EC2019へ行ってきました

M2の中川です。

EC2019という学会で九州大学大橋キャンパスの方まで行って発表してきました。台風が来ていて最終日の開催が危うかったのですが、何とか発表できてよかったです。

自分のテーマに関して口頭発表ではかなり質問が来ましたが、どの質問もこの分野の専門家ということもあってレベルが高く、自分の研究の弱みを認識できました。B4の時の学会発表では質問が来ると「げっ」という印象を持ちがちだったのですが、今回は色んな意見があり、興味を持ってもらえているということは、自分の研究にも可能性はあるんだと感じ、詰めの甘さを感じるとともに嬉しかったです。自分の価値観もこの数年間で変わったんだなと思いました。

デモ発表は初めてだったのですが、無事に終えることができてよかったです。質問や意見もたくさん頂いたので、これからの方針は迷っていますが、吟味して進めていきたいと思います。

他の発表では、1日目の中京大学の濱川先生の研究室の発表2つが個人的にとても面白く、懇親会で話そうと思って、そこの学生の方に声をかけいろいろ話をしました。案出しの時点でボツになるものも多いらしく、研究室のやり方にも色々あるんだなと思いました。(もちろん、どれが良い悪いという話ではなく)

今回の学会は発表全般の分野的にも、自分が得たフィードバックもすごく参考になり、全体的にとても面白かったです。来てよかったです。

深圳のEMS企業JENESISでインターンさせていただいてきました

先日深圳を訪れた際、お願いをして、EMS(組み立て受託)会社のJENESIS社で、1日だけですがインターンをさせていただきました。

JENESIS社は、比較的小ロットの電子機器の設計から量産(組み立て)までを日本クオリティで行う会社で、日本人の藤岡淳一さんが経営されています。最近は話題の翻訳端末「ポケトーク」の量産もされています。藤岡さんご自身とJENESIS社の話は「「ハードウェアのシリコンバレー深セン」に学ぶ−これからの製造のトレンドとエコシステム」(インプレスR&D)に詳しいのでぜひご参照ください。

お世話になったのは、タクシー向けの決済タブレット端末の組み立てラインです。中身はAndroidタブレットに、各種電子マネーやクレジットカードの決済や携帯回線を通した広告などの表示機能をもつ端末です。

今回お世話になった組み立てラインで組み立てているタブレット端末

基本的には組み立ては流れ作業で行われ、組み立ての工程は細かく分割されて個人に割り当てられ、部分的に半自動化されている工程もあります。私が担当したのは、端末の裏のクリップ部分の組み立てでした。当然ながら工場の方は全員中国人で、英語ができる方はほとんどいないのですが、最初にリーダー(?)の方から作業の指示を受ける際には、実物で手順を説明してもらえるので、だいたい理解できます。個人的に少しだけ中国語の勉強(といってもNHKラジオ中国語程度)をしているのですが、ピンの「長いほう」と説明を受けるときに「长个 (zhang ge)」と言われたのが聞き取れた(たぶん)のはちょっとうれしかったです。

まずはクリップ本体に、向きに注意しながらバネをはめる。

最初の1時間くらいで、クリップにバネをはめていきます。

クリップをとめるピンを刺して、折り曲げて固定する。

続いてこのクリップをタブレット本体に固定するピンを曲げる作業をしていきます。説明を受けて理解はしつつも、最初はなかなかスムーズにできないのですが、数個分終わるまでにはコツをつかんで、スムーズにできるようになりました。こういう作業ごとのコツは、個人の裁量の範囲でできますし、マニュアル化しにくいと思われるので、作業がスムーズに進むように個人で工夫することは大事ですし、それができることも大事だと思いました。今回は他の人の作業の様子をじっくり見るほどの余裕はなかったのですが、このようなマニュアルに載っていない工夫は、みなさんがされているんだと思います。またJENESIS社の量産の性格上、組み立てる製品を切り替えることが多いので、製品ごとに組み立て工程を一人分に分けて、その中で個人の工夫で効率をあげていく方法はよい方法だと思いました。また前の工程から部材を渡される時間に多少ばらつきがあって、ときどき、部材がなくて作業したくてもできない待ち時間が出てしまうことはやむを得ないのだと思います。それでも今回の作業では、待ち時間はかなり少なかった気がします。ちなみに前の工程で少し部材がたまっているときに、前の方の作業を少し手伝おうとしたことがあったのですが、「それは私の作業」と断られました。自分の作業、という誇りに加えて、下手に他人がやると、責任の所在があいまいになるということもあるのかもしれません。

ときどきリーダー(?)の方が後ろで見ていて、問題がないかチェックしていて、不十分なところがあれば指摘されます。

作業は、2時間半ぐらいごとに休憩や昼食休み(1時間)と夕食休みをはさんで、ずっとこの作業を続けます。前の工程の人も、休憩時間が近づいてくると疲れてくるのか、部品をはめない状態で部材を渡されたりしますが、休憩が終わってからは、自分でも気分一新で効率が上がる気がします。やはり気合だけで乗り切らずに、適度な休憩は大事ですね。

全体を通して、みなさんとても集中して作業をされていて、労働に関する意識の高さを強く感じました。お世話になった日は、目標数が高かったのか、22時までの操業だったのですが、夕食後も作業のペースは落ちることはありませんでした。

ちなみに休憩の時間になると音楽が流れるのですが、みなさん切り替えがとても早く、一斉に外へ出て行って、お茶を飲んだりトイレに行ったりスマホを見たりしていました。また風習なのか昼食は素早く終えて仮眠をいる方も多くいました。休憩をうまくとることは、作業の効率にとても大事ですね。

あともう1つ気づいたのは、不良品に対する対処でした。組み立て後に電源を入れて起動し、初期設定をする、という工程を担当するときがあったのですが、ときどき(1%くらい?)、起動しない端末があります。そのときは、その端末をファームウエア書き込み工程にまわして、再度ファームウエアを書き込んでから動作チェックをします。今回は1台だけ、それでも治らない端末があったのですが、いろいろな人が出てきて、直流電源をつないだりテスターで計測したりしながら、その端末はリペア(修復)工程にまわっていったようでした。単に不良品としてはじいて捨ててしまうのではなく、なんとしてでも有効活用する姿勢が、当たり前といえば当たり前なのかもしれませんが、とても勉強になりました。

今回のインターンで量産の現場を、少しでしたが体験させていただいて、現場の皆さんが高いクオリティで製品を組み立てている、つまり形のあるものへと仕上げていく過程を間近でみることができました。デジタルデータだけの世界ではない、形のあるハードウェアに特有の現象を意識しつつ、またそれを安心して任せつつ、ともにハードウェアという形にしていく過程に、今後も向き合っていきたいと思います。

(写真提供:菊地仁さん)

細かい作業は老眼にはなかなかしんどかったです・・・(笑)

(秋田)

