配布している、ということのようです。その話を聞いて、ニセモノはホンモノとどう違うんだろう、どうしてニセモノを作ろうとするんだろう、ということに興味を持ち、いろいろと調べることにしました。

まずニセモノの入手からですが、知人から「純正ドライバで動かないニセモノがある」という情報をいただきまして、その方からそのニセモノを譲ってもらいました。

明らかに怪しいマーキングのPL2303のニセモノ

たしかにホンモノとは明らかに違う、なんだかとっても安っぽいマーキングで、確かにPCにつなぐと動作しない(デバイスマネージャで「?」のままでCOMポートとして認識されない)ようです。ホンモノのPL2303には、AからDまでの4種類のリビジョン(更新版)があって、外付け部品の有無など少しずつ機能が違うのですが、この怪しいニセモノが載っていたボードの外付け部品から判断するに、どうもRevision C (PL2303HXC)かRevision D (PL2303HXD)に似せた部品のようです。

そこで、Rev.CとRev.Dのホンモノを入手して、チップを比べてみることにしました。ICの中にある半導体チップは、ふだんなかなか見る機会はないのですが、少々荒っぽい方法ではありますが、どこのご家庭にもある道具を使って、チップを取り出すことができます。この方法で、ニセモノとホンモノ(Rev.C)のチップを取り出して比べてみます。

取り出した、ホンモノRev.C(左)と、ニセモノ(右)のチップ

ぱっと見でわかるほど、明らかに違うチップです。もう少し内部を詳しく見ていきます。

純正のPL2303 (Rev.C)。チップサイズは1.6×2.2mm

純正Rev.Cのほうは、左上に渦巻きがあって、インダクタのようです。

Rev.Cのインダクタの脇の拡大図

インダクタの脇を拡大すると、”MOBIUS MICRO”の文字があります。いろいろなガジェットを(ガチで)分解している鈴木さんから、IDTという半導体メーカに2010年に買収された発振器の会社の名前ではないか、という情報をいただきました。たしかにPL2303 Rev.Cは基準クロックの発振回路が内蔵されていて、水晶振動子を外付け不要なので、まさにその回路っぽいです。

ニセモノ。チップサイズは2.0×2.3mmと、Rev.Cよりやや大きい

ニセモノのほうは、インダクタはみあたりません。

ニセモノのチップ上のアナログ回路っぽいところ。クロック発振回路か?

ニセモノのほうを見渡してみると、いくつかアナログ回路っぽいところがあります。電源回路(LDO)もあるのですが、これがクロック発振回路でしょうか。MEMS発振回路か、RC発振回路か、と思われるのですが、断定までは至りませんでした。


ニセモノの論理回路と思われる領域(中央付近の階段状の領域)

さて、この2つのチップを見ていて、気づいたことがあります。USB-シリアル変換の機能のコアはディジタル回路なので、論理回路のかたまりです。両者ともに、論理回路部と思われる領域はあるのですが、いずれも、HDL記述から論理合成、配置配線を経て設計されたもの、と思われます。しかも明らかにレイアウトが異なるので、このニセモノは、純正品をリバースエンジニアリングして創られたコピー品ではなさそうです。ということは、もとになるHDLソースがあるはずで、ニセモノの方は、それをどうやって得たのだろう?という疑問がわきます。まさかOpenCoresなどでオープンソースで流通しているとはない思えませんし、ゼロから設計するにしても、検証まで含めればかなりの工数がかかります。もともとそれほど高価なチップではないので、チップあたりの利益はそれほど大きいとは思えないのですが、それでもこうしてニセモノを設計、製造して販売しているということは、商売的にも勝算があってのことでしょうから、そのあたりの見積もりは興味がわきます。もしかしたら、HDLソースが、GonKaiの設計図のように流通してる世界線があるのでしょうか。

ついでに、いつもの方法で、両者の設計ルールを調べてみました。


両者の設計ルールを計測してみた

意外にも、純正Rev.Cが1um、ニセモノが0.8umと、ニセモノの方が少し細かい製造プロセスのようです。ただ顕微鏡で見ているのは最上位層のメタル配線なので、そこは下層よりも少し配線の幅が広いルールも多いので、両者ともに0.8um、ということかもしれません。チップサイズは純正Rev.Cの方が小さいです。

ロジック部と思われるところの面積を求めてみたところ、ニセモノがチップ全体の30.4%で1.39mm2、Rev.Cが18.3%で0.64mm2と、ニセモノは純正Rev.Cの2倍近くあります。機能は(ほぼ)同じはずなので、HDLの質がいいのか、論理合成・配置配線ツールが優秀なのかはわかりません。

純正 Rev.Dのチップ写真

ちなみに最新の純正PL2303HXD(Rev.D)のチップも見てみましたが、純正Rev.Cとそっくりで、ぱっと見でわかる違いは見つけられませんでした。

さて、これでニセモノの解析も一段落・・・と思っていたら、別の怪しいPL2303(自称)を見つけました。


AliExpressで売っている、アヤシイPL2303(自称)ボード

商品紹介写真に写っているPL2303と思われるICに、マーキングがありません。しかも価格が、とんでもなく安価(約45円)です。ちなみにボードには水晶振動子が載っていますので、Prolific社の製品情報によれば、マーキングのないPL2303(自称)は、Rev.AかRev.Bと思われます。(Rev.CとRev.Dは内蔵発振回路が入っているので水晶振動子は不要)

これはアヤシイ・・・と、早速購入し、基板からICを取り外して、チップをみてみます。


Prolificのチェックツールの結果。まさかの「純正Rev.A」の判定

その前に、このボードをPCに接続して純正チェックツールで調べてみると、まさかの「純正Rev.A」の判定でした。もしかして純正品で、型落ちなので投げ売りされているだけなのでしょうか。


マーキングなしRev.A(自称)のチップ写真。チップサイズは1.85✕2.6mm

マーキングなしRev.A(自称)のチップは、Rev.Cにあったインダクタはみあたりませんが、これは内蔵発振回路がないので順当です。

続いて、これの設計ルールを計測してみると、純正Rev.Cや先のニセモノと同じ0.8umのようです。


純正Rev.A (PL2303HXA)

比較として、純正Rev.Aを入手してみました。すでに製造中止なのですが、aitendoを始め、いくつかで在庫がありました。


純正Rev.Aのチップ写真。チップサイズは1.5✕2.5mm

明らかに、先ほどのマーキングなしRev.A(自称)とは違うレイアウトです。


純正Rev.Aの設計ルール計測

同様に設計ルールを計測してみると、約0.7umとなりました。この数値はあまり聞かないテクノロジノードなのと、後継のRev.Cが0 8umなので、それより細い0.6umとは考えにくいことから、0.8umが正しい値ではないかと思われます。

このように、新種のニセモノ(Rev.A)が見つかりました。これも、先のニセモノと同じく、設計にはそれなりの工数がかかるはずなのですが、それでもビジネスとして成り立つようで、そのあたりの詳細な分析を、ぜひしてみたいところです。


AliExpressで売っている、激安PL2303(マーキングなし)ボードの一部

ちなみにAliExpressには、同じようなマーキングなしPL2303(自称)が載った激安USB-シリアル変換ボードがたくさん売っています。ほとんどが水晶振動子が載っているので、Rev.A(自称)と思われますが、これらが、すべて同じニセモノRev.A(自称)なのか、それともさらに新種のニセモノなのか、気になってしょうがありません。そこで商品紹介写真でマーキングなしPL2303が載っているのでボードを片っ端から15種類ほど購入してみました。これらの解析結果は、後日ご報告したいと思います。

(秋田)