再び深圳に行ってきた

M1の中川です。昨年も行きましたが深圳にまたまた行ってきました。

あの美味しい炒飯再び
昨年時計を買ったお店。東京土産を持っていきました。
覚えていてくれて良かったです。

さて、今回はMakerFaireのためではなく、企業見学のために行ってきました。

訪問させていただいたところでとても印象に残った所を2つ紹介します。

前回は、代表的な深圳に関する本である高須さんの本と藤岡さんの本を読んでから行きましたが、今回は新しくハードウェアハッカーを読んできました。

JENESIS

工場で 1日のインターンシップを体験させていただきました。

ポケトークを組み立てている工場で、自分はタブレットのファームウェアを更新したり、タブレットの組み立てや起動の確認、金具の取り付けなどをしていました。

作業服を着た自分

ハードウェアハッカーではchumbyの基板組み立て工場の食事が出てきました。

その食事がとてもおいしそうで豪華だったので自分は工場での食事を楽しみにしていましたが、工場が移転直後ということで工場での社食は食べられませんでした。ですが、生産部の経理の方が昼ご飯と夜ご飯をごちそうしてくれてとても美味しかったです。本当にありがとうございました。ごちそうさまです。

インターンシップが終わってみるとクタクタでしたが、一緒に働いていた女の人はピンピンしていました。美味しいご飯さえあれば何でもできるというパワーを感じました。

他に全体を通して感じたこととして、作業をしているうちに自分の動きが最適化されていくのを感じて、人間の慣れってすごいなと思いました。最後のほうには自分の担当した作業で10秒くらいの暇ができたとき、次の作業も同時にこなし、次の人の負担が少しでも減るようにして全体の流れがスムーズになるよう心がけていました。どのようにより効率的に多く組み立てを済まし、生産数を増やすか考えるのが面白かったです。

隣の女の社員さんとずっと作業していたので仲良くなったのですが、もう会えないと思うと、終わった後少し寂しかったです。

今回の旅行で個人的に一番印象に残り、勉強になりました。藤岡さん貴重な体験をありがとうございました。

zGlue

ベンチャー企業のzGlueさんに行ってきました。

Smart Fabricという製品が主力で、カスタムSoCが安価で作れ、しかも配線がFPGAのように自由に変えられる点において新規性のあるすばらしい技術でした。

半日でしたが真摯に英語で説明してくださり、貴重な資料を見せていただきありがとうございました。

最後に…今回の旅全体を通して

今回、茂田さんや色んなメイカーの方が中心となって色んな企業へ行き、深圳にもまた行けたので感謝の気持ちでいっぱいです。今回詳しくは書きませんでしたが、WorldsemiさんとM5Stackさんからは製品をいただきました。Elecrowさんからは発注した基板を作っていただきました。このような機会は本当になかなかないことだと思います。いただいた製品で何か作ってみようと思います。

本当に充実していたツアーでした。就活で来るか悩みましたが、来てよかったと思います。ありがとうございました。

深セン訪問2019(B4井上)

こんにちは。B4の井上です。
先日、2/27から3/5の一週間で中国の深センに行ってきました。

僕が深センのことを今年度の始めごろ、秋田先生や研究室の先輩から聞いて初めて知りました。
そのころは「何やら電気街がすごい!」というくらいの認識だったのですが、その後僕は中国の話をいたるところで聞くようになります。
・決済は電子マネーしか使えない?
・深センはイノベーションの街
・第二のシリコンバレー?
今回の深セン訪問は僕にとって、これらの話を実際に自分の目で確かめに行くという裏テーマを持っていました。
深センの勉強には藤岡淳一さんのこちらの本を読みました。

結論を先に書くと、深センにつくといい意味で裏切られました。
まず、僕は中国では電子決済しか使えないという話をきいたのですが、これは半分本当で半分ウソでした。
お店で現金を出せば、支払いはできます。
しかし、お見せ側にお釣りの用意がなかったり、個人間のお金のやりとりでは電子決済が便利すぎるなど、圧倒的に電子決済が便利すぎるのです。
実際、ほとんどの人が現金を使っていませんでした。

また、深センは思っていたよりも広く、聞いた話の中では電気街しかないのかと思っていたのですが、それ以外のも歓楽街や観光スポットなど、同じ街の中にたくさんの色がありました。

そして、一番感じたのはここがごちゃまぜの街であるということです。
これについては最後にまとめとして書きたいと思います。

1日目

深センの旅を時系列順に振り返ってみます。
初日は日本から香港を経由して移動電気街HQBへ移動しました。
僕は国外は久しぶりだったので、少し不安だったのですが、新幹線や地下鉄、バス、そして街の雰囲気などは日本とほぼ変わりなく、驚いたのを覚えています。
香港では英語が通じたのですが、深センではほとんど英語が通じず、困りました。
圧倒的にアルファベットが少なく、お店のメニューを見ても全く想像がつきません。
この日の夜に1人で夜ご飯を注文したのですが、写真を見ても材料がわからず、特にオプションの有無など全くコミュニケーションが取れなくて困りました。
しかし、スマホの翻訳機能などを使ってなんとかしました。
以前どこかで「インターネットがあれば僕らはどこへでも行ける」という話を聞いたのを思い出し、実感しました。

僕が最初に目にした深センの光景。
思っていたよりも日本に近かったです。
宿へ向かう道での風景

2日目

2日目はM5stackを見学しました。
「スタートアップ」というとどうしてもアメリカや日本のイメージが僕の中で先行していたので、それ以外の国のスタートアップを見るのはとても刺激になりました。
たとえ言語や国が違っても、「誰かの課題を解決したい」「役にたちたい」「一発成功したい」そういう思いは共通なのだと感じました。
実際今回はツアーの参加者の方々はM5stackを使って作ったものを持っていったのですが、そのときに見た社長さんの嬉しそうな顔がとても印象的です。
自分が作ったプロダクトを使ってもらえるスタートアップ、その幸せが伝わってきました。
午後は茂田さんに案内していただいて、電気街を回りました。
昨日1人で散策したのは電気街の一部だったことに驚愕しました。
本当にものすごい数の商店がありました。
ここで気づいたのは、子どもを連れて来てる商人が多かったのと、お昼ご飯をお店のカウンターや店内でそのまま食べている商人が多いことでした。
ここは日本と違うのだなと感じました。
茂田さんのお話で、これだけたくさんのお店がやっていけるのは不思議であることと、深センでは廃りが早いということを聞きました。
藤岡さんの本の中で「中国人は合理的だ」という内容がありましたが、こういうお店の流行りなどでもそういう合理性が出ているのだと思いました。
終わってから僕はDJIの旗艦店へ向かいました。
DJIの旗艦店はOCTハーバーという公園の中にあったのですが、ここはすごくキラキラした公園で、日本では味わえない雰囲気を楽しめました。
僕が少し前に想像していた中国とは思えない光景でした。

HQBの街。遠くには自然が見えます。
OCT HARBOUR

3日目

3日目LEDを作っているworldsemiを見学させてもらいました。
午前中に会社や製品のことを説明していただいたあと、お昼に食べ物をご馳走になるという中国式の歓迎を受けました。
個人的に面白かったのは、worldsemiの説明ももちろんですが、ツアー参加者の方の解説が面白かったです。
ツアー参加者の方々にもこの分野の専門家の方々が多数おり、その方の解説を聞くと製品のことをもっとよく知ることができました。
worldsemiのあとは、elecrewという会社へ行きました。
ここは自分で設計した基盤を作ってくれる会社です。
僕は今回初めて自分で基盤を設計しました。
そして本来はそれを日本に送ってもらうのですが、今回のツアーではそれを現地で受け取りました。
その簡単さに驚きました。
elecrewを使えば、日本にいながらでも工場がなくても基盤を作ることができます。
実際に使ってみるまではそのイメージがついていなかったのですが、実際に自分で設計して受け取ると、そのすごさを感じました。
そしてその時、M5stackやworldsemiに関しても、何か作っていけばよかったなと反省しました。
worldsemiの会場で隣になった方が「どんなに簡単なものでも作るのと作らないのではえらい違い」とおっしゃっていたのですが、このときに本当にそうだと感じました。
M5stackとLEDは「時間がない」と言い訳してしまったのですが、elecrewに関してはやってみて本当に良かったですし、次からは時間がないなりにどんな単純なものでも作るようにしようと思いました。

worldsemiの説明会を聞かせていただきました。
ELECREW

4日目

4日目はJENESISにてインターンをさせていただきました。
僕が本で読んだ藤岡さんの現場を体験させていただけるということで、とても楽しみでしたが、「本気で現場を知れるインターン」と覚悟していたので少し不安もありました。
実際に僕が体験させてもらったのは、「ポケトーク」という製品を箱詰めする作業です。
ここでは、僕は一緒に働いた女工たちの力を目の当たりにします。
日本で使っているだけでは知ることができない生産の現場を知れました。やってみて本当に良かったです。
僕も日本でスマホケースや電子機器をよく購入します。
しかし、それはほとんど機械で作っているのだと勝手に誤解していました。
実際は人がシール貼りや箱詰めなどを人力でやっていたのです。
どんなに優れた電子機器でも、その裏には人がいるんだなと思いました。
休憩をはさみながらですが、夜22時頃までひらすらに同じ作業を繰り返します。
1日のノルマを伝えられるわけでもないのですが、周りの女工さんたちは一生懸命に仕事をこなしていました。
「彼女たちは何者で、どうしてここまで毎日働けるのだろう?」そう疑問に思いました。
僕はこんな単純作業をしたことがなかったのでなかなか大変でした。
彼女たちはこれをほぼ毎日やっていると思うと、本当にすごいと思いました。
JENESISの現場の力、生産力に脱帽しました。

インターンしたJENESISの工場

5日目

5日目午前中は深センの東にある老害へ行ってみました。
昨日までの工場や電気街とは変わって、繁華街でした。
そこには僕らが日本で目にするような外資ブランドやデパートが並んでいました。
同じ深センの街ですが、地区を移動するとこんなに多様なスポットがあるのに驚きました。
歩いている女性を見ても、昨日の女工たちとは雰囲気が違いました。
昨日は働いている姿しか見ていないのでもしかしたら休日は違うのかもしれませんが、老害を歩いている女性は身につけているものも高そうなものが多く、メイクもしっかりしていました。
そして、老害では駅でホームレスの男性からお金を乞われるという経験をし、これほどたくさんの人たちを「中国人」、そして「深セン」とパッケージ化して考えることに無理があると感じました。
午後からは高須さんの案内で深セン博物館へ行きました。
深センの歴史を見ながら、「深センの何がどうすごいのか」その疑問が解消されました。
僕は旅行で観光というと観光スポットしか行かなかったのですが、今回深セン博物館に行って、外国の歴史をその国の内側から知る楽しさを感じ、良いものだと思いました。
深セン発展の鍵はタイミングにあったのだろうと思います。
革命の影響で困窮していた地区を特区に指定し、国が力を挙げて深センにリソースを投下しているころにインターネットの普及やスマホが普及が重なり、たった数年でここまで発展したようです。
博物館のあとは書店に行きました。
以前にも秋田先生から話は聞いていたのですが、実際に行ってみると、たくさんの人が書店で立ち読み(実際は床に座り込んで読んでいました)をしていました。
高須さんの「勉強は裏切らない」という言葉が印象的でした。
僕も彼らに負けないよう、勉強しなければ、そう思いました。
夜には早稲田ビジネススクールの牧先生のゼミと合同で北京ダックをいただきました。

短期間での成長に驚きました。
書店


6日目


6日目BYDへ行きました。
BYDでは日本語でとても丁寧に案内してもらいました。
とても上手な日本語にも驚きましたが、それと同時にきっと日本の顧客がたくさんいるのだろうと感じました。
エンジンなどのことは正直専門でないので、詳しい話はわかりませんでした。
しかし、ここでは初めて電気自動車を運転させてもらいました。
その静かさに驚きました。

それからash cloudへ行きました。
ash cloudはスマホケースなどを製造している大規模な工場でした。
鋳型の製造から箱詰め、配送までを一括で管理していたのですが、驚いたのはその管理のシステムです。

QRコードを使うことで生産状況や次に製造するべき製品、進捗などを自動で管理していました。
「スマートファクトリー」ともいうべきそのシステムはとても合理的でしたが、個人的な所見としては、コンピュータシステムによって「人」という労働力が分散されている様子は少し怖くもありました。

そしてその後にJENESISのオープンデーに参加させていただきました。
藤岡さんとお会いすることができたので、先日感じた女工さんに関する疑問を質問してみると、
「彼女たちは出稼ぎに来ている女性たちで、親御さんたちに仕送りをしたり、JENESISは福利厚生や対応を良くしているので頑張ってくれている」
という回答をしていただきました。
この労働形態は日本にいては目にすることのない形だったので、とても納得するとともに勉強になりました。

試乗した電気自動車
ASH CLOUD

最終日

最終日は再び電気街に行き買い物をしました。
そして日本に帰ってきました。

ごちゃまぜの街、深セン

このような日程の中で僕がずっと感じていたのはやはり「ごちゃまぜ感」でした。
最初に感じたのは初日に入った食堂での盛り付けでした。
そのお店ではレーンに沿って、欲しいものを注文する形でした。
日本では、食べ物の種類ごとに盛り付けをします。
でも、このお店ではそうではなく、山のように盛り付けられました。

このことを考えていると、思えば深センではいろいろなところにごちゃまぜがあります。

観光スポット、繁華街、電気街、工場、あらゆるものが深センの中にはありました。

その街ごとに、日本よりもすごいような光景もあれば、日本でいう昭和のような雰囲気がある光景もありました。
街を見ると、車、徒歩、自転車に加えてバイクやセグウェイのような乗り物など色々な乗り物が混在しています。
それだけでなく、自転車はIoT技術で相乗り化されており、タクシーはスマホで呼びます。

屋台やストリート・パフォーマンスといった昔ながらの光景ですが、その決済歩法は電子マネー。

工場のなかでも、女工さんという日本ではもうあまり見ない職業の人がいるかと思えば、彼女たちは土日はスマホでYoutubeを見ます。
また、同じ工場でも、実は生産の管理はシステムで行われていたりすることもありました。

このように、一見昔のように見えるものと新しい技術がしっかり結びついてるのはとても興味深いと思いました。
そのごちゃまぜは深センの発展のなかで生まれた必須なものであり、イノベーションの土壌を作っているではないかと個人的には予想しています。

この街の今後がとても気になりました。
そして、この街がとても好きになりました。

最後に

最後に、今回のツアーでは本当に多くの学び・体験をすることができました。

様々な手続きをしていただいた秋田先生を始め、ツアーを企画していただいた茂田さん、高須さん、インターンを受け入れていただいた藤岡さん、中国の企業の方々、そしてツアー参加者の方々に心から御礼を述べたいと思います。

本当にありがとうございました。

深圳訪問2019

こんにちは、B4の森屋です。2/27~3/5の深圳訪問について報告をしたいと思います。

まず始めに、今回の深圳訪問において、企業訪問企画を立てて案内してくださった茂田さん、秋田先生に深く感謝申し上げます。さらに、ツアーで私たちの訪問を快く受け入れてくださったM5Stack、Worldsemi、Elecrow、JENESIS、zGlueの企業の皆様に深く感謝申し上げます。また、ツアー参加者の皆様には様々なお話や経験談、就職や転職に関するアドバイス等を頂きました。ここに感謝申し上げます。

ということで中国の深圳に一週間ほど滞在して、様々な企業を見学してきました。

2/27の早朝に日本を発ち、昼頃に香港に着きました。この時点で、リュックの紐が切れて壊れたり、クレカの不具合でお金がおろせなくて手持ちの2万円弱で生活する羽目になったり(その後Zouさんに1万円くらい借金した模様)、飛行機の中で貧血になったりしました…うーん前途多難…。

香港国際空港からはバスと電車を乗り継いで深圳の華強路に到着しました。ちなみに帰りは新幹線で移動しましたが、行きと帰りで違うルートを使っているのに同じカードを使って移動できるのは楽でいいと思いました。オクトパスは有能。

お昼ごはんのマクドナルドでは初めてQR決済で支払いを行いました。深圳では、全ての店でWeChatPayやAlipayのQR決済で会計ができます(現金支払いも一応できましたが若干嫌な顔をされます)。QR決済を日常的に利用するため、また若者が多いこともあってか、至るところで人々がスマホを持っている姿を見かけました。

華強北の電気街の様子。料理の配達バイクが走っていたり、道で子供が遊んでいたりおもちゃ屋の人がドローンを飛ばしていたりした 。それくらい通りが広い。

午後4時から茂田さんによる華強北の電気街ツアーに同行し、広大な電気街の概要を教えてもらいました。ここには電子部品や機器がたくさん詰まっているビルが何ブロックも建ち並んでいて、電子部品が百、千、万の単位で取引されていました。しかし僕たちはそこまでの単位で買えないので、売り手側にはあまり稼ぎにならないのですが1個~10個程度で取引を行ってもらいました。トグルスイッチのように0.2元程度のあまりに安い部品だと『1個くらいタダでくれてやる』と言われたりして(決して自分から値切ったわけではない)、たくさん買えなくて申し訳ないなと思いながらそのお店を後にしました。

ちなみに帰国後、比較のため秋葉原にも行ってみましたが、明らかに規模が小さくて、店の清潔さや商品の精度(詳しくは調べてないがパチモン率は低そう?)くらいしか勝るところがないと感じました。やはり二次元グッズのお店のほうが隆盛しているのか…。

ちなみに今回僕はairbnbの宿に6人(男4女2)で宿泊しました。この宿泊方法のメリットは、宿泊費がホテルより安くなるということです。しかし今回の宿は華強路からかなり離れていたため毎日赤湾~華強路(片道1時間で約6元)を往復せねばならず、移動費は安いためあまり問題ありませんでしたが往復2時間を取られてしまうのが思ったよりも大きなデメリットとなりました。次にairbnbを利用する場合は距離をもっと考慮しようと思います。

2/28からは茂田さんの企業訪問に参加し、M5StackやWorldsemi、Elecrow、JENESISを見学しました。また、別件でzGlueも見学しました。

日本人の見学者は見学後にあまり成果を残そうとしないため(帰国後会社で軽く発表して終わりで、新しいビジネスに繋げたりしない)、深圳の企業としてはせっかく時間を割いた意味がないということで大概の企業は日本人の見学に積極的ではないようですが、今回は茂田さんの人脈力により見学できました。実際日本人は腰が重たくて、新しいものより古いものに固執するところがあるので、すぐに実践に移す行動力を身に着けたいと思いました。

また、どの企業も自分だけのニーズを持って製品を作っており、そして自身の進化すべき方向もしっかりと見つめていました。もうすぐ就職活動する身としては、自分の売りと成長すべき方向を考えるということを彼らから見倣うべきだと感じました。 また、HAXのように新企業が育つ土台がちゃんとあるのが深圳の発展性の秘密なのかなと思いました。

WorldsemiでのフルカラーLEDの製造の様子。画像下部の青い円状の皿に微小な制御用ICやLEDが載っていて(左側の皿には載っているが右側のは既に空になっている)、アームが高速に動いて部品を皿から取ってセットしている。画像右上のスクリーンにより、部品の配置が正しいかチェックしている。
Elecrowにて、注文された基板の型を現地受け取りしたかった…けどクレカの不具合(?)で出来なかった…残念。再トライします
Elecrow訪問後に最寄り駅の地下で夕食(確か13元くらい)。
各席に付いているコードを読み取るとメニューが表示され、スマホで注文して決済した後にごはんが運ばれてくる仕組み。人件費も削減できるし、メニューの聞き取りミスも減るのでとても効率が良い。
日本でもこの仕組みは広まってほしいところですが、現状だとタブレット端末を席に設置している程度で、少なくとも自分のスマホを使う店はあまり見ないですね…。スマホを持たない高齢者が多いことを考えると普及はやっぱりキツイのか…。

ビール会では今回のツアー参加者の皆さんと飲んだり食べたりしながらお話を伺うことができました(自分はビール苦手だったのでクランベリーのお酒を飲んでいましたが…)。

自分は卒論でVR酔いについて書いたのですが、ビール会にたまたま車酔いの研究をしていた方がいて、これだけ人が集まれば何かしらご縁があるものだなと感じました。自分はアンケートによる主観評価でVR酔いを評価しましたが、その方はバイタルを測ったそうで、やはり企業案件だと客観的な評価をメインに据えたほうが良いのかなと思いました。あとやっぱりゲ○吐くまで酔わせないとダメですかね…(被験者のほうを見ながら)

ビール会の会場が近かったので世界之窓に寄ってみました(なお入場料が高くて外側だけ写真を撮って終わった模様)。
ビール会の様子。こんなピカピカしているのは多分彼らが集まっている日だけ。

ビール会では、以前Twitterでバズっていた、一見するとカセットテープだが実はWi-Fiで音楽をストリーミングして、音を磁気として再生機に流すデバイスの作成者さんに会えました。本物を目の前で見て音も聞けたのは感動でした…。ちなみにその方は2度の転職を経験されていて(ネガティブな理由でもポジティブな理由でも)、もしも自分が同じ状況に置かれたら…というときの参考になりました(そもそもネガティブな理由で転職するような事案にならないのが一番ですが…)。

北京ダックと火鍋。
深圳のごはんは基本的に安くて量もあり、とても美味しかったです。
スパイシーな味付けが好まれているのか、唐辛子がよく見られたし炒飯やチキンなどにかけられる胡椒も多かったように感じました。
また素人の感想ですが、中国南部であるため食材の保存性のためか、それとも単に香り付けを意識してなのか、独特な味や香りのするハーブか何かが入っていたように感じました。
レストランなんかだとものすごくたくさんの料理が出てくるので食べきれなくて勿体なく感じるほどでしたが、これは中国では『料理が余るほどたくさん食べて満足してもらう』ことの意思表示であるとのこと(Danさん談)。

今回の旅では、すぐ行動に移すことの大事さ『深圳速度』を学びました。また、海外にて一人で行動することで、自主的に行動することへの自信もついた気がします(自信つきすぎて帰国後東京を2日間くらい観光してしまったくらい)。今回の旅に参加できて本当に良かったです。 さて、基板を注文したりM5StackでLEDを制御したりしますかね…。

深圳訪問

こんにちは。M2の吉村です。

2019/2/27~3/5の間深圳にいきました。今回で2回目となる深圳訪問で、前回はメイカーフェアがメインでしたが今回は企業訪問等がメインの訪問でありとても楽しみでした。


今回は香港から深圳まで新幹線でいきました。香港空港から九龍駅までいき西九龍駅で新幹線に乗り深圳の福田駅で降りるルートです。オクトパスは便利でした。僕は帰りも同じルートで帰りました。

深圳では茂田さんという方が企画された企業訪問に参加しました。訪問した企業はM5Stack、Worldsemi(研究でお世話になった)、Elecrow(これまた研究でお世話になった)、BYD、JENESIS(1日インターンでお世話になった)です。企業の詳細は省きますが、これらの企業への訪問のアポをとって頂いた茂田さんや秋田先生には本当に感謝しています。

今回の深圳訪問を通して感じたことは、深圳にいる人々は学ぼうとする欲がとても大きいと感じました。深圳にいる人々はもちろん、今回の企業訪問の参加者の方もそうであり、Worldsemiの説明ではディスカッションがあり大学の講義を聞いているみたいな感じでした。高須さんの博物館ツアーの説明で昔の深圳は必死に働けば死なないというということがあり、そのハングリー精神が今まで続き学ぼうとする意識につながっているのではないかと思いました。自分自信は最近新しいことを学ぼうとする意識が低くなっていると感じていたので、これを機に積極的に色々なことに挑戦していきたいです。今回の深圳訪問で自分はものづくりが好きだと改めてわかったため、小さなものから何か作りたいと思います。今回の深圳訪問では金沢大組から参加できない人もいたので、次の深圳訪問があるのであれば、ぜひ参加していってほしいと思います。実際に深圳に行くことで自分の肌で深圳の勢いを感じることができ、色々な知見をもった人に会うことができるからです。(メイカーズのエコシステムハードウェアハッカーハードウェアのシリコンバレー深センに学ぶといった本を行く前に読むとより面白いと思います。)

深圳1日目のご飯です。深圳のご飯は安くて美味しいです。(チャーハンは美味しいのでオススメです。)これで20元くらいだったはず
Worldsemiの天井です。LEDがオシャレでした。
自分で設計発注した基板を現地pickupしました。
JENESISインターン中にみた獅子舞。インターン中の写真はありませんが、インターンではライン作業に参加させていただきました。ライン作業では基板へのシール貼りを作業していましたが、1日中作業しているととてもハードで大変でした。インターン中にライン作業の工程では女性の作業員の方がほとんどでした。(20~30人で男1人)後の会社見学で細かい作業等は女性の方が向いていると説明がありなるほどと思いました。会社説明で社長の藤岡さんから作業員の確保が大変であり、作業員の賃金を他社よりあげたり福利厚生をよくしたりと苦労されていました。自分が将来会社を経営する立場になった時の参考になりました。また、ハードウェアハッカーにも書いてありましたが、順番でわかりやすくテストできるようすることが大切だと感じました。1日中作業していると精神的にも肉体的にも疲労するので、疲労している状態でもミスをしないようにわかりやすいテストを行えるような設計をすることが重要だと思います。
本屋では多くの人々が座って本を読んでいました。専門書のコーナでも多くの人々が本を読んでいてよれよれの本もいくつもあり、ここでも学ぼうという姿勢がひしひしと感じれれました。
火鍋を食べました。辛かったですが美味しかったです。普段の生活では出会えないような人と出会うことができたので深圳訪問に参加して本当に良かったと思います。(この火鍋はご馳走になりました・・・本当にありがとうございます!!)

今回の深圳訪問のアポや予定を立てて頂いた茂田さんや秋田先生、インターン先でお世話になった藤岡さん、深圳訪問の参加者の皆さん、本当にありがとうございました。

鍋パ

こんにちは、M1の中川です。

鍋パをゼミ合宿以来、久々にしました。

自分はもつ鍋が食べたかったので思い切って今回はもつ鍋にしました。

九州ではシメに餃子の皮を入れるというのが一般的だと聞いて今回からそれも入れてみました。皮で具材を巻いて食べると水餃子みたいで美味しかったです。大好評でした。

餃子の皮を入れた図

いつものシメ、ラーメンも美味しかったです。小学校の給食を思い出しました。

隣の研究室の森田くんも来てくれました。

鍋を囲む一同

楽しんでもらえたので企画した自分としても良かったと思います。またやりましょう。

USB-シリアル変換ICを題材に半導体チップのニセモノについて考えてみた

マイコンなどをPCにUSB経由でつなぐときに、USB-シリアル変換という機能のICチップがよく使われます。USB-シリアル変換のICには、よく使われる製品がいくつかあるのですが、その中に、比較的安価なものとして、Prolificという台湾の会社の製品でPL2303というものがあります。

PL2303 (HX Revision A)の純正品

この製品について、メーカーから「ニセモノに注意」という案内が出ています。どうもメーカーでもニセモノ対策を打っていて、ニセモノでは動作しないようにしているドライバを配布していて、チェックツールも配布している、ということのようです。その話を聞いて、ニセモノはホンモノとどう違うんだろう、どうしてニセモノを作ろうとするんだろう、ということに興味を持ち、いろいろと調べることにしました。

まずニセモノの入手からですが、知人から「純正ドライバで動かないニセモノがある」という情報をいただきまして、その方からそのニセモノを譲ってもらいました。

明らかに怪しいマーキングのPL2303のニセモノ

たしかにホンモノとは明らかに違う、なんだかとっても安っぽいマーキングで、確かにPCにつなぐと動作しない(デバイスマネージャで「?」のままでCOMポートとして認識されない)ようです。ホンモノのPL2303には、AからDまでの4種類のリビジョン(更新版)があって、外付け部品の有無など少しずつ機能が違うのですが、この怪しいニセモノが載っていたボードの外付け部品から判断するに、どうもRevision C (PL2303HXC)かRevision D (PL2303HXD)に似せた部品のようです。

そこで、Rev.CとRev.Dのホンモノを入手して、チップを比べてみることにしました。ICの中にある半導体チップは、ふだんなかなか見る機会はないのですが、少々荒っぽい方法ではありますが、どこのご家庭にもある道具を使って、チップを取り出すことができます。この方法で、ニセモノとホンモノ(Rev.C)のチップを取り出して比べてみます。

取り出した、ホンモノRev.C(左)と、ニセモノ(右)のチップ

ぱっと見でわかるほど、明らかに違うチップです。もう少し内部を詳しく見ていきます。

純正のPL2303 (Rev.C)。チップサイズは1.6×2.2mm

純正Rev.Cのほうは、左上に渦巻きがあって、インダクタのようです。

Rev.Cのインダクタの脇の拡大図

インダクタの脇を拡大すると、”MOBIUS MICRO”の文字があります。いろいろなガジェットを(ガチで)分解している鈴木さんから、IDTという半導体メーカに2010年に買収された発振器の会社の名前ではないか、という情報をいただきました。たしかにPL2303 Rev.Cは基準クロックの発振回路が内蔵されていて、水晶振動子を外付け不要なので、まさにその回路っぽいです。

ニセモノ。チップサイズは2.0×2.3mmと、Rev.Cよりやや大きい

ニセモノのほうは、インダクタはみあたりません。

ニセモノのチップ上のアナログ回路っぽいところ。クロック発振回路か?

ニセモノのほうを見渡してみると、いくつかアナログ回路っぽいところがあります。電源回路(LDO)もあるのですが、これがクロック発振回路でしょうか。MEMS発振回路か、RC発振回路か、と思われるのですが、断定までは至りませんでした。


ニセモノの論理回路と思われる領域(中央付近の階段状の領域)

さて、この2つのチップを見ていて、気づいたことがあります。USB-シリアル変換の機能のコアはディジタル回路なので、論理回路のかたまりです。両者ともに、論理回路部と思われる領域はあるのですが、いずれも、HDL記述から論理合成、配置配線を経て設計されたもの、と思われます。しかも明らかにレイアウトが異なるので、このニセモノは、純正品をリバースエンジニアリングして創られたコピー品ではなさそうです。ということは、もとになるHDLソースがあるはずで、ニセモノの方は、それをどうやって得たのだろう?という疑問がわきます。まさかOpenCoresなどでオープンソースで流通しているとはない思えませんし、ゼロから設計するにしても、検証まで含めればかなりの工数がかかります。もともとそれほど高価なチップではないので、チップあたりの利益はそれほど大きいとは思えないのですが、それでもこうしてニセモノを設計、製造して販売しているということは、商売的にも勝算があってのことでしょうから、そのあたりの見積もりは興味がわきます。もしかしたら、HDLソースが、GonKaiの設計図のように流通してる世界線があるのでしょうか。

ついでに、いつもの方法で、両者の設計ルールを調べてみました。


両者の設計ルールを計測してみた

意外にも、純正Rev.Cが1um、ニセモノが0.8umと、ニセモノの方が少し細かい製造プロセスのようです。ただ顕微鏡で見ているのは最上位層のメタル配線なので、そこは下層よりも少し配線の幅が広いルールも多いので、両者ともに0.8um、ということかもしれません。チップサイズは純正Rev.Cの方が小さいです。

ロジック部と思われるところの面積を求めてみたところ、ニセモノがチップ全体の30.4%で1.39mm2、Rev.Cが18.3%で0.64mm2と、ニセモノは純正Rev.Cの2倍近くあります。機能は(ほぼ)同じはずなので、HDLの質がいいのか、論理合成・配置配線ツールが優秀なのかはわかりません。

純正 Rev.Dのチップ写真

ちなみに最新の純正PL2303HXD(Rev.D)のチップも見てみましたが、純正Rev.Cとそっくりで、ぱっと見でわかる違いは見つけられませんでした。

さて、これでニセモノの解析も一段落・・・と思っていたら、別の怪しいPL2303(自称)を見つけました。


AliExpressで売っている、アヤシイPL2303(自称)ボード

商品紹介写真に写っているPL2303と思われるICに、マーキングがありません。しかも価格が、とんでもなく安価(約45円)です。ちなみにボードには水晶振動子が載っていますので、Prolific社の製品情報によれば、マーキングのないPL2303(自称)は、Rev.AかRev.Bと思われます。(Rev.CとRev.Dは内蔵発振回路が入っているので水晶振動子は不要)

これはアヤシイ・・・と、早速購入し、基板からICを取り外して、チップをみてみます。


Prolificのチェックツールの結果。まさかの「純正Rev.A」の判定

その前に、このボードをPCに接続して純正チェックツールで調べてみると、まさかの「純正Rev.A」の判定でした。もしかして純正品で、型落ちなので投げ売りされているだけなのでしょうか。


マーキングなしRev.A(自称)のチップ写真。チップサイズは1.85✕2.6mm

マーキングなしRev.A(自称)のチップは、Rev.Cにあったインダクタはみあたりませんが、これは内蔵発振回路がないので順当です。

続いて、これの設計ルールを計測してみると、純正Rev.Cや先のニセモノと同じ0.8umのようです。


純正Rev.A (PL2303HXA)

比較として、純正Rev.Aを入手してみました。すでに製造中止なのですが、aitendoを始め、いくつかで在庫がありました。


純正Rev.Aのチップ写真。チップサイズは1.5✕2.5mm

明らかに、先ほどのマーキングなしRev.A(自称)とは違うレイアウトです。


純正Rev.Aの設計ルール計測

同様に設計ルールを計測してみると、約0.7umとなりました。この数値はあまり聞かないテクノロジノードなのと、後継のRev.Cが0 8umなので、それより細い0.6umとは考えにくいことから、0.8umが正しい値ではないかと思われます。

このように、新種のニセモノ(Rev.A)が見つかりました。これも、先のニセモノと同じく、設計にはそれなりの工数がかかるはずなのですが、それでもビジネスとして成り立つようで、そのあたりの詳細な分析を、ぜひしてみたいところです。


AliExpressで売っている、激安PL2303(マーキングなし)ボードの一部

ちなみにAliExpressには、同じようなマーキングなしPL2303(自称)が載った激安USB-シリアル変換ボードがたくさん売っています。ほとんどが水晶振動子が載っているので、Rev.A(自称)と思われますが、これらが、すべて同じニセモノRev.A(自称)なのか、それともさらに新種のニセモノなのか、気になってしょうがありません。そこで商品紹介写真でマーキングなしPL2303が載っているのでボードを片っ端から15種類ほど購入してみました。これらの解析結果は、後日ご報告したいと思います。

(秋田)

ATmega328Pを開封してムーアの法則との関連を調べてみた

Microchip社のATmega328Pというマイコンがあります。以前はAtmelという会社の製品でしたが、Atmel社が、PICマイコンで有名なMicrochip社に買収されてからは、Microchipの製品ということになっています。Arduino UNOなどの、当初からあるArduinoシリーズ(との互換機、派生機)で幅広く使われているマイコンです。

このATmega328Pの派生品に、ATmega32PBというものがあることを、知人から教えてもらいました。語尾が1文字違うだけなので、てっきりマイナーバージョンアップとかクロック周波数が上位とかの違いなのかと思っていたら、ぜんぜん違っていました。ATmega328PBの特徴を簡単にまとめると、

  • UARTやSPIなどの周辺インタフェースが増えている(1個→2個)
  • ATmega328Pの完全上位互換(つまりATmega328P用のプログラムがそのまま動く)
  • ATmega328Pより安価

そんなはずは・・・と思って調べたところ、本当でした。製品紹介ページ→ATmega328PATmega328PB

価格は、DigiKeyでは以下のようでした(2018/12/23時点)。確かにATmega328PBの価格は、ATmega328Pの2/3程度です。

 

つまり、ATmega328PBのほうが、高性能なのに安価、というわけです。それなら今後はATmega328PBだけ使えばいいのでは、という気もしてきます。例えばUARTが2個あるATmega328PBだと、UARTを使ってのデバッグに便利そうですね。

このように、高機能なのに安価、という現象は、半導体ではよくある現象ですが、他の産業ではあまり見られません。例えばクルマでは、新モデルのほうが高性能(例えば燃費がいい)ということはあるでしょうが、価格が2/3というのは、まずありえません。

しかし半導体では、いわゆる「ムーアの法則」が、(少なくとも最近までは)成り立っていて、それの技術的な裏付けである「比例縮小則」も、(その時々で技術的な修正をされつつも、基本的には少なくともここしばらくは)成り立っています。詳細な解説は他に譲りますが、比例縮小則は簡単に言うと、

  • 半導体チップの中の回路(トランジスタ)を、小さく作る(例:1/2)と、
  • 回路の動作速度が速くなる(例:2倍)。
  • 同一価格で機能が向上(例:4倍)する。または同一機能ならば価格が下がる(例:1/4)。

ということです。なんだか胡散臭い話にも聞こえますが、半導体集積回路(LSI)では、シリコンチップの表面に二次元的に回路が作り込まれ、その機能がトランジスタのサイズによって変わらない、という物理的な現象に対応しているものです。

この比例縮小則を実現する技術開発の速度の統計と予測から、「18ヶ月で半導体チップの性能が2倍、または価格が1/2になる」という予測で、インテル創業者の一人であるG.Mooreによって提唱されたのが「ムーアの法則」と呼ばれるものです。(余談ですが、ムーア自身がこの名前をつけたわけではなく、この名前をつけたのはC.Meadで、またこの予測を「目標」として技術の研究開発が進められてきたことから、この法則どおりの技術進化が実現されてきた、という面が強いです。つまりムーアが未来を予測していた、というより、ムーアの予測どおりに世の中が進んだ、と理解するのが正しいです。もちろんより小さなトランジスタを作ることは、技術的な困難度がより高いので、その当時で実現可能なサイズのものが、その時点での最先端ということになります)

このATmega328P/PBの違いを、ムーアの法則から理解しようとすれば、後発であるATmega328PBのほうが、回路を構成するトランジスタが小さくなっていることで、高性能なんだけど安価、ということが起こっているのではないか、と考えられます。

そこで、実際にATmega328PとATmega328PBのチップを観測してみました。といっても私達がふだん目にする半導体チップは、黒いパッケージに入っていて、チップそのものを目にすることはほとんどありません。パッケージを開封してチップを取り出すことは、濃硝酸などの薬品を使えば可能なのですが、素人に簡単に手を出せるものではありません。ところが調べてみると、バーナーで炙ると、パッケージのプラスチックが灰になってチップを取り出せる、というのをやっている人がいるのを見つけました。これなら「どこのご家庭にもあるもの」でできそうなので、早速やってみました。

用意するもの:

  • BBQ火起こし用バーナー(カセットボンベのものがお手軽)
  • 金属の皿(100均で売っている排水口メッシュなど)
  • チップを見たい電子部品

まずATmega328Pのチップをバーナーで数分間、炙ります。やけどや、周りの燃えやすいものに火が燃え移ることがないように、十分に気をつけます。見た目、大きな変化はありません。

十分に冷えてから、ドライバーでパッケージをちょんちょんすると、少しずつパッケージのプラスチックが崩れていきます。

チップが少し見えてきました。ここからはチップを傷つけたり割ったりしないように、周りのプラスチックを慎重に崩していきます。部品の金属の足(リードフレーム)は、ぽろぽろ取れてしまうので、そこはあまり気にせずに、チップ以外のものを取り除いていきます。

チップが現れました。

これを顕微鏡で、倍率を徐々にあげながら観測していきます。

まずチップの外形をものさしで測ると1辺が3mmでした。この写真の左下に写っている正方形(パッド)の大きさを、チップ外形との比で求めると0.1mm(100μm)でした。

もう少し倍率をあげて、パッド付近にある目印になる形状のもののサイズを、パッドのサイズ100μmを基準にして求めます。(この例では65.4μm)

さらに倍率をあげてその横にある細い配線が並んでいるところ(おそらくバス配線でしょう)にある配線の幅を求めると、1.8μmとなりました。これぐらいのサイズだと、金属配線の幅はトランジスタのサイズ(ゲート長)とだいたい同じなので、加工寸法(テクノロジノード)は1.8μmぐらい、ということになります。最近の最先端の最小加工寸法は20nm(0.02μm)以下ですから、100倍以上大きいもののようです。しかしその分、「枯れた技術」であるため、安価に製造できるわけです。(特に最近のかなり進んだ微細加工では技術的な難易度が急速に高くなるため、製造装置も指数関数的に高価になります)

続いて、同じ方法で、ATmega328PBのほうも計測してみます。

ATmega328PBをAliExpressで10個1,350円で買いました。まさか発送したお店も、そのままバーナーで炙られるとは夢にも思わないでしょうね。

チップは縦長で3×2.5mm、パッドのサイズは75umでした。

さらに倍率をあげていくと、バス配線っぽい細い配線が見えてきました。3本の配線の間が2.4μmでした。これは、2本分の配線の幅と、2つ分の配線の間隔の合計で、一般に配線の幅と間隔は同じの場合が多いので、これから金属配線の幅は0.6μm、つまりテクノロジノードも0.6μmということになります。一般にテクノロジノード0.6μmぐらいまでは電源電圧が5Vでも動作でき、これより微細になると5Vでは素子が破壊されてしまうので電源電圧を3.3Vのように下げざるを得ません。ATmega328PもATmega328PBも電源電圧5Vで動作しますので、この点からも妥当な計測結果と言えそうです。

両者の加工寸法を比べると、ATmega328Pよりも、ATmega328PBのほうが、1/3倍ぐらい微細といえそうです。(ただしATmega328Pでは、より細い線を見落としているかもしれないので、テクノロジノードは1.2μmかもしれません。そうだとすると1/2倍といえそうです)

なお0.6μmあたりの製造は、かなり基本的な技術で可能で、いわゆる「枯れた技術」の範疇のため、かなり安価にできます。(その時代の古い製造装置の減価償却が十分に済んでいるので、さらに安価に製造可能にもなります)これより微細にすると、徐々に微細加工の技術的難易度が上がる(=製造コストが上昇する)ため、単純に性能向上&コストダウン、というわけにはいかないのですが、このあたりの加工寸法だと、きれいに比例縮小とムーアの法則が成り立つ範囲で、これらはその実例といえます。しかもこれぐらいの性能のマイコンだと、このあたりの加工寸法で実現可能なので、まさに「枯れた技術でもイノベーションは起こりうる」実例といえます。技術ありきではなく、その技術で何ができるか、何をしたいか、を常に心にとめておきたいですね。※このあたりの話は、このあたりのスライドでご紹介していますので、ご興味ある方はご覧ください。

(秋田)

NeoPixelの故郷に行ってきた

WS2812という、マイコンで制御できるフルカラーLEDがあります。NeoPixelという名前で呼ばれることもあるこのLEDは、パッケージの中のRGB3色のLEDの各256段階の輝度をシリアル制御で設定できます。また何個も順につなげて、1本の信号線で1個ずつ制御できることから、大きなLEDディスプレイや電飾などで広く使われるようになった製品です。このWS2812、何より安くて、リール(1000個)だと1個3円ぐらいで買えます。半導体部品は、世の中へのインパクトという意味では、「性能」だけでなくて「価格」という評価軸があって、性能はそこそこでも、大幅に安い価格によって、破壊的イノベーションを起こすことがあるのですが(コンピュータという意味でもマイコンや、WiFiマイコンのESP8266/32もそうです)、まさにその一例といえます。そしてこの「価格」という評価軸はムーアの法則の帰結でもあります。

このWS2812(NeoPixel)を作っているWorldSemiという会社が、中国深圳の郊外(クルマで1時間くらい)にあるので、今回おじゃましてきました。世界中で見かけるLEDを作っている会社の工場なので、さぞかし大きいと思ったら、こんなビルの1フロア分だけでした。

対応してくださったのは、Yin氏。実はこのWS2812の設計者で、社長(?マネージャかも)です。WorldSemiの設立は2007年なのでまだ10年ほどの若い会社です。
最初は、会社の歴史というお話のあと、「一応・・・」という感じで動作原理の話が始まったのですが、見学でおじゃました一行にエンジニアが多いため、通訳の方が訳す前に、回路図をみながら「ふむふむ、うんうん」とうなずいているのを見て、どんどん技術的に詳細な話に入っていきました。
この右端の回路図は、最新のNeoPixelの原理図です。

技術的にだいぶマニアックな話を補足しておくと、RGB3個のLEDを並列に制御回路に接続すると電流がそれぞれに流れるため、トータルでの電流がけっこう多くなります。これは多数のLEDを使うNeoPixelでは、しばしば深刻な問題(電源ラインでの電圧降下)になります。また電源電圧の変動が直接輝度の変化に直結してしまいいます。
この方式では、3個のLEDを直列(縦積み)にして印加電圧を12Vとしています。これだと流れる電流はLED1個分なので、電源容量の問題は緩和されるのですが、各LEDに流れる電流が同一のため、各LEDの明るさ(つまり全体での色)を個別に制御できないことになります。そこで回路では、各LEDに並列にMOSトランジスタのスイッチを置き、これをPWM制御でON/OFFして各LEDが点灯する時間を個別に制御できるようにしています。なおMOSトランジスタがONでLEDが点灯していないときは、3個のLED全体の電圧が変わってしまいますが、これは一番下においてある電流源で吸収し、常に全体の電流が一定になるようにしています。
一同、なるほどー!!と感動していました。なおこの方式、回路は特許を取得済みだそうです。

ちなみに累積の生産数は集計していないそうですが、最近の生産数は毎月約2000万個だそうです。もうかってまんな。

さて、以下では工場での生産現場。
半導体部品の製造は、大きく「前工程」(クリーンルームでSiウエハに回路を作りこむ工程)と、「後工程」(ウエハをチップに切り分け、パッケージに封入して、ふだん私たちが姿に加工する工程)に分かれます。一般に前工程は高度な技術、高度なクリーンルームが必要で、工場も大規模化する傾向があり、最近は世界的にも集約される傾向が強いのですが、後工程は比較的クリーン度が低い環境でも大丈夫なので、世界的にも企業的にも分散する傾向が強いです。(昔からあるTTLのICをご存知の方なら、パッケージにマレーシアやフィリピンの国名を見たことがある方も多いと思います)
このWorldSemiは、後工程専門の工場です。

まず各色のLEDと制御回路のチップ(合計4種類)がウエハの状態(チップに切り分けられた状態)で納品されます。

またチップを入れるパッケージ(端子にあたるリードフレームがついた状態)も、10×30個くらい並んでつながった状態で納品されます。

まずマウンターという装置で、だいたい毎秒5個くらいのスピードで、LEDや制御回路のチップをパッケージの土台(リードフレーム)に載せていきます。

マウンターの台数は20台ぐらいでしょうか。それほど大きな部屋ではありません。

続いて、チップとパッケージ土台の端子(リードフレーム)を金線で接続するワイヤーボンディング工程です。だいたい1個当たり2秒くらいで作業がおわります。

ボンダーの部屋もそれほど大きくなくて、台数は20台くらいでしょうか。

続いてLEDの表面に透明な樹脂を流して封入するモールディング工程です。使っているのは2液混合式のエポキシ樹脂でした。

その後、リードフレームからNeoPixelが切り離されて、1個ずつバラバラになります。

次は検査工程なのですが、これは予想していたよりしっかりやっていました。

1個ずつ、各LEDを点灯させ、輝度と色(ピーク波長)を測定し、規格を満たさないものはエアで飛ばして不良品としてはじきます。1個ずつ、しかも波長まで検査しているというのは予想外でした。

最後にリールに入れて封入して完成。これはいま封入されたばかりの、今日の日付入りの、できたてほやほやのNeoPixelのリール。できたては、やっぱおいしそうですね。

お土産に、いくつかのサンプルをいただいてきました。砲弾型のものもあるそうです。

今回のWorldSemi訪問の前に、NeoPixelが持つ価格という武器の源について、いくつか予測をしていいました。それは制御回路のチップの製造方法です。Siウエハでチップをつくるとき、ウエハは円形なので、どうしても周辺付近で使えずに捨てざるを得ない領域があるのですが、すごく小さいチップなら、このような余白領域にもたくさんのチップを一緒に作ることができます。つまり本来捨てられる部分が製品になるわけなので、ほとんどタダ同然(もともと捨てるところなので)なわけです。ほかで聞いた話では、メロディーICなどは、この方法で安価に作られているそうです。
このNeoPixelの制御回路のチップもこの方式で作ることで、劇的なコストダウンを実現しているのだろうと予想していたのですが、納品されている制御回路チップのウエハは、それしか載っていない専用のものでした(たぶん8インチのウエハ)。
顕微鏡でチップを見せてくれたのですが、詳細な測定はしていないものの、ざっと見たところ加工寸法(ゲート長)は1umぐらいで、かなり古い製造技術で作られているようです。また金属配線の層数も2層のようでした。Siチップの製造コストは、MOSトランジスタや金属配線のパターンを決める「マスク」で大きく変わります。特に最新のマイクロプロセッサやフラッシュメモリなどの最先端の製造技術では、配線パターンがとても微細(光の波長よりもだいぶ短い)なので、マスクも高度になり、また回路が複雑なので金属配線の層数も多くなる傾向があります。そのため、チップ製造の初期コストであるマスクの費用はかなり大きな比率を占めるわけです。
しかしNeoPixelの制御回路のように、古い枯れた製造技術で、かつ金属配線の層数も少ないものは、ウエハまるごとを使ってチップをつくっても、かなり安価にできるようです。

Yinさんに、競合会社や今後の展望のことを聞いてみたのですが、十分に枯れた技術でここまで規模の効果で安価にできるのは、他社には真似ができない、というか、コスト的に割にあわないだろう、という大きな自信があるようでした。その一方で、WS2813のサブ信号線を使う冗長構成方式では特許を取るなど、備えも万全のようです。

最後に、Yinさんに、NeoPixelが使われている製品で、ご自身が一番うれしい、誇りに思う製品は何か、と聞いてみました。てっきり、最近の深センの名物になっている巨大なビルまるごとLEDディスプレイ、のような巨大ディスプレイをあげられるのかと思ったのですが、ゲームPCの電源ファンやマウスの電飾、という答えが返ってきました。その表情は、それが好きすぎて電飾LED制御ICをつくり、それを内蔵させたNeoPixelを生んだ、MakerProをまさに地でいく姿そのものでした。

私がNeoPixelが好きすぎて作ったLEDテープのマスキングテープ(スイッチサイエンスで委託販売してます)と、いっしょにNT金沢やっている古川さんが、同じくNeoPixelが好きすぎてつくったWS2812のシルバーアクセサリをプレゼントしてお渡ししました。予想の斜め上をいくプレゼントだったようで、ちょっとびっくりしつつも、とても喜んでもらえてよかったです。

ちなみにWorldSemiでは従業員を絶賛募集中とのことです。

(秋田